秋山郷の温泉 (下水内郡栄村)

秋山郷・屋敷温泉
平家の隠し湯・弘法の封じ湯「屋敷温泉」 (国道 405号線)
正面の白い建物は秋山小学校
「屋敷温泉」は、その向こうの中津川を渡った先にある民家周辺

| 小赤沢温泉 楽養館 || 上野原温泉 のよさの里「牧之の宿」 || 切明温泉 雄仙閣 |

  小赤沢温泉 楽養館(らくようかん)
内湯
 新潟県津南町から国道 405号線を秋山郷に向かい、県境を過ぎてすぐの集落になる小赤沢にある温泉。村内で販売されている「栄村観光ガイドブック さかえ」(栄村企業観光課)によれば、温泉の湧出は昭和五十八年( 1983 )とのことで、それほど古い温泉ではない。
 ただ、この温泉の特筆すべき点は、湧き出した時は無色透明の湯が、空気に触れると酸化して赤褐色の湯( 含鉄 - ナトリウム・カルシウム - 塩化物泉 )に変るだけでなく、湯一キログラム中に含まれる「カリウムイオン」が 328.4 mg 、「鉄イオン」が 32.66 mg 、「マグネシウムイオン」が 284.7 mg という高濃度温泉(記述に間違いがなければ)であることだ。ほかの温泉の成分表などと比べてみると、成分によって違いこそあるが、ほとんどが倍以上の成分量( 総合計 2335 mg )であることがわかる。通常の温泉の倍以上という高濃度温泉の「小赤沢温泉」は、一般療養泉ではなく、むしろ療養温泉としての認識のほうが利用者には強いようだ。
 温泉施設は古い民家調で趣のある造り。渡り廊下を通って別棟にある浴室に向かう。風呂は内湯のみ。注ぎ口からは、湧出したままの勢いで熱い湯が迸っている。これも一見の価値があるものといえよう。泉質は 含鉄(U) - ナトリウム・カルシウム・塩化物強塩温泉 。源泉温度は 45度、使用位置で 44度。
 「楽養館」には宿泊施設がない。宿泊の場合には、小赤沢集落にある「秋山館」( 0257-67-2105 )や民宿を利用する。自慢は、地元産の山菜を使った郷土料理。

小赤沢温泉 楽養館
 
 小赤沢温泉 楽養館 下水内郡栄村大字堺 18210-10
 TEL & FAX 0257-67-2297
  下水内郡栄村大字堺付近 ( 1 / 150000 )
  財団法人栄村振興公社
 [ 営業時間 ] 10: 00 〜 20: 00 
   ・ 11月 〜 4月は 18: 00 まで
 [ 定休日 ] 無休
   ・ 11月 〜 4月は毎週水曜日
 [ 料金 ] 大人 500円、子供 350円
 [ その他 ] 宿泊不可

