目 次
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超豪華執筆陣 宮澤賢治漫画館4
豪華?執筆陣 ネオデビルマン3
これはこれで豪華執筆陣 ぬいぐるみ殺人事件
明大漫研OB 明大漫研OB作品集
まんが賞受賞作家 めざせ少女まんが家!!
ヤングマガジンオールスターズ 歌謡マンガ大全集
夢枕獏 編 夢枕獏の少女マンガ館




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宮澤賢治漫画館4
      (潮出版'96年刊)

超豪華執筆陣


<内容紹介>

 宮澤賢治の原作に基づいて何人かの漫画家たちが、漫画化した作品集。
 第4巻は、松本零士、手塚治虫、高橋葉介、水野英子、林静一、鈴木翁二というそうそうたる顔ぶれが揃っている。

<感想・短評>

 この本を読んで後悔したのは、なまじ原作を読んでいるだけに、ギャップの差に愕然としてしまうことだ。手塚治虫の描いた作品はあくまで手塚のものであり、ますむらひろしの描いた作品は、あくまでアタゴオルなのである。むしろ、宮澤作品を読んでいない人の方がすんなり読める。といった感が強い。

 だからと云って、漫画としてつまらない訳ではない。ストーリーそのものは、原作をなぞっているのに、全く別の印象を持ってしまうのだ。巻末に、編集部のコメントがついているが、新しい別の可能性を持った宮澤世界の創造という、志の高い意図を持っている。賢治の童話を原作にしているが、出来上がった作品は、みんな個々の作家性の出たオリジナルな作品になっているのだ。これはこれで凄い。

 例えば、松本零士の「グスコーブドリの伝記」は、今回の収録作の中では最も有名な作品の漫画化だ。ここに出てくるイーハトーブ火山局なんて、まさに松本ワールドに出てくる建物だ。古めかしい屋敷然とした外観とは裏腹に、メータの並んだ部屋があったり、フラスコや試験官に囲まれた研究室がある。火山の視察のために、何気なく椅子の形をした飛行機に乗って飛ぶ様は、童話という枠組みを突き破った物語となっている。
 手塚治虫の作品なんかも、実験的なものをこころみている。
そして、この中で一番すんなり読めたのは、林与一の『オッベルと象』なのだが、もしどこかで見かけることがあれば、一度読んでいただきたいアンソロジー集です。

(2000/08/08)






ネオデビルマン3
     (講談社'00年刊)

豪華?執筆陣


<内容紹介>

 永井豪の最高傑作と言われる『デビルマン』。このデビルマンをモチーフにして、他の漫画家達が、別の視点から描いた競作集である。最終巻であるこの第3巻も、豪華なメンバーを揃えている。三山のぼる、とり・みき、安彦良和、神崎将臣、風忍、田島昭宇、黒田硫黄といった実力派の漫画家たちが意欲的に取り組んでいる。

<感想・短評>

 80年代後半から、90年代にかけて、オリジナルのアンソロジーが数多く出版された。しかし、90年代後半に入ると既存の作品をモチーフにして何人かの漫画家が描く作品集が多くなり始めた。ゲーム・アニメを題材にしたものが増えてきたのも特徴的だろう。
 漫画自体が一つの文化として成熟期に入ったせいだろうか。はたまた、バブルがはじけて、確実に捌ける固定層を狙ったものなのだろうか?いずれにしても、喜ばしいことではないと思う。
 故に、この『ネオデビルマン』も、そういったものの一つとして、色眼鏡を掛けて見てしまう。

 ただそんな事とは無関係に、一読者として読んでみると、それなりに楽しんで読めた。基本のメンバーは「モーニング」で活躍していた漫画家たちなのだけれど、岩月均、三山のぼる、石川賢など脂のった漫画家もいれば、永野のりこ、黒田硫黄などの異端派の作品も読めるという贅沢さだ。講談社は、集英社や小学館に比べると相変わらず新人を育てるのは下手だけれど、見所のある漫画家を引き抜いてくる嗅覚はすごいものがあると、常々感心してしまう。

