日本の城リファレンス:page6(土塁総論)
 例えば君が城に侵入するとしよう。進む先が一段でも高くなっていたらイヤだよね。そこに敵が槍とかもって構えていたら……そこから考えてみよう。

 東日本では土塁(または土居)が主流、西日本では石垣が主流。これには、石が取れる取れないというのもあるが、それよりも各地方の伝統が関与していたとも思われる。南九州や東北など、大和政権に「征服」された地域土着の大名は、江戸時代になってなお独自の築城形式を色濃く残している。しかし、それらの地方に転封された織豊大名は主君に習った築城法を地方で行っている。織田信長の安土城以前は石垣は部分的に使われていたのみだが、石垣がまったく使われていなかったわけでもない。
 まずは土塁。土塁の高さは内側が隠れる6メートルくらい。
 まずは土を盛って外敵に備えるか。空掘を掘るついでに、その余った土砂を単純に積み上げよう。これが掻き揚げ土塁。したがってあまり急角度には出来ない。中世の武士の館に使われた。
 では、もっと強化する方法はないだろうか? 掘り上げた土砂だけでなく粘質ある土砂も用いて低いところから叩いて固めながら土塁を積んでみるか。これが、その名の通り叩き土塁。したがって少し急な角度にすることも可能。城郭にはこちらを使用。さらに技術は進歩する。
 まず堀を掘りあげた土を曲輪内に積む。次に護岸用に杭を累壁に沿って打ったところで板壁をつくり、土塁を積み上げ土を固める。積まれて固めれば板と杭を取り除いて出来上がり。これを版築土塁という。戦国期から発達した方法である。これに芝を植えれば(芝土塁)さらに最強となる(それほどでもないけど)。
 でも、土の山だったら簡単に登れるよね? もっと坂を急にする方法はないだろうか? それが石垣なわけだ。

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