ARISTO ART838-3D光デジタル入出力関係


('99.3.2追加)
 nekoの部屋のBBSでお世話になっておりますTOMOさんより、CMI8338の新しいデータシートをお送りいただきました(TOMOさん、どうもありがとうございましたm<..>m)ので、それに出ている回路図(実際のART-838-3Dそのものの回路図)を見ながら、例の”Rchバリバリ”の件の対処を行なってみました。 結論から言うと、かなりボード毎に個体差(水晶の差?)があるらしく、今のところは完全解決には至っていません。


Rchバリバリとは...
 例えば、AudioPCI+CS8402+TOSLINK(Tx)で.WAVファイルを再生し、TOSLINK+ART-838に入力していると、突然Lchが無音になり、Rchの再生音が最大になってバリバリという非常なノイズが重畳される、という状態が起こることがnekoさんのBBSで数人の方から報告されています(私もその一人です(^^;;;)。 このRchバリバリになってしまった時に、光ケーブルをそのままにして.WAVファイルの再生を停止し、無音状態にすると、このように、プラス側にフルスケールが持続していて、時々1〜2サンプル分落ちる、という信号がART-838側では受信されてしまいます。 ちなみに、光ケーブルを抜くと無音になります。
            


 Rchバリバリ対策として試したこと

1.S/PDIF入力ピンのところに付いている10kΩ(R2)を取り外す←位相反転でノイズが消えるなら、これをはずせば入力側は完全に1/2Vccに関して対称になるので、これでOKになるはず

→私の環境では効かない

2.原状では、PCIスロットの+12Vから78L05で降圧して作った+5Vを、CMI8338のアナログ系とデジタル系とで共用しているので、R29(短絡用チップ部品)を取り外して78L05の出力はアナログ系専用とし、新たに7805を追加して、その出力をデジタル系専用とする

efuさんのWaveSpectraで見ている限り、スペクトルの安定性は良くなった(例えば、1kHzの単音を見ていると、以前はその裾が-100dB付近まで20-20kHzの間で均一に瞬間的に上がってしまうようなことがあったが−インパルス的な応答−、デジタル系を分離したところそのようなことは起こらなくなった)が、肝心のRchバリバリは無くならない

3.PCIスロットの+5VとGndの間に入っている10uFを470uFに変更

→Rchバリバリは無くならない

4.14.318MHzの水晶に並列に小容量のセラコンを追加してみる

→47pFまで追加したがRchバリバリは無くならない/100pFを追加すると、S/PDIF入力が使えなくなる

実は、AudioPCI+CS8402からの光出力を、この、時々”Rchバリバリ”になるボードに入力すると数分のうちに1〜2分間くらいRchバリバリになってしまってLchは無音になる、という状況を反復してしまうのですが、この同じボードにSONY製のMDプレーヤやCDプレーヤからの光出力を入力しても、1時間経っても完全にOKである、ということがわかりました。 また、この同じボードに接続したTOSLINK(Tx)からの光出力を同じボード上のTOSLINK(Rx)に入力しても、全く正常に動作します。 ですから、AudioPCI側とCMI8338側とのマスタークロックか何かが微妙にずれているような気がしているのですが、双方で、1kHzのテストトーンをアナログ再生してみてうなりを調べた範囲では、全く同一(おそらく0.1Hz未満のずれしかない)ということがわかりました。


 私の手持ちの2枚のART-838では、それぞれに異なった水晶が載っています(1枚は、14.3Xと表示してあるもの、もう一枚は14.318と表示してあるもの)。 このことは、nekoさんのBBS黒木さんが報告されていることと合致します。 私の環境では、AudioPCI+CS8402で出力したものがRchバリバリになってしまうのは、14.318と書いてある水晶を使っているボードです。 但し、双方とも、SONY製のMDプレーヤやCDプレーヤからの光出力を入力した場合には、全く正常に動作します。 ですから、この水晶を用いたCMI8338内部のマスタークロックの微妙な偏差が、2枚のART-838の特性の違いを作り出している、と考えるのが良さそうです。 ボードに付いている水晶を使ったCMI8338内部の発振回路のVXO化を目論んではいるのですが、水晶とパラにセラコンを入れるだけではだめだったのでちょっと考えてしまっています。