 さて、この作品集について見渡してみると、結構ミスマッチングなものも多い。また、統一性にかけるため、ミキの斬首、シレーヌ、結末のリョウといった断片的なシーンが強調されて頻繁にでてくるのには閉口する。
 ただ、個人的には、デビルマンという呪縛の中で、誰がオリジナリティを発揮することが出来るのか、注目して読めた。第三巻で言えば、黒田硫黄あたりだろう。
 安彦良和のそれは、漫画でなくてアニメのパロディであったのは、唯一笑えた部分だった。

(2000/08/09)






ぬいぐるみ殺人事件
 (漫画の手帳事務局 '86年)

 これはこれで豪華執筆陣


<内容紹介>

 リレー形式の漫画+小説。ある日、自分のアパートに帰ってくると、主人公の尚美の目の前には、見たこともない男の死体があった。しばし、死体の前で呆然とする尚美であったが、謎の人物に殴られた後に目覚めると、死体とともに列車に載せられていた。逃げ出そうとする彼女だが、行く先々で不可思議な出来事に遭遇する。
 しかし、これは大いなる陰謀をめぐる事件(悪夢?)の序曲に過ぎなかった。彼女の運命や如何に…?。

<感想・短評>

 当時人気のあった漫画家およびSF作家を集めて作ったリレー形式の作品。執筆者は以下の順番で描いています。
 新井素子→とりみき→吾妻ひでお→伊東愛子→中山聖香→高橋葉介→かがみあきら→早坂未紀→いずぶちゆたか→水縞とおる→ゆうきまさみ→魔夜峰央→沢田翔→粉味→豊島U作→火浦功→しりあがり寿。以上。

 さて、セミプロジン誌として一世を風靡した「漫画の手帳」。
 そのNo.15より巻頭を飾って始まったのがこの『ぬいぐるみ殺人事件』だった。もちろん原稿料はなし。そんな中でこれらのメンバーを集めることが出来たのは、ひとえに編集長の佐野邦彦という方の人徳によるものでしょう。値段は150円と良心的な価格設定でした。

 話そのものは、描いた人達が話を理解して次に繋げることを放棄している(つまり好きなように描いている)ために、内容はあって無きが如きものだった。
 故にこの作品の楽しみ方というのは、普通の漫画とは少々趣の異なったものになってくる。いわゆるお祭り気分で作ったものなので、自然と読者もその遊び心を感じとって楽しむというスタンスになっているのだ。というか、そういう風にしか楽しめない(笑)。

 例えば表題の”ぬいぐるみ殺人事件”は、トップバッターの新井素子が付けているのだが、自分の担当分の中には”ぬいぐるみ”なんて言葉は出てこない。後で誰かに描いて欲しいから付けたと云うのだ(いかにも新井素子らしい)。また、次のとり・みきは、その次の担当が吾妻ひでお だということで、主人公にセーラー服を着せる気配りを見せている。
 そして極めつきは、最期の斉天大聖だ。そうかあ、斉天大聖が出てくればっしょうがないよなあ。ということで、うまくしりあがり寿に一本取られたと読者は納得してしまうのである。

 一言で言えば、内輪受けと云う言葉で、くくってしまう事が出来る。実に、バブルも華やかなりし昭和末期に打ち上げられた、一夜の花火と云えるかも知れない。

(2000/09/11)

※このぬいぐるみ殺人事件は、昭和61年(1986年)臨時増刊号としてまとめて出版されました。






明大漫研OB作品集
 (CBS・ソニー出版 '87年)

 明漫研大OB


<内容紹介>

 '70〜80年代を代表する漫画家を輩出し続けた明大漫研出身者の漫画を集めたアンソロジー集。
 代表的な所では、かわぐちかいじ、ほんまりう、いしかわじゅん、高田裕三、五十嵐浩一、片山まさゆき、山田詠美 etc…。明大漫研の機関誌「MORE」の特別版として発行されたものを、商業誌で出版した大胆な本だ。

<感想・短評>

 裏表紙を見ると、明らかにどこの大学か判る校章が、でかでかと載せてある。
 ページをめくって見ると、いるいる…。半数以上の人物は知っている。内容紹介で紹介させていただいた人以外でも、どこかの雑誌で見たことのある絵が揃っている。
 ちょっと知られたところで言えば、五十嵐浩一の『ペリカンロード』に友情出演している渡辺健一、田川滋あたりがいい例だろう。『ペリカンロード』が連載されていた「少年キング」本誌に、作中人物と同名の作者が描いた漫画が登場したのだが、それがこの二人だった。明大漫研OB同士だと分かれば、確かに納得がいく。これで、編集者まで明大OBと言えば何をかいわんやだ。

