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這ってでも逢いたいんだ 大和悠河
まさかの腰痛になってしまった。
これまで「私に腰痛・肩こりはない!」と豪語してきた。人一倍、気を使ってきたつもりだから、健康と体力には自信があるつもりだったのに……
それなのに、激痛のため、つたい歩きしかできず、さらには這って歩く始末。
仕事に出られるはずもなく、月曜から金曜まで5日間休んでしまった。勤め人である私にとって、5日間も休むなんてとんでもない事態である。前後の休みを入れると10日間ほども寝込んでしまった。
宝塚で言えば「けがのため休演。きゅうきょ代役公演実施」ってところ。電話、メール、ファックスを駆使して自分で代役を立て、家でできる仕事は家でしたり。
でも、歩けないってほんとにつらい。「歩けるだけでも幸せなのに、その幸せにも気づかず文句ばかり言っていた自分は愚かだった(涙)。もし、また歩けるようになったら、もうそれだけで望むものはない」と湿っぽくなっていた。
ところで、そのとき私は久しぶりの宝塚、月組「ガイズ&ドールズ」のチケットを入手していた。
観劇なんて考えられない状態のときは「行けっこないからチケットは家族の誰かにやろう」と考えていた。
ところが、少しずつ回復してくると葛藤が生じてきた。
「もしかしたら行けるかも」「いや、だめだめ。無理をして取り返しのつかないことになったらどうする?がまんするんだ」
「見たい!大和悠河が見たい!」「大和悠河はまたいつでも見られるでしょう? 一生を棒にふることになったらどうするの?」
「大和悠河は時分の花。まさに一期一会。今、見なくていつ見る!?」「そうだ、今しか見るときはない!」
という結論になり、私は次女を(杖がわりに)ともない、でかけたのである。
まずどの経路で行けば最も歩く距離を短く、階段を昇らずに行けるかを考え、痛みのため観劇に耐えられなくなったらどうするかいろいろなケースの対応策を考えておいた。
それでも、幕があがったときは「本当に自分は3時間も椅子に座っていることができるのか」と、気持ちが悪くなるほど緊張した。
しかし、しかし、女神は私にほほえんだ。
たにちゃん、とてもよかったよ! 腰痛をも治すたにちゃんオーラ! たには自信持っていいんだからね!
休憩時間には座ったまま、「あれ買ってきて、これ買ってきて」と次女をパシリに使い、満足気な私であった。
その後、心やさしい人たちは「紅葉さん、腰痛はどう?」と気づかってくれる。
私が「驚異の回復力!」と答えると、「え゛〜?!」という明らかに不満そうな声が返ってくる。
「うーん、あんまりよくないのよー、やっぱり痛くてー」とか答えることをみんな期待しているらしい。
残念でした! 私はスーパーな女、二度と腰痛にはならないわ!
時々は歩ける幸せを忘れそうになるけど、腰痛体験は「歩けるうちにしか宝塚には行けない」という教訓を私に残してくれた。
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