らーめん、ドキュメンタリードラマ連載中
荻窪に行く機会があったので、春木屋に行ってみたら、たまたま休みだった
。丸福はすごい行列だったので、タウンセブン裏の「漢珍亭」に行ってみた。
春木屋が休みだったせいか、行ってみると6人の待ち人。しかし、回転率は
早く、10分も待たないで「グリット」につく。メニューはラーメンを中心に、
ワンタン、チャー、など。ご飯モノ(チャーハンなど)もラインナップ。
私は、体勢に入るとおもむろに「味付け卵入り入りラーメン」を注文。周り
の人を見ると全員が味付け卵を食べているではないか!中には2つ入れているヤ
ツもいる。私も「味付け卵」を頼まないわけにはいかなかった。
3〜4分たっただろうか。店主の奥さんと思われる、浅黒く体格のいいオバ
サンが、軽い「卵ラーメンね」の一言と共に私の前によくある中華模様の入った
ドンブリを置いた。
ついに「目標物」は姿を現した。
まずは、匂い。はて、どこかで嗅いだことのある匂いだ。しかし、その醤油
ラーメンのありがちな匂いの奥深くに隠された、私の脳裏にある「共通するモノ
」との一致はできない。
そして形容だ。綺麗な飴色をしたいわゆる醤油のそれである。それは日頃、
スープによって麺が見えないほどの濃霧に覆われたモノを多く見せつけられてき
た私にとって、心の清涼感さえ感じる色だった。そのスープの中に鎮座する1つ
の卵はトンぶりの中のプリマドンナのように妖艶な姿を私に見せつけた。
ついに、箸をとるときがきた。この瞬間がラーメンという総合芸術がもっと
も激しく私にフェロモンを発する瞬間である。まずは、ドンブリ横に申し訳なさ
そうに寄りかかるレンゲを手に取り、おもむろに一口すする。
「・・・・・・・。」
「この味って・・・。」
私の過去におけるすべてのデータにアクセスが開始された。そして、答えが
見つかるまでにそう時間はかからなかった。
「コロニーの味だ」。
そう、この味は「ラーメン二郎」のそれにもっとも近い!
しかし、全く同じという訳ではない。酢はあまり、私の舌ではとらえること
はできなかった。しかし、醤油の香ばしい香りの中に広がるほのかな甘みに、私
は、レンゲを手にしたまま、無我の境地に達したのであった。
何秒が経過しただろうか。しかし、私の手にしっかりと握られた箸は自分の
意志とは関係なく、おもむろに麺をすくい上げ、「第一の波」を投げかけてきた
。
「・・・・。」
これは「・・・・。」
次号につづく・・・・・・