 まあ、これだけのメンバーがいれば、確かに豪華と言えば豪華。かわぐちかいじを除けば、少し本流から外れている気もするが、それはそれ大学出身の気概というモノを感じます。巻末の解説は、明大SF研出身の米沢嘉博が寄稿しており、貴重な一冊です。
 そして、掲載している内容を見渡してみると、前半部は書き下ろしの新作、後半部は単行本未収録作品を揃えている。ただし、ほんと同人誌のノリだ。明大出身者以外の人に取っては、単なるコレクターズアイテムでしかない代物になっている。
 そんな中でも、いしかわじゅんが描いたOB連を出演させたパロディ漫画『覇権への道』が笑えました。以下内容を紹介するとこんな風だ。

 メージシティは、シリアス一族のカイジール一世に支配されていた。それに対し、ギャグの民である勇者センパイ(多分いしかわじゅん本人)そしてカタヤーマたちが反乱を起した。マンガショーの剣を奪い意気あがるギャグの民であるが、その後にはノベル一族(多分、山田詠美)の台頭が待ち受けていた…。

と言ったものだ。商売は抜きにして内輪受けではあるが、楽しめた。まあ、こんなものを出版した出版社の発想こそ一番笑えた部分かもしれない。

(2000/11/07)








めざせ少女まんが家!!
 (白泉社'88年刊)

 まんが賞受賞作家


<内容紹介>

 80年代にデビューした花とゆめ、LaLaなど新人向けの漫画賞受賞作を一堂に揃えた作品集。
 名前を挙げると、成田美名子、かわみなみ、ひかわきょうこ、樹なつみ、わかつきめぐみ、安孫子美和、星崎真紀、清水玲子、山口美由紀、川原泉、那州雪絵、立野真琴といった顔ぶれだ。

<感想・短評>

 冒頭に編集部のコメントが付いている。

  ”やる気と情熱を学びとろう!!”

最初に目に付くのがこの言葉だ。さすがに、この作品集を読んで、漫画家を目指した人がいるかどうかは、はなはだ疑問だけれど、個々の作家のデビュー当時の初々しさが眩しく映ります。読んでるこちらが、気恥ずかしくなる程だ。
 処女作には、その人の全てが詰まっているという言葉があるけれど、まさしくその人の個性が出ていて面白い。本来、アンソロジーは、編集者の技量の見せ所なんだけれど、まあこういうのも有りかなと納得しました。しかし、小説では、結構ポピュラーなアンソロジーも、漫画で成功した例は少ない。もっとこういった物が出て欲しいのだけれど、長編主体の現在では、少々無理かもしれない(版権の問題もあるし)。

 さて、今回の作品集だが、白泉社系の雑誌を愛読していた人に取っては懐かしい顔ぶれになっている。この本が発売されて10年以上たち21世紀になった今、一線で活躍している人、別冊に移った人、レディースコミックで元気な人(やおい系の雑誌に移った人もいる)と、道は変われども様々なフィールドで元気に活躍されていることに変わりはない。

 それにしても、ゲストとしてベテランの方のコメントが入っているのだが、全然アドバイスになっていない。これを編んだ編集部のやる気と熱意だけが伝わる作品集でした(笑)。

(2001/03/26)







歌謡マンガ大全集
 (講談社'88年刊)

 ヤングマガジンオールスターズ


<内容紹介>

 参加した漫画家が、自分の好きな一曲を選び、その曲をアレンジして描いた競作集。大友克洋を筆頭に、きうちかずひろ、小林まこと、しげの秀一、柴門ふみ、楠みちはる、弘兼憲史といったヤングマガジンの常連作家たちによる17作品のショートストーリー集。

