玉石混合!?美味しく飲むためのTIPS集 〜その3
 

◆ワインと料理の「マリアージュ」

ワインと料理の相性、すなわちこの料理にはどういうワインがあうか、あるいはこのワインにはどのような料理をあわせればよいかという質問を、同僚や友人からよく受けるのですが、筆者はよほど「やめておいたほうがよい」という取り合わせでない限りは、「飲みたいものを飲めばいいんじゃない?」と答えています。

「やめておいたほうがよい」組合わせとは、たとえばカレーライスと高級なピノノワールとか、おでんやうどんとフルボディのボルドーとか、焼肉とソーテルヌとか、想像するだけで、「これはちょっとツライかなあ」というものです。ものの本には、刺し身などもわさびがきいているのでワインは合わないとか書かれていますが、私はたいていブルゴーニュをあわせて飲んでいますし、トマト味のものも酸味がキツイのであわせにくいとありますが、私は結構平気で若いボルドーと一緒に食べています。まあ単に私が鈍感なだけかもしれません。

最近はワインが日常生活の中に浸透してきていることもあって、「家庭料理に合うワイン」という類の特集をよく目にします。ただ、中には「とんかつにはアルザスのリースリング」とか「エスニックにはゲビュルツトラミナー」とか、なんていう、確かにそのとおりだと思うけれども、ちょっとマニアックじゃないかなあという組合わせをよく目にします。
残念ながら我が家ではあんまり白ワインは飲まないので、自分のストックの中でも白ワインはわずかだし、ましてゲビュルツなんて一本もストックがありません。
タイ料理やベトナム料理(を家庭で食べることがそもそもそんなにない気もするけど)に併せてわざわざそれを買ってくるくらいならビールでいいや、と思うし、とんかつとだったら、個人的には若いボルドーやカリフォルニアの赤でもオッケーと思ってしまいます。

そもそも和食の家庭料理って厳密にあわせようとすればするほど、ワインの出番、とくに赤ワインの出番は減ってきそうな気がします。でも私は基本的に赤が好きなので、普段飲まないようなワインを無理して飲むよりは自分の好きな赤ワインを飲んでいます。
ケンタッキーフライドチキンとピノノワールとか、吉野屋の牛皿とカベルネとか、結構ジャンキーなものとのあわせも面白いです。

#ただ、人によってはマリアージュにことのほかこだわる方もいて、そういう方とご一緒させてもらうと、なるほどこれはすばらしい、というような組み合わせの妙を楽しませてもらえることもあります。なので、マリアージュにこだわる姿勢を決して否定するものではありませんし、私自身この分野についてはまだまだ勉強不足だと思っています。

◆グラスは何がよいか?
一方、グラスについては、ワイン代を少し回してでも、よいグラスを使うことをオススメします。リーデルのボルドータイプ、ブルゴーニュタイプのグラスは一部では「メダカでも飼うんか?」などと揶揄されたりするようですが、私も実際に熟成したボルドーを、試しにこの大きなグラスとテイスティンググラスとで飲んで見てその違いに驚いた経験があります。香りだけでなく、味わいもテイスティンググラスだとちょっとギスギスした感じだったのが、大きなグラスで飲んだら実になめらかに感じられました。
この大きなリーデルグラスの欠点は、洗うのに難儀することと、割ってしまうと大変なことになるということです。特に酔っ払ったときに洗うのは禁物です。我が家でも家内が2度ほど割っていますが、薄いのでいったん割れるとコナゴナになって掃除が相当大変です。また、ボトルの底の部分まで手が届かないので、よく洗っているつもりでもその部分がだんだん赤っぽくなってしまうのも困りものです。そんなわけで、我が家にもボルドータイプ、ブルゴーニュタイプそれぞれ数脚ずつありますが、デイリーユースにおいては稼働率は減少の一途をたどっています。一方、それに代わって、最近もっともよく利用しているのが、同じリーデル社の「オーバーチュアシリーズ・ボルドータイプ」です。オーバーチュアシリーズは、業務用に開発されたもので、材質がソーダグラスになり(ヴィノムシリーズは最高級レッドクリスタル)厚みもやや厚手となりますが、価格も安めだし、なによりも大きさの手頃感といい、素材の頑丈さといい、日常の利用にはぴったりだと思います。
左から、
リーデル社製
ヴィノムシリーズ
「ボルドータイプ」
「ブルゴーニュタイプ」
オーバーチュアシリーズ
「ボルドータイプ」
メーカー不明
 テイスティンググラス
◆レストランへの持ち込み
よいワインを買ったりもらったりして、どのような料理にあわせようかと悩んだとき、レストランに持ち込むという手があります。
持ち込みが可能かどうかはそれぞれの店に電話で確認してみましょう。ちなみに最近は1000円〜3000円の持ち込み料で持ち込みを許可してくれる店が多いようです。中にはスタッフに一杯飲ませることが条件、なんていう粋な店もありますが、個人的にはいくばくか支払った方がむしろすっきりします。ただ持ち込みという行為自体は本来飲み物が重要な収入源となっているレストランにおいてその収入がなくなる上に抜栓やグラス使用などのサービスが余計にかかるわけで、店にとっては割のよい話ではないはずです。したがって、あまり無茶を言って店に迷惑をかけないようすべきでしょう。グラス一杯ほど、店の人に味見がてら提供するのもよろしいかと思います。一方、せっかく良いワインを持ち込んでもその店のグラスが超プアなもので本来の香りを楽しめなかったなんてこともあるので、(私も何度か経験あります)その辺はあらかじめチェックして、場合によっては、グラスを持ち込むということも考えておいたほうがよいでしょう。
もうひとつ、持ち込みの際の大きな問題は、ワインを店に持って行く過程で振動を与えてしまうため、年代ものなどの繊細なワインの場合かなりバランスが崩れてしまうことです。本当は前日まで持っていくとか、先に送っておくとかしたほうがよいのでしょうが、なかなかそこまでする余裕がなくて、せっかくのワインの真価を発揮させられない。これが目下のところ悩みの種です。