近況報告のバックナンバー
「A級戦犯」をめぐる私の発言の真意と波紋

 私は5月26日の自民党代議士会で次のように発言させていただきました。

 「小泉総理の靖国神社参拝をめぐって中国がA級戦犯合祀を問題にしています。これに対する与党幹部の態度はいかがなものか。中国の気にさわってい るから何とかして靖国神社とA級戦犯を切り離したいという対応しかしてないように見えます。そもそもA級戦犯といいますが、日本が占領下にあったとき、勝 者である連合軍が国際法違反の軍事裁判で敗戦国日本を裁いたものです。戦争はどうしても話し合いで決着しないとき、国際法で認められた一つの政治形態で す。

 日本は経済封鎖され、やむなく戦争せざるを得ない状態に追い詰められ国際法のルールにのっとって戦争をしました。勝った方が正義で負けた方が悪と いうことではありません。独立回復後は、国会でも全会一致で名誉回復を図り、A級戦犯といわれた人達の遺族にも恩給が支給されるようになりました。

 

 A級戦犯の中には絞首刑になった人も禁固刑になった人もいましたが、皆罪を償いました。のちに大臣や総理大臣になった人もいます。A級戦犯はもは や罪人ではありません。日本は中国にも韓国にも何度も何度も謝ってきました。戦後60年間、平和主義を貫き、一度も戦争をしないでやってきましたし、経済 援助もしてきました。中国や韓国にこびてA級戦犯の分祀や新たな追悼施設建設をめざすのではなく、『東京裁判は国際法上違法であった』と世界に向って主張 すべきです」

 代議士会のあと、マスコミの人達から「政府の一員である貴方が、侵略戦争を美化するような発言をしていいのですか。いつ大臣政務官をお辞めになり ますか」というひどい電話があったり、「なぜ、いま日中関係がこじれているこのときに発言されたのか、真意が分からない」などと、いかにも私が“政治音 痴”であるかのような質問をしてきた人もいました。

 「私は小泉総理に靖国参拝を続けてもらいたいという思いで一政治家としてサポートしています。なぜ、職を辞さなければいけないのですか」「わが党 の武部幹事長らの訪中こそ、なぜ、いま必要だったのか。行くべきではなかったと思います。私は当時の軍国主義を正当化しようとしているのではありません。 A級戦犯の何たるかを論じないで、ただ、おわび行脚を続けているいまの与党幹部の姿勢は将来に禍根を残します」と答えました。

 夕刻、議員会館の事務所に戻ったとたん、秘書から「代議士、電話とメールの洪水です。批判的なものは数行で、あとはほとんど激励してくださるものばかりです」と聞かされ、反応の早さと関心の高さにびっくりしました。

 この日午後の細田官房長官の記者会見で私の発言が話題の一つになったと聞き、ニュースを見ましたが、「政府の一員として話したのではないでしょ う。個人の見解でしょう」と話してくださっていました。お気遣いはありがたいと思いましたが、極東国際軍事裁判やA級戦犯についてしっかりした見解が示さ れなかったことには、正直いって失望しました。靖国神社にまつられている246万柱の英霊が泣いているに違いありません。


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