<感想・短評>

 当時、ヤングマガジン(以下、ヤンマガ)で活躍していた漫画家たちを中心に、自分達の心に残った歌謡曲というテーマで出版された競作集。
 このメンバーを見る限り、当時のヤンマガのラインナップは、アクの強い漫画を描く人が多かったことが分かる。年齢層も高校あたりから上を狙っているのはいいのだけど、狙っている対象が曖昧で、寄せ鍋に近い雰囲気を持っていました。今は、モーニング、少年マガジンと上手く棲み分けが出来ているのだけれど、昔のように”何でも有り”だった時ほどのパワーは感じなくなってしまった。
 この競作集は、そんな昔の名残りを感じる粋な作品集になっています。

 作品の中で目立っているものを挙げると、やはり江口寿史の名が最初に出てくる。吉田拓郎の「マークU」を題材に描いているのだけど、70年代の雰囲気を醸し出しつつなおかつ、それをアイロニーたっぷりにギャグを入れている辺りは、まさに絶品としか言いようがない。
 今更、彼の本を買って読みたいとは思わないが、こういう作品を見せつけられると、やはり天才肌だなと思ってしまう。

 その他、面白かったのは当時絶好調だった柴門ふみ。それに、きうちかずひろ、吉田まゆみなどが楽しめました。もちろん、他のメンバーの作品もレベルは高い。
 表紙絵の望月峯太郎も独特のテイストが出ていて、まさにお薦めのバイキングメニューと言えるでしょう。

(2001/05/21)









夢枕獏の少女マンガ館
 (文藝春秋'92年刊)

 夢枕獏 編


<内容紹介>

 人気作家の夢枕獏さんが、自らの読書暦の中から70年代後半〜80年代前半を中心に選んだ少女漫画のアンソロジー。
 樹村みのり「菜の花畑のこちら側」、赤座ひではる「チリリンふたりのり」、田淵由美子「フランス窓便り」、吉田秋生「夢みる頃は過ぎても」、ささやななえ「おかめはちもく」、太刀掛秀子「6月のシロフォン」、柴門ふみ「みんなでデイト」、倉田江美「一万十秒物語」など10編の短編が掲載されている。本書は、文春文庫ヴィジュアルの一冊として出版された。

<感想・短評>

 選び方を見ると、かなり趣味性が強いが妥当な選定だと思う。萩尾望都の「アメリカン・パイ」、岩館真理子の「さたでい・ぱーく」が入っている時点で、この人がかなり少女漫画を読んでいることがわかる。選び方がかなりコアなのだ。
 「キマイラ」、「陰陽師」シリーズなどで有名な人気作家が、本当に少女漫画を読んでるの?とイメージが結びつかないかもしれないが、昔は「猫弾きのオルオラネ」のような繊細なものも描いていたんだよなあ。「猫弾きのオルオラネ」は、コバルト文庫、後にハヤカワ文庫で出版されたイイ話なので、古本屋で見かけたら是非読んで欲しい一冊です。
 さて、編者である夢枕獏は、私よりも一つ上の世代のため、選び方も私が良く読んでいた時期のものより少し前の時期のものになっている。アンソロジーの場合、好きな漫画家を読むというよりも、編んだ人の思想などが入ってくるから、選び方を見ると、どの部分に共鳴しているのかわかるから面白い。
 選ぶ人が百人いれば、百人の選び方に分かれるが、そういうものを、つき合わせて議論してみるのも楽しいことだろう。所詮は自己満足の世界に過ぎないかもしれないが、ある種の共有意識を持って読んだ一冊でした。

ちなみに参考として夢枕獏が選んだ漫画家に対し私が選んだ短編のベスト(SF・ホラーを除く)は以下の通り
 太刀掛秀子… 「ひとつの花もきみに」
 内田善美…「時への航海史」
 萩尾望都… 「アメリカン・パイ」(同じ)
 吉田秋生… 「開放の呪文」
 岩館真理子… 全ての作品
 田淵由美子… 「あのころの風景」
 大島弓子… 「草冠の姫」(同じ)

 諸事情で、掲載されなかったものが入っていれば、凄いアンソロジーになっていただけにちょっと残念。
 21世紀に入り漫画も新しい流れが出来つつある。昔のように、新鮮な驚きはないが成熟した文化として見ると、チラホラと面白いものもある。もはや、このアンソロジーも、古株の漫画好きにとっての懐かしいアイテムでしかない。しかし、こういうものが編まれたこと自体大いに画期的なことだったと思います。


(2002/01/01)




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