小赤沢温泉 楽養館には、平成 13年 8月 17日に訪問しました。 


  上野原温泉 のよさの里「牧之の宿」
露天風呂
 国道 405号線を小赤沢から切明に向かう途中の、栄村上野原地区にある公共の宿が「のよさの里 牧之の宿」。茅葺屋根の本家と七つの分家で構成されており、それぞれが渡り廊下で結ばれている。
 宿の名称に使われている「牧之」とは、「秋山紀行」や「北越雪譜」の著者である鈴木牧之 ( 1770 〜 1842 )のこと。牧之は、明和七年( 1770 )一月二十七日、現在の新潟県南魚沼郡塩沢町に仲買商人の家に生まれ、幼名を弥太郎、元服した後は義三郎と称した人物。「牧之」は俳号。
 その牧之が秋山郷に足を踏みいれたのは、文政十一年( 1828 )九月八日、五十八歳の時だったという。行程は、塩沢から十二峠を越え、葎沢〜田代〜野士〜見玉(一泊)〜清水河原〜見倉〜中ノ平〜大赤沢〜甘酒〜小赤沢(一泊)〜上の原〜和山〜湯本(二泊)〜屋敷〜大秋山跡〜前倉〜上結東(一泊)〜逆巻〜見玉〜小出(一泊)〜塩沢というもので、十四日までの六泊七日の道中だった。このなかで牧之は、秋山郷の山・川・自然・文化から、人々の衣食住や山仕事などの生活状況まで克明に記録し、民俗学の先駆けともなる「秋山紀行」や「北越雪譜」を記した。
 のよさの里「牧之の宿」は、秋山郷の存在を全国に伝えた牧之の偉業を偲び、また語り伝えるために、栄村が昭和六十二年に設けたもので、玄関には、彼の故郷である塩沢町の鈴木牧之記念館の協力を得て製作された栃の木(秋山の名木)による牧之の像が置かれている。因みに「のよさ」とは、秋山郷でお盆やお祭りの際に歌われる「のよさ節」という民謡から名付けられた。
 温泉施設は、内湯と露天風呂の二つ。内湯は「本家」と呼ばれる母屋にあるが、露天風呂は少し離れた別棟にあるので、渡り廊下を通って移動することになる。写真にもあるように露天風呂からの眺めは、急峻な山肌を露出する鳥甲山( 2037m )が一望のもと。周囲の森林が放つ緑も眩しいほどだ。近くにある切明温泉の露天風呂(手堀風呂)に人気があるせいか、一部の温泉ファンを除いて、シーズンでも露天風呂を利用する客は疎らだという。宿泊もできるので、機会があればぜひ立ち寄ってみたい。
 源泉名は湯の沢源泉で、泉質は ナトリウム・カルシウム - 硫酸塩塩化物泉 (弱アルカリ性低張性高温泉)。源泉温度は 58. 9度、使用位置で 56. 0度、pH 7. 56。

のよさの里
 
 のよさの里「牧之の宿」 下水内郡栄村大字堺 18020-49
 TEL 0257-67-2345
  下水内郡栄村大字堺付近 ( 1 / 150000 )
  財団法人栄村振興公社
 [ 営業時間 ] 10: 30 〜 18: 30
   ・ 12月 〜 4月は 17: 30 まで
 [ 料金 ] 大人 300円、子供 150円
 [ その他 ] 宿泊可能

上野原温泉 のよさの里「牧之の宿」には、平成 13年 8月 17日に訪問しました。 


  切明温泉 雄仙閣
雄仙閣館内
内湯
  秋山郷の最も奥にある「切明温泉」は、鈴木牧之の記した「秋山紀行」のなかで「湯本」という記述で登場する。牧之の記した「秋山紀行」によれば、この温泉は、江戸時代中期( 1750年頃 )、一帯を支配していた箕作村(現在の長野県下水内郡栄村箕作)の庄屋島田三左衛門が開発したもので、五月から七月には、越後や信濃からも湯治客が訪れ、疝気に効能があると知られた名湯だったようだ。もっとも、牧之が訪ねた九月は、「山おろし」や「露霜」などで湯治客もほとんどなかったらしく、湯守りの老夫婦と子供が一人いるだけだったとある。清らかな、そしてほどよい熱さの湯は、長旅を続けてきた牧之にはよほどありがたかったらしく、当初は一泊の予定だった「湯本」での滞在を、主人の勧めもあって二泊にするほどだった。
 また、ここでの記述では、民俗学的にも大変貴重な資料でもある「マタギ」について記されていることだ。「マタギ」は、羽州(山形県・秋田県)から獲物を追って広範囲に移動する「狩人」のことで、この地にも羽州出身の「マタギ」が訪れていたようだ。「秋山紀行」によれば、滞在二日目に、牧之は直接「マタギ」の一人に会い、彼らの生活状況を聞き取っている。それによれば、彼らの生活は、魚野川沿いに小屋を設け狩猟を続けていたという、そして、捕獲した獲物(岩魚や鹿肉・熊肉)は、仲間がこれを担ぎ、「湯本」から魚野川(中津川)を遡って野反湖(群馬県吾妻郡嬬恋村)に至り、さらに上州(現在の群馬県)草津の温泉場を訪ね、売りさばくことで生活の糧を得ていたようだ。
 「切明温泉」については、温泉の心地よさに離れ難くなってしまったことや、「マタギ」からの話を聞くために二泊滞在したこともあって、かなり詳しく記されている。興味があれば、読み易く現代語訳された「秋山紀行」(訳・磯部定治、恒文社刊)が発刊されているのでご覧頂ければと思う。

