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松子の秘められた過去
「紅葉さん、誰にも言っちゃだめですよ」
松子はいつになく、真剣な顔である。松子は私よりだいぶ年下だが、宝塚仲間だ。
「実は私、宝塚音楽学校を受験したことがあるんです」
『ヒェ〜』内心、私はのけぞった。身近にそんな人がいようとは思いもしなかったから。
そう言われて、あらためて松子の顔を見た。これまで「松子が美人かどうか」なんて考えたことがなかったので。
あらためて見てみると、目鼻立ちが大きい、整った顔ではないか。あ、結構、いけるかも。
「でも、落ちちゃったんです。身長が足りないですからねー」
164aくらいかな?一般的にはけして低くはないが、男役としては低いだろう。
落ちたので、やむなく大学へ進学し、現在に至っているというわけだ。
松子が高校生だったとき、合唱コンクールか何かに参加するために地元のホールに行ったそうである。
すると、そのホールでは前日に宝塚の地方公演が行われたため、ステージ上にスパンコールがたくさん落ちていたのだそうである。
なんだか、「夢のあと」みたいなちょっと悲しい話だ。
ところで、私は前々から松子は大鳥れいに似ていると思っていた。
そのことを言うと、松子はあきらかに不機嫌になった。「え〜? たれ目だからですか〜」
し、しまった。私はほめたつもりだったのに、地雷を踏んでしまった!
「誰にも言っちゃだめ」と言われていたのに、このようにワールドワイドに秘密をばらしてしまった。
もし、松子が合格していたら「松っちゃん、すてきー」なんて夢中になってたりして。
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