玉石混合!?美味しく飲むためのTIPS集 〜その4 |
◆デキャンタージュは必要か? |
デキャンタージュというのは、ワインのをボトルから直接グラスに注ぐのではなく、いったんデキャンタというガラス製の器に移す作業のことを言います。通常は、古いワインについては「オリを取り除くため」、若いワインについては「まだ若くて閉じている場合、空気に接触させて開かせるため」というまったく異なった目的のために行われています。前者についてはわかりますが、後者については反対意見もあるようで、堀賢一氏は著書「ワインの自由」の中でワイン醸造の世界的権威であるエミール・ペイノー教授がこの二番目の効用の反対論者であることを引き合いに出し、自身も日本ではデキャンタージュが安易に行われ過ぎていると結論づけています。 通説としては、 というところだと思います。 私自身はどうかといえば、個人的には、デカンタージュは好きじゃないです。理由は以下によります。 |
◆ビンテージの善し悪し |
「よいビンテージ=今飲んで美味しいとは限らない」ということはどこの入門書にも書かれているので、あえて繰り返しませんが、でもやっぱりよいビンテージのワインは美味しいと思います。(笑) 特に最近のボルドーは、若くから飲みやすいように作られる傾向にありますし、このところ価格もグンと下がってきているので、95、96といったすばらしいビンテージを買って飲んでも「幼児虐待」などと揶揄されることはないでしょう。さすがに1級とか、スーパーセカンドはもったいないと思いますが、たとえば先日飲んだラグランジュ96などはすばらしいものでした。価格も3千円台でしたし。 では、よくないビンテージのワインは買うべきではないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。 ブルゴーニュについては、91は最近再評価される傾向にあり、狙い目と思います。94もそろそろ飲み頃に入ってきているものがあるようで、ちょっと前に飲んだアルマン・ルソーの「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」などはまだ若いもののすばらしい味わいでした。個人的には良い作り手の87などもねらい目と思います。(あまり市場にありませんが。)
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◆ビンテージの良し悪し2 |
ところで、ビンテージって、ある地域の印象が強すぎて、実は他の地域は良い年なのに人気がなく安く入手できたり、とか、はたまたその逆のパターンなどもあるようです。具体的にいくつか挙げてみます。 ◆61年は ボルドーにとっては今世紀屈指の当たり年だけど、ブルゴーニュは並年。 82年、86年も同様。 などなど。あくまで一般的なビンテージ情報ですので、これがまたさらに微細な地域差や生産者によってまた違ってくるところが面白いところですね。 |
◆ハーフボトルの買い方 |
私もよくハーフボトルを買いますが、買うときには以下の点を考慮しています。 上記のことははっきりと統計的な数字があるわけでも科学的に解明されているわけでもありませんが、概ね経験的にもうなずける部分があります。我が家ではハーフボトルを買うことが多いので、買うときには、なるべく若めのワインを買うことにしています。一方、年代物は通常のボトル以上にリスキーだと思うので、もし買うなら信頼できる店で買うことをおすすめします。 |
◆美味しい温度は何度位? |
飲むときの温度は重要です。よく「白ワインは冷たく、赤ワインは常温で。」と言われていますが、現実には夏場に「常温」では温度が高すぎます。温度が高すぎるとぼんやりした感じの焦点の定まらない味になりますし、逆に冷蔵庫などで低くしすぎると、今度はギスギスの味になってしまいがちです。私は概ね赤ワインについては「ちょっとひんやりする程度」(=たぶん14〜15度くらい)、白ワインについては、「若くてフルーティなものは低め(6〜8度)、熟成して複雑なものは高め(10〜12度)」くらいを目安にしています。赤ワインについては実際はもっと高くてもよいのでしょうが、グラスについだり、デキャンタしたりしていると、その間に温度が上がるのでこの位がいいと思ってます。夏場なら、冷蔵庫(冷凍庫は絶対NG!)で20〜30分冷やすくらいでしょうか。 <↑TOP> |
◆熟成って面白い! |
私がワインに興味を持つようになったきっかけは、たまたま家で何年もの間忘れ去られて、別物のように熟成した白ワインを飲んだことだったんですが、熟成のメカニズムについては、まだ解明されていない点が多いようです。熟成については以下の二つがあってよく混同されているように思います。(というか、私もよく判っていない。) 1.ゆるやかな酸化によるもの 2.還元的熟成によるもの これらの熟成は、温度やその他もろもろの条件に左右され、一般には高温では熟成は早く進み、低温だとゆっくりになるようです。そのため、ごく若いワインの場合、丁寧にセラーで保存したワインより、常温で一夏過ごしたワインのほうが味がまろやかになって美味に感じられたなんて逆転現象も起きたりします。我が家でもセラーの容量の関係上、寝室で保存しなければならないワインがかなりありますが、たまにそのような事例に出くわします。ただし、これらはあくまで「ケガの功名」であって、本来の熟成によるものでないことは言うまでもありません。また、 こうした環境へのタフネスさはワインの品種や産地によって大きく異なります。買ってきてすぐ美味しく飲めるタイプのワイン(新世界やスペインなど)やデリケートなピノノワールの多くは逆にグジュグジュになってしまうリスクが高いですし、 調子に乗ってふた夏越させると悪くなる確率がぐっと上がるようです。セラーがない環境ではワインのためにもやはり早めに飲んであげるのがよいでしょう。 |