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大鹿歌舞伎 長野公演
( 2007. 6. 16 )

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大鹿歌舞伎 長野公演 ( 2007. 6. 16 )

「神霊矢口渡 頓兵衛住家の段」から

 大鹿歌舞伎 長野公演
 下伊那郡大鹿村に江戸時代から伝わる「大鹿歌舞伎」(国選択無形民俗文化財)の長野公演(主催:財団法人長野県文化振興事業団、共催:長野県・長野県教育委員会)が十六日、長野市若里の長野県県民文化会館中ホールを会場に開催された。
 公演当日の午前中は、歌舞伎の舞台を演出する舞台裏の体験コーナーが行なわれたほか、会場の展示ギャラリーでは「写真と衣装で見る大鹿歌舞伎の世界」が催され、これまでの名場面を撮影した写真パネルや、実際に役者が着用した歌舞伎の衣装が展示された。また午後二時半からは、平賀源内作の「神霊矢口渡 頓兵衛住家の段」が演じられ、千人を越える観客が南信州に伝わる伝統芸能を楽しんだ。
 「大鹿歌舞伎」は、江戸時代中頃から各集落にある神社の舞台で演じられ、今日まで伝承されてきた「地芝居」(農村歌舞伎)に属するもので、毎年五月三日には村内下市場の大磧神社で、また十月の第三日曜日には塩河の市場神社で定期公演が催されており、例年二千人近いファンが訪れ観劇を楽しんでいる。


新田義峰と愛人の台(うてな)の二人がお舟の家へ
新田義峰と愛人の台(うてな)の二人がお舟の家へ

 「神霊矢口渡 頓兵衛住家の段」
観客必携の豆本
観客必携の豆本
( 100円 )
 会場で配られてた案内によれば、この「神霊矢口渡 頓兵衛住家の段」は、明和七年( 1770 )一月に、江戸の外記座で初演されたもので、原作者は、あの平賀源内だという。江戸浄瑠璃の代表作で、東京都大田区にある新田神社の縁起物として記されたようで、全五段あるうちの四段目がこの作品らしい。
 さて、舞台は室町時代の多摩川(東京都大田区・目蒲線矢口渡駅徒歩十五分)・矢口の渡し。この矢口の渡しは、新田義貞の子義興(よしおき)が、渡守・頓兵衛の手により川底に沈められた場所でもある。そこへ、義興の弟義峰(よしみね)と愛人の台(うてな・以下「台」)の二人が来て、頓兵衛の娘お舟に川のむこうに渡してくれと頼むところから芝居は始まる。
 ところが、このお舟、義峰の美男子ぶりに一目ぼれしてしまい、何とか引きとどめようと、舟が出ないので家に泊まってくれとすすめ、義峰らを家に連れ込む。お舟は台が義峰の妹か妻であるかを聞き出し、妹と偽りを語る義峰の言葉を真に受け止め、その思いを口説くことになる。義峰はお舟の情熱に負け、恋路に手と手を取り合うものの、御旗の仕業か、二人は気を失ってしまう。
 物音に気づいた台が、その場に倒れている義峰を見つけ介抱するが意識は戻らず、そこで義峰の懐にあった新田家の御旗を取り出してみると、たちまち二人の意識が戻ることとなる。

お舟の家を訪ねる義峰と台義峰の気を引こうとするお舟
お舟の家を訪ねる義峰と台義峰の気を引こうとするお舟
追う頓兵衛を引き止めるお舟櫓上で息絶えるお舟
追う頓兵衛を引き止めるお舟櫓上で息絶えるお舟

 その様子を見ていた頓兵衛の下男六蔵は、お舟が義峰を匿っていることを知るが、六蔵はお舟に「夫婦」気分させられたことですっかり有頂天になってしまい、うまくだまされてしまう。
 それを知った頓兵衛、義峰を殺して手柄を立てようと、暗くなるのを待って家に忍び込み、刀を突き刺せば、なんとそれは娘のお舟…。わが娘を傷つけながらも、金のために善峰を追いかけようとする父頓兵衛。お舟は、金のためとはいえ、娘が恋した人を殺そうとは貪欲だと抗議するものの、頓兵衛はそんな娘の言葉も聞かずに、義峰の後を追いかける。
 案内によれば、このお舟と父・頓兵衛との掛け合いがこの芝居のクライマックスと評しており、可憐な娘心のお舟と対照的な頓兵衛の悪人ぶりを、くどいほどの時間を割いて演じている。また、頓兵衛が義峰を追って花道から引っ込む姿は「蜘手蛸足」(くもでたこあし)という、いかにも追っ手を装った姿を演じるので見逃せない。
 深手を負ったお舟だったが、義峰らを無事逃すために村の囲み(義峰を追いかける頓兵衛の手下)を解く合図の太鼓を打つことを思いつき、満身の力を込めて櫓に登る。下男の六蔵は、太鼓を打たせまいとお舟を止めるが、お舟は六蔵の刀を抜き、横腹を刺して六蔵を多摩川に突き落とす。お舟は、太鼓を打ち終わると櫓に身をのけぞらせ息絶える…。
 ほかの地方で行われている演技には、この後、追いかける頓兵衛に、何処からか矢が飛んできて、頓兵衛を打ち倒すところまで続けられるという。この矢は、頓兵衛によって殺された兄義興が、弟を救うために放ったものであることはいうまでもない。

 「大鹿歌舞伎」についてのお問い合わせ
 長野県下伊那郡大鹿村大河原 391-2
 大鹿村役場 教育委員会事務局 または 産業課観光担当
 TEL 0265-39-2100 0265-39-2877 FAX 0265-39-1023
 [ 参考HP ] 大鹿村観光情報

この記事は、平成 19年 6月 16日に取材・撮影したものです。
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