 「切明温泉」では、日帰り入浴も宿泊も可能な施設として「秋山郷温泉保養センター雄仙閣」( 0257-67-2252 )、「切明リバーサイドハウス」( 0257-67-2253 )、「切明園」( 0257-67-2255 )の三つが営業している。今回訪ねた「秋山郷温泉保養センター 雄仙閣」は、(財)栄村振興公社が運営するもので、昭和四十七年に開業した古い民家調の佇まいが印象的な村営の温泉施設。
 館内は、入ってすぐ正面にフロント兼売店、休憩所で、階下に男女別の内湯と露天風呂がある。内湯は、規模はそれほど大きくないが、なかなか立派なもので、窓の向こうには「手掘り温泉」(川原温泉)で知られる魚野川(中津川)の流れを望むこともできる。温泉の温度は、多少の調整はされているのだろうが、とにかく熱い。牧之も「ほどよく熱く快い」と「秋山紀行」に記しているが、「熱い」のがおそらくこの温泉の特徴なのだろう。因みに温泉分析表によれば、泉質は カルシウム・ナトリウム - 塩化物硫酸塩温泉 (弱アルカリ性低張性高温泉)、源泉温度は 54. 7度とのこと。

      秋山ぶし
       秋山ぶし
       ハアーサアエ
       山に抱かれて 流れを抱いて
       おらが秋山 七谷八谷
       お湯も流れの中で湧く

       ハアーサアエ
       咲いたつつじの 花より燃える
       あの娘かわいや 平家の末よ
       雪でみがいた玉の肌

 「雄仙閣」前に架かるつり橋を渡った魚野川(中津川)の川原には、温泉が湧き出している場所( 写真 )があり、スコップ一丁で露天風呂を作ることができる。スコップは、「雄仙閣」で無料で貸し出ししてくれる。
 露天風呂を作るコツは、先ず、前の利用者が作った温泉を見つけ、これに持ってきたスコップで手を加えること。これなら、ちょっとの作業で露天風呂を作ることができるはずだ。ほどよく完成したら、第二段階として温度の調整に進む。実は、「手掘り露天風呂」の難しさは、掘ることではなく、この温度調整だおいわれている。風呂の温度は、一般的に川の水を引き込み行うのだが、流れがあるために、部分的ではあるが熱い部分と冷たい部分ができてしまうそうで、そのたびに体を移動させ適温を求めることが必要になるのだという。
 そうはいっても、秘境で体験できる自分だけの露天風呂は絶品。多少の凸凹があっても、多くの入浴者は十分満足して浸かっているそうだ。ぜひお試しあれ。

切明温泉 雄仙閣
 
 秋山郷温泉保養センター雄仙閣 下水内郡栄村大字堺 17878-3
 TEL 0257-67-2252 FAX 0257-67-2255
  下水内郡栄村大字堺付近 ( 1 / 150000 )
  財団法人栄村振興公社
 [ 営業時間 ] 
  ・ 5月 〜 11月中旬 10: 30 〜 20: 00
  ・ 11月中旬 〜 4月 10: 30 〜 18: 00
 [ 料金 ] 大人 300円(中学生以上)、子供 150円
 [ その他 ] 宿泊可能

秋山郷温泉保養センター雄仙閣には、平成 13年 8月 17日に訪問しました。 


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