('99.2.11追加)
 AudioPCIとART-838の2枚差しもうまく機能することがわかりました。 通常は、AudioPCIの方を優先するデバイスとして選択しておいて、デジタル入出力を行ないたいときのみ、ART-838の方を優先するデバイスに切り替えてあげればOKです。 ART-838のインストール後に、ART-838に切り替えた上で「音量コントロール」の「トーン」でS/PDIFをenableしてから一度だけ再起動すれば、あとは優先するデバイスの切り替えだけでうまくいきます。

 今のIRQの様子は次のようになっています(ABIT BH6):

    IRQ 5: AudioPCI
        5: ステアリング用ホルダ
        7: ECPプリンタポート
        9: DEC 21140 Ethernet
        9: ステアリング用ホルダ
       10: DC390
       10: USB controller
       10: ステアリング用ホルダ
       11: CMI8338
       11: Rage Pro Turbo AGP x2
       11: ステアリング用ホルダ

CMI8338のLegacy Deviceは、使用不可にしてあります。 AudioPCIのLegacy Deviceは、IRQ7に割り当てられています。 PCIスロットの順番は、

    PCI 1: ART-838
        2: AudioPCI
        3: DEC 21140 Ethernet
        4: DC390

です。 この状態でFinal Realityも問題なく動きました。 S/PDIF in&outも、ART-838を優先するデバイスに指定すれば、正常に動作しました。


('99.2.3)
 例のARISTO ART833-3Dでだまされて以来始まったサウンドカードデジタル入出力改造ですが、ART833の後継であるART838をようやく入手できました。 入手して2日目に、早速光デジタル入出力を行なうためにはんだごてを入れることになりました(^^;;;

 基本的に、ART838-3Dに載っているCMI8338チップには、44.1kHzのS/PDIF in & out(TTL level)が付いているので、それとTOSLINKとをつなぐだけです。

('99.2.7更新)
 以前に、

      あと、位相反転用に74HCU04を使います:
      入力側: TOSLINK(Rx) → 74HCU04×2 → CMI8338の72pin
      出力側: CMI8338の71pin → 74HCU04 → TOSLINK(Tx)

と記載したのですが、nekoさんのBBSでのやまねくんさんの発言から、出力の位相反転用74HCU04はいらないのではないか?ということになり、自分のところでも試してみたところ、確かに入れなくても全く問題ありませんでした。 ということで、現在では、

  入力側: TOSLINK(Rx) → 74HCU04x2 → CMI8338の72pin(基板上のJ4のところではんだ付け)

  出力側: CMI8338の71pin(基板上のJ1のところではんだ付け) → 74HCU04x2 → TOSLINK(Tx)

となっています。

 ここで大切なのは、CMI8338との74HCU04との間の接続に、(特に入力側は)同軸ケーブルを使う必要がある、ということです。 CMOS ICは、どうしても電圧入力でノイズが回り込みやすいですから、74HCU04の出力をCMI8338へ単線で引き回してしまうと、アンテナとして機能してしまって、配線同士が離れた状態にある仮組の際にはノイズがでなくても、PCケースにきちんと収めた段階になって、CMI8338への入力がノイズを拾ってしまい、全く使いものにならなくなる可能性があります(事実、私のところがそうでした(^^;;;)。



 いつもの1kHz、0dBのテストCDから.WAVにCD−Rで変換してAudioPCI+CS8402で出力したものを、CMI8338側で受け、その波形をefuさんのWaveSpectraで見たものは次のようになります:

(入力例)



 まだ、詳細にはWaveCompareしていないのですが、CMI8338のデジタル入力はかなり素性がいいことがわかりました。 


 テストCDからCD−Rで.WAVに変換したものを、CMI8338側から出力して、別のPCでCS8412+ES1370で受けたものは次のようになります:

(出力例)


入出力の場合とも、非常に良好な特性を示していることがわかります。



 これまでに、CMI8338(ART838-3D)関係でわかったことは次の通りです:

