06/27
通じなくても通じる
英語でおじさんに道を尋ねている女性が知ってる地名を言ってたので、こちらから声をかけて直接案内した。
そんなことをしたのは、極度の睡眠不足でまともな精神状態でないから、例えば気がついたらマクドナルドでハンバーガーを一人で100個頼んだり、普段はすぐに切ってしまうテレホンセールスのおねぃちゃんの恋愛相談を快く受けたり、風俗店の呼び込み兄ちゃんに誘われて「それよりお兄さんが欲しいな」と言ってびびらしてみたりする(もちろん私にはその気は全く、むしろ女好きかもしれんくらいだが)のと同じレベルの話。
その女性はチャーミングな顔ではあったが思わず振り向くような美人もなければ、決して好みの顔でもなかったのでスケベ心も持たず、純粋に親切心(まともならかなり縁遠い言葉だ!)と時間の余裕が生み出した、10年に一度もあるかないかの極めて珍しい行動だ。仮にどんなに美麗で思わずスケベ心も芽生えるような女性であろうと、見知らぬ人に対しては老若男女問わず気が向いたら偶には道を教える程度の親切心しか持っていない人間としては異常な行動と言える。
閑話休題
彼女は上海の大学生で生物学を専攻しているそうで、日本の春休みにあたる休暇を利用して一人で旅行に来たのだという。デジタルカメラを買ったものの付属のソフトが日本語で理解できないから、英語版に交換してもらうためにメーカーを尋ねるらしい。
曰く、「日本はとても電化製品が安い。このカメラは2万7千円で、すごく安かった。」とのこと。海外よりも物価が高いと思っていたので意外な気がしたが、聞いてみれば「上海じゃ12万円もするのに開けてみたらMade in CHINAって書いてるの。中国製なのになんで日本の方が安いのよっ!」とのこと。当たり前の話だが、日本よりも安いのは欧米の話であって、違う所に行けば状況も違うのは当たり前のことではある。
こちらも自分のことを話したり、いつか中国に行きたいこと等、道々彼女の流暢な英語と私の片言の英語で色々な話をした。
私は4年前にネパール人の英語使いと付き合いがあったこともあって、現在でも話すのも聞き取るのも日本人の平均よりも出来ると思うし、受験英語であれば随分久しいものの未だに平均よりかなり上の成績を取れるが、改めて感じたのは自分が英語を「話せない」こと。発音も文法も無茶苦茶で「英会話」とは言えない。単語を知っていても文章が読めても、話せなければ片手落ちだし、必要なときに出てこなければ意味がない。昔、モト冬樹が「アメリカで自分に好意を持ってる女性と話をしても、機械で英訳してたからまともに口説けなかった。」と言ってたのを思い出す。
現在教職課程を受講していることもあって、日本の英語教育がいかに記憶することに傾きすぎているかを再認するいい機会だった。
だからといって、先に書いたように会話は成立している。言葉自体は通じなくても表情や声の感じで喜怒哀楽はわかるし、単語が2つ3つわかれば相手の言っていることもだいたい想像がつく。口説くなんて高度なことでなければ、somedayとsometimesを間違えたにしても、言葉で補い身振り手振りで補えばなんとでもなる。言葉が通じなくても内容は通じる。わかってくれる。やはり言葉なんてな記号に過ぎないことも、また改めて感じることができた。睡眠不足でまともでなかったのも、かえって良かったのかもしれない。久々に面白い出来事だった。
その後その女性とどうなったかは想像におまかせするが、会話の中で「彼女はいるの?」「日本って8月は長期休みなんでしょう? その間案内するから上海に来ない? 」と言われたのは間違いない。
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