【滴水録】
アガサ・クリスティの「ナイルに死す」と坂口安吾の「不連続殺人事件」には同じ「心理的トリック」が使われている。
いずれも仲が悪いように見せかけた二人が実は示し合わせて犯行に及んでいたというものだ。
ポアロも、巨勢博士も、そんな犯人たちの一見なんということもない行動の「不自然さ」から事件の真相を看破した。
【不自然な行動】
仲が悪い男と女がいる。パーティの席で激した男が女に襲いかかり、身の危険を感じた女はパーティの会場から外へ逃げ出す。
【ポアロ ・ 巨勢博士の指摘】
男から逃げるのは理解できるが、大勢の人がいるパーティ会場から、わざわざ人のいない外に逃げ出すというのは、身の危険を感じた状況としてはかなり不自然な話。