('99.9.17)
デジタル入出力関係で集めたサウンドカードがずいぶんと多くなりましたので(^^;;;アナログ特性もついでに測定してみました。 結局、Codecの良し悪しが如実に現われているように思います。 また、サンプリングレート変換の有無も非常に大きな要素です。 全てのデータを48kHzにサンプリングレート変換してしまうAC97系のサウンドカードは、そのサンプリングレート変換の品質の悪さが如実に現われてしまっています。
以下の測定は、例によってefuさんが公開して下さっているWaveSpectraとWaveGeneを活用させていただきました。 これらのツールがなければこれほど正確なデータは得られないと思います。 また、測定方法に関しても、WaveSpecra/WaveGene付属の説明書で色々と勉強させていただきました。 心から感謝申し上げますm(__)m
測定は、WaveGeneで発生させた信号をサウンドカードのライン出力より出力し、それをオーディオ用のステレオミニプラグつきシールド線でライン入力へ戻し、そのライン入力のみをWaveSpectraでモニタする、という
full duplex mode で行ないました。 使用ドライバやその設定に関しては、ページ末尾にまとめてあります。 WaveGeneで発生させたのは、44.1kHz、16bit、Stereoの信号です。
まずは、0dB、100Hzのimpulse応答による周波数特性と、1kHz、0dBの正弦波を再生している際にライン入出力間を開放した場合の基板上での信号の回り込みを調べたものです。
('99.9.21)追加
周波数特性の測定方法において、efuさんから詳しく教えていただきましたm(__)m WaveGeneの方で、周波数のところをサンプル数単位にし、WaveSpectraで見ているサンプル数と同じにすれば(一サンプルデータ内に一本のimpulseだけがある状態にする)、一本の周波数特性のカーブになる、ということです。 その方法で測定したデータも追加します:
SoundBlaster PCI 64 (純正Ensoniq AudioPCI) |
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SoundBlaster PCI 128 | ![]() |
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ATrend 3DS724A (Yamaha YMF724) |
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Labway Xwave6000 (Yamaha YMF744) |
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Aristo ART-838-3D (Cmedia CMI8338) |
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AudioExcel AV-511 (Cmedia CMI8738) |
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ここは、前回の測定の際?(あるいは抜き差ししたとき)に、カードのアナログ入力ミキサ回りにダメージが入ってしまって、1kHzを少し越えた辺りから特性が劣化し始め、10kHzでは-20dB以上になってしまっていたためにデータが取得できませんでした。 CMI8338/8738共、impulse応答のデータを見ていただければわかるのですが、ピーク値は0Hz(DC)になっているので、この辺りがダメージを与えた原因かも知れません。 とは言っても、共にDCカット用にLSIの入力端子とジャックの間にはコンデンサが入っているのですが(?_?)(@_@) |
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周波数特性では、旭化成マイクロエレクトロニクスのAK4531を使ったSB PCI 64及びSB PCI 128の良さが光ります。 ただ、基板上でのクロストークが大きいように思いますので、あまり full duplex での使用には適さないかも知れません。 noise floorの低さでは、SigmaTelの9708を使ったXwave6000が非常に優れた値となっています。 CmediaのチップはCodecまで含んでいるものですが、CMI8338→CMI8738の世代交代できちんと改良されていることがわかります。
SoundBlaster PCI 64 (純正Ensoniq AudioPC |
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SoundBlaster PCI 128 | ![]() |
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ATrend 3DS724A (Yamaha YMF724) |
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Labway Xwave6000 (Yamaha YMF744) |
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Aristo ART-838-3D (Cmedia CMI8338) |
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AudioExcel AV-511 (Cmedia CMI8738) |
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ここでも、AK4531の素性の良さが光っています。 3DS724AとXwave6000の場合には、48kHzへのサンプリングレート変換のせいか、10kHz/12.5kHzの結果が非常に悪いものになっています。 そういう面では、CMI8738の方が遥かに素直な特性と言えると思います。
最後は、0dBのsingle toneです:
SoundBlaster PCI 64 (純正Ensoniq AudioPC |
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SoundBlaster PCI 128 | ![]() |
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ATrend 3DS724A (Yamaha YMF724) |
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Labway Xwave6000 (Yamaha YMF744) |
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Aristo ART-838-3D (Cmedia CMI8338) |
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AudioExcel AV-511 (Cmedia CMI8738) |
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AK4531を使った2枚のカードは、アナログ信号のループバックではどうしても0dBにはならないのですが、それを割り引いても、非常に優れた特性であることがわかります。 特に、10kHzの場合の結果を比較すると、AC97系の3DS724AとXwave6000の特性の悪さが目立ちます。 その意味では、実売価格2500円以下という超低価格なAV-511は健闘しているように思います。
(結論)
アナログ系の入出力に重きをおくなら、現行のSoundBlaster
PCI 128を利用するのがとりあえずは良さそうです。 bulkなら5000円以下の価格で購入できる点もポイントです。 但し、MIDIは22.05kHzのサンプリングになっているので、YMF724/744ほどの華やかさはありません。 XG音源が必要なら、software
MIDIの併用も考えられます。 software MIDIを使うと割り切ってしまえば、AudioExcel
AV-511もおもしろいと思います。 デジタル入出力もきちんとできるはずですし、なんと言っても2500円以下で購入できるのは強みです。 あるいは、MIDI強化用にXwave6000辺りとの2枚差しもいいかも知れません。
(付録)
利用ドライバ等:
SoundBlasterPCI64: Windows98付属ドライバ(Ensoniq
AudioPCI用)、Wave/Aux/Volumeの各スライダを最大にする
SoundBlasterPCI128: Windows98付属ドライバ(Ensoniq
AudioPCI用)、Wave/Aux最大、Volumeのみ-2段階
3DS724A: 製品付属ドライバ、再生側:ボリューム最大/Waveは下から1/3位、録音側:ラインのみ最大
Xwave6000: 製品付属ドライバ、再生側:ボリューム最大/Wave最大、録音側:ライン-1段階
ART-838-3D: 製品付属ドライバ、再生側:Volume/LineIn/WaveOutput最大、録音側:LineIn/WaveOutput最大
AV-511: 製品付属ドライバ、再生側:Volume/LineIn/WaveOutput最大、録音側:LineIn/WaveOutput最大
WaveSpectra設定:
impulse応答: 4096samples、矩形窓
上記以外: 4096samples、ハニング窓