12/21
煮物見物異物
いきなりだが、最近のマイブームというやつは料理である。そして今日の料理は煮物である。そう、煮物。
煮物のおいしさは、なんといってもそのおいしさは・・・その筋の人に聞いてもらうとして、とにかく今日の晩飯は煮物を作るのだ。誰が何といおうと、誰も何も言わないだろうけど、とにかく煮物である。
何故、今、煮物なのか。話は前日に遡る。
近所のスーパーにインスタントラーメン5袋パック¥198を4袋ほど買うべく立ち寄ったところ、思いがけず鳥の胸肉がタイムサービス100g38円だったのだ。普段一番安い肉といえば鳥のもも肉ジャンボパック100g68円なのだ。つまり普段の約5割5分8厘8毛である。これは買わねばなるまい。
そして私は買った。564gのパックを1つ、税込み225円である。ほんとはもっと買いたかったんですよ、ええ。でも手持ちがなくてね、鞄が重くてね。
さて、買ってみたものの、鳥の胸肉なるものは一体如何に調理すればよいのか。如何なる料理に向くモノなのか。その謎多き肉塊が3つもあるのだ。その日はそのままステーキ風に焼いてみたものの、あまりに固くて味がない。焼きすぎだとか下処理していないのもまずいのだろうが、あまり食いたい物ではない。
シチューに入れるのも良いかもしれないが、さすがに2週続けてシチューだけというのは避けたい。それだけでなく、せっかく安く手に入れた肉である。この際豪勢に一枚どどんと、その姿を保ったまま食したいではないか。それが男のロマンってもんじゃぁないかね?
そこで白羽の矢が立ったのが煮物だ。現在のレパートリーはカレーシチューに野菜炒めとハンバーグだけであり、ハンバーグは作るのが面倒くさくしかも深刻な金欠に陥ったときのための冷凍保存食なので普段残り3つのローテーションは些か飽きがきていて、そろそろ新しいものに挑戦してみたいのである。
そして翌日、愚かで無謀な挑戦が始まった。
肉だけ煮ても仕方がないので、まず八百屋に赴き具材の相談と調達をせねばなるまい。
「あ〜、煮物を作ろうと思うんですけど、何入れたらいいっすかね。」
と始まり、肉じゃが風にすることを薦められ人参じゃが芋玉ねぎを手に入れ家に帰ったものの、これだけではとてもさみしい。物悲しさが漂う。お父さんは哀しいっ。
そして今度はそもそもの元凶である近所のスーパー、彼のユータカラヤに赴いてみた。ここで手に入れるは椎茸である。椎茸はこちらのほうが安いのだ。と、篭に入れて再び頭をかすめるのは寂しさである。所詮椎茸が増えただけじゃないか、と。そして目についたのが南瓜である。少し考えてみたものの「そうだ、南瓜といえば煮物だっ。いいや、俺は南瓜が食いたいのだ」と訳のわからないことを考え始め、煮物を作る事を忘れ「そうだ、小松菜だ。青菜も食わねばならん。」「そうだ、鍋には葱だっ。」「すき焼きにはもやしも入れたい。」と、次々と辻褄のあわぬ物を買い、いざ台所に立って深い後悔に苛まれるのである。
でも、全部使う。
材料はどんどん切っていかねばならない。丸かじりもいいが切っておいた方が良かろう。煮物なのですべて一口大に、肉人参じゃが芋玉ねぎと。ここで肉は一枚どどんと煮たかったんだったと思い出してまた哀しくなってみるが、後の祭。
それにしてもいいかげん南瓜を切り葱を切った頃には面倒になってくる。何せ一度に作る量は4〜1週間の朝晩飯分である。世間様で言うところの12〜21人前作るのである。とても面倒くさい。小松菜は葉と茎に分けただけで、もやしはボウルにあけたまま晒しっぱなしで水切りなし。げにいいかげんである。
さて、ここで極めて重大な問題を眼前にする。
私は、煮物の作り方を知らないのだ。
人参やじゃが芋は水から茹でるのが定番だが、肉は、その他の材料はいつ入れれば良いのか。調味料はいつ加えるのか。調味料はしょうゆ、酒、みりん、砂糖でいいのか。分量もわからない。わからないことだらけである。
考えている間にお湯が沸いてしまったので、「えいっちくしょうっ」とばかりに一度にすべて放り込む。肉人参じゃが芋南瓜を入れて少しところで調味料を入れてみる。しょう油を直接、どぼどぼと。入れすぎてしまったので酒はもう少し慎重に、と思いつつくしゃみをしてしまい更にじゃぼじゃぼと。これはいかんと思ってみりんはおたまにとってみたものの、やはりこれまた思っていたより多く出してしまった。なんとかせねばと思ったものの、ピンに戻すわけにもいかず、かといって捨てるのも勿体ないので結局鍋の中へ、わしゃっと。
砂糖はさすがにスプーンで入れるので気分的に多く入れた気はしないが、ここで「塩を炒れると砂糖の甘さが強調されると言っとったな。」と余計なことを思い出し塩をぱらぱらと入れてみる。
味見をしてみると、当然うまくない。吐くほど不味いわけでも、味が濃いわけでもないのが救いだが、ここでまた余計なことを思いつく。「・・・もひとつパンチが足りないから豆板醤でも入れてみようかな。キムチ鍋なんてのもあることだし。」
これはさすがに寸前で考え直したが、鍋のほうは残りすべて入れると溢れてしまうので小鍋とヤカンにご登場願い只管煮る。煮つづける。
そして再び余計なことを思いつく。「生臭さを消すのに生姜を入れたりするんだったなぁ。」それは煮魚のときやっちゅうねん、今さら遅いっちゅうねん。
と、今突っ込んでみても作ってるときに露ほども思わなかったので、生姜の代わりにニンニクを入れて、味が締まったような気になってみるが入れたのは極少量なので効果のほどは疑問だが、とにかく人事は尽くしたので、後はもう少し煮えるのを待つだけである。
ので、ゲームに興じてすっかり忘れ、気がついたときには既に煮すぎて南瓜がぐずぐずになっていた。
ま、ま、とにかく完成である。不味くても、変でも。
完成したら、食うのが道である。
食ってみると、意外と不味くない。私の不味いの範囲は相当広いが、一応不味くないので。一応は。
「いただきました、星、ひとつはっんっでっすっっっ」
等と言ってみるが、世間一般様ではどうだろうか。
食ってみないか?
ちなみに野菜炒めはその筋の人からおいしい炒め方と調味料の配合を教わったので、かなりうまい。
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