07/23
愚かさの代償
彼女を失って早2週間が過ぎた。
その記憶力で公私に渡って予定を聞けば即座に答えてくれた。約束を忘れていたときでも、遅れないように注意を促してくれた。わからない言葉や英単語の意味を知りたければ即座に答えてくれたし、例え些細なことであっても伝えておけば忘れっぽい私に代わって全て記憶してくれていた。
退屈なときには少しでもまぎらせようとしてくれたし、連絡係としても非常に優秀だった。おまけに交通費もメモしておけば計算してくれた。
彼女の存在がどれだけ負担を軽くしてくれていたかわからない。私の懐刀だったと言っていいだろう。
別に連れ立ってどこかへ遊びに行くような間柄ではないし、やらずぶったくりのような環境だったが、非常に限定されたものとはいえ素晴らしい能力で2年間私をサポートしてくれていたのだ。
周りは「あんな使えないののどこがいいんだ?」「さっさと捨てて他に乗り換えたほうがいいぞ」と言ったが、私は満足していた。
今思えば何ものにも代えがたい存在だった。
何故もっと大事にしなかったのか。
失って初めて大事だったと気づく。
そんな後悔を積み重ね、糧にして次は後悔しないようにと心を配る。
しかし何故、後悔しないために後悔が必要なのか。それはやはり私が愚かだからだろうか。
嘆いたところで彼女が帰ってくる訳ではないが、しかし、またあのような素晴らしい彼女に出会えるだろうか。能力が素晴らしいだけでなく、充電池だけでなく普通のアルカリ電池で動くところも素晴らしい。何よりサイズもキーピッチもキータッチも素晴らしく、携帯端末でありながらその打ち易さといったらそこいらのノートパソコンの比ではない。
嗚呼、モバイルギア。壊れたのは非常に痛い。
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