1.S/PDIFを使った録音/再生は、16bit,44.1kHz,stereo固定です。 それ以外のフォーマットの.WAVファイルやMIDIファイルなどはS/PDIFからは出力されません。 なお、S/PDIFを利用するためには、ART838をインストール後、まず「音量コントロール」を開き、「オプション」−「トーン調整」を選択して、WAVEの音量の下に出る「トーン」ボタンを押し、「enable S/PDIF in & out」の双方のチェックボックスにチェックを入れた後、PCを再起動しなければなりません。(この情報は、http://www.tbrowne.demon.co.uk/sound/cmi8338.htmにありますTomさんによるCMI8338リファレンスカードの評価記事に依ります。 同ページには、CMI8338のデータシートもありますので、一読されることをお薦めいたします。 なお、Tomさんの評価記事の存在は、nekoさんのBBSでのおだき@波平会さんの発言で知りました。)

2.CDプレーヤで1kHzのテストCDを再生しつつ、同一テストCDからripした.WAVファイルをART838で再生してうなりを調べてみたところ、周期が5秒位でした。 ですから、周波数の偏差は〜0.2Hz、率にして0.02%位と思われます。(この調べ方については、nekoさんefuさんにご教示いただきました。 ありがとうございました。)

3.今、ART838が刺さっているPCのIRQは、次のようになっています(Abit BH6):

  IRQ  5 : CMI8338/C3DX PCI Audio Legacy Device
  IRQ 10 : AMD SCSI Host Adaptor
     10 : USB Host Controller (BX)
  IRQ 11 : CMI8338/C3DX PCI Audio Device
     11 : RTL8029 Ethernet Adaptor
     11 : Rage Pro Turbo AGP 2X


  ということで、CMI8338は、きちんとIRQ共有が出来ています。 また、nekoさんのBBSでのK.Tanaka //さんの報告では、YMF724なカードと問題なく共存できるとのことです。

4.CMI8338のS/PDIF inへの配線を同軸ケーブルに変更したところ、ノイズは根絶されました。 テストCDからripした.WAVファイル(50秒ほど)と、その.WAVファイルをES1370+CS8402+TOSLINKで送り出したものを、TOSLINK+74HCU04x2+CMI8338で受信して.WAVファイル化したものとをWaveCompareしてみたところ、完全に一致しました。

5.録音は、Windows標準のSoundRecでOKですし、付属アプリでも出来ます。

('99.2.7)
 以前に、”CMI8338からの光デジタル出力の具合の方は、それを受信すべきTOSLINK+CS8412+ES1370のシステムの方のプチノイズが根絶されていないので(^^;;;、今のところ完全には確かめられていません。”と書いたのですが、AudioPCI(ES1370)のデジタル入力のノイズをなんとかなくすことができたので、40MBほどの.WAVファイルをCMI8338+74HCU04x2+TOSLINKで出力してTOSLINK+CS8412+ES1370で受けてみて、efuさんのWaveCompareでビット毎に調べてみたところ、完璧に一致することがわかりました。 ですから、デジタル出力の方も、全く問題ないことになります。


結論

 ”44.1kHz光デジタル入力用I/F”としてみた場合、プチノイズ根絶の容易さ(同軸ケーブル化すべき箇所が最低1箇所だけ)を考慮すると、CMI8338搭載カードはかなり考慮すべき対象のように思われます。 特に、CS8412のような入手性に若干難がある部品を全く使用しない上に、外付け部品がTOSLINKと74HCU04だけ(三端子レギュレータとパスコンは必要ですが)というのはポイントが高いと思います。



 なお、おことわりですが、このARISTO ART838-3Dは、ART833の直系だけに、アナログ側はうり二つです(^^;;; 光デジタル入出力インターフェースと割り切って使えば非常に安価に利用できるとは思いますが、サウンドカードとしてはART833と何ら変わらない、ということに注意していただきたいと思います。


(プチノイズ対策)

 TOSLINK+CS8412+ES1370でのプチノイズの件は、結局、AudioPCI(ES1370)基板上のLRCKの入力pinのところの47kΩの抵抗とパラに100pFのセラミックコンデンサを挿入して、波形をなまらすことによって解決しました。 これは、テストCDからの光出力を受信しながらefuさんのWaveSpectraで観察しつつ、オシロスコープでES1370へ入力されているどの信号にノイズが乗っているかを調べていたとき、LRCKにプローブを当てたときのみ全くプチノイズが出なくなることを見つけたので、オシロスコープの入力容量程度のキャパシタを付加して波形をなまらす、というアイデアを思いついたものです。 実際、オシロスコープで見たLRCKの立ち上がり/立ち下がりには、非常に速いリンギングが重畳していました。