玉石混合!?美味しく飲むためのTIPS集 〜その2
 

◆余ったワインの保存方法

ウイスキーや焼酎などの蒸留酒と違って、ワインには「日持ちしない」という難点があります。冷蔵庫に入れておけば1週間は保つ、なんて書いてある本もありますが、現実には、まともに飲めるのはせいぜい2〜3日。10数年以上経過した古酒などは、翌日にはもう飲めないと思ったほうが良いですし、比較的年代が新しいワインでも、抜栓翌日になると衰えてしまっていることが多いものです。それでも、ちょっとした器具や手間をかけてやることによって、翌日以降もそれなりに楽しむことはできます。その方法を紹介します。

1.「バキュバン」などの瓶の中を真空にする器具を使う。

専用のゴムの栓の部分が弁になっていて、ポンプ上の器具でシュポシュポと空気を抜きます。酒屋などで2000円ぐらいで売っています。効果はまあそれなりと思います。ゴム製の栓は、空気を抜いたつもりでも、ひと晩置くと空気が漏れてしまうというウワサもありますが、真偽は定かではありません。栓の部分がしっかりした作りの改良型?の製品もあります。

 



2.窒素ガスを充填するスプレーを使う

液面と空気との間に、窒素の被膜を作って、空気との接触を遮断するものです。それなりに効果は認められると思いますが、コストがかかるのが難点です。一本のスプレーで90回位は使用できるらしいのですが、我が家のように毎日飲んで必ず半分残し、しかも「今日はおしまい」、と思ってスプレーしたあとで、「やっぱりもう一杯」なんて飲み方をしていると、結構すぐなくなります(笑)。 なお、窒素ガスを充填するというメソッドにつきましては、かって「デックファイブ」の「Why Not」システムで、その効果に驚いたことがあります(3週間経過した20年前のラフィットがほとんど劣化していなかった)。ここぞというときは、被膜を作るだけでなく、ボトル1本にスプレー1本使うぐらいの勢いで、窒素ガスをボトル中に充満させれば、効果絶大かもしれません。誰か試してみてください。(笑)


3.小瓶に移し変える。

もっともコストがかからない方法です。酸化を防ぐためには、要は、空気と触れさせなければいいわけですから、残ったワインを小瓶の口ギリギリまで注いで、きっちりフタを閉めておきます。上手にやれば、おそらくこの方法がもっとも効果があると思われます。ただ、手順上、「デキャンティング」をしているのと同じ作業をしていることになるので、年代モノのワインやデリケートなワインには不向きでしょう。
瓶は栓が密閉できさえすればなんでもよいのですが、たとえば、「リポビタンD」の瓶などに移しかえる場合は瓶だけでなく蓋もよく洗わないと匂いが移ってしまいます。(←実話)
また、ペットボトルに詰め替えて、なにげなくテーブルの上などに置いておくと、家人がグレープジュースと間違えてラッパ飲みしてしまう危険もあります。(←これも実話。(^^;)
さらに、利用者のお話では、ペットボトルに何を移し変えたかをきちんと記録しておかないと、開けるたびに問答無用のブラインドになってしまうそうなので、注意しましょう。(^^;

4.状態のよいワインを購入するようにする。

翌日以降の保存性については、「ビンテージの新しさ」と「ボトルのコンディション」が大きく影響します。年代が新しくても、翌日ヘタッてしまうボトルは、流通段階で熱を浴びたケースが多いと想像します。購入時に、きちんとした店から購入するというのは大きなファクターです。

他にも、ビニール袋を瓶の中に入れて、中に空気を吹き込み、瓶の内側に密着させるとか、ビー玉をボトルの底に沈めて、空きスペースをなくすとか、ボトルの中でマッチをすって酸素を消費させる(!)、なんて方法も紹介されていますが、どれも衛生上問題があるような気がして私は試したことはありません。

なお、私は二日目以降のワインを飲むときは、もったいないですけど、最初の一杯目のごく少量を流しに捨ててから飲むようにしています。経験的に、空気との接触面はどうしても酸化の進み方が激しいように思われるからです。あとは粗が目立たないように、初日より小ぶりなグラスで飲むことが多いですね。

◆ワインセラーは必要か?

とりあえずは「絶対必要かと問われれば必ずしも必要なものではではない。」と答えておきます…。

<必要でない理由>
・短期間であれば、寝室にでもおいておけば特に問題はない。夏場であれば冷蔵庫に入れておけばよい。
・1〜2年のスパンであれば、夏場以外は涼しく風通しの良い冷暗所に保存しておくことで十分対応できる。
・本当に長期保存したいのであれば、レンタルセラーを利用する方法もある。 

その一方で、セラーがあればあったで、ワインの楽しみ方が広がるというのもまた事実だと思います。

<あると良い理由>
1.いただきものなどの高価なワインを長期保存しておける。
2.ワインの状態を良好な状態で維持できる。
3.セールなどで買い得のワインや、レアものワインを買いだめしておける。
4.夏場に飲むときに、適温ですぐ飲める。

ワインセラーというと、1や2の利点にばかり目が行きがちですが、私はむしろ3.の利点が大きいと思います。単に「飲む」ということから、「集める」という楽しみが増えるからです。まあ、私のようにこれがきっかけで歯止めがきかなくなる輩もいるので、それが好ましいかどうかは別ですが。あと、4も細かい点ですが、結構助かります。夏場に会社から帰ってワインをあけようと思っても、生ぬるくて冷やすのに時間がかかったり、冷蔵庫に入れたら冷え過ぎてしまっていたという経験をしたことがある人も結構いると思います。

ちなみにセラーを購入するときには以下のことに気をつけたほうがよいでしょう。

1.セラーは大きければ大きいほどよい。
今のところそんなに家にワインはないから小さいセラーでいいや、と思って20本〜30本入りのものを買うと、あっというまにセラーがいっぱいになること請け合いです。設置面積自体は30本入りも70本入りも同じ場合が多いので、スペースと予算に余裕があれば大きいものを買っておいたほうがよいでしょう。なにをかくそう我が家もスペースの関係で30本入りのセラーを購入したのですが、今やセラーの中身は「不動のラインアップ(=来客用にしか開けないであろう高価なワインや飲み頃がはるか先のワイン)」になりはて、デイリーワインは寝室で野ざらしになっています。
容量に十分余裕があると思っていても気がついた時にはいっぱいになっている、というのはまるでパソコンのハードディスクのようなものです。(^^;

2.結構音がうるさいセラーもある。
我が家にある「ロングフレッシュ」はセラーの中でも最もメジャーなものですが、音は相当うるさく、間違っても寝室にはおけません。設置場所に寝室をあてにしているとセラーが来てから困った事になりますので、事前に設置場所とセラーの騒音を確認しておきましょう。

3.床の強度をチェックしよう。
大型のセラーになるとそれ自体が重い上に、そこにワインを目一杯詰めるわけですから、真剣に床の強度を心配しましょう。二重床構造のマンションなどだとNGになることもありますし、私の友人にも、床が湾曲してしまった御仁がいます。(^^;

4.搬入できるか事前にチェック。
我が家でもついに先日、2台目のセラーとして、サイレントカーヴを購入しましたが、一番小さい70本入りのタイプ(最近ではもっと小さいのも出たみたいです)だったのにもかかわらず、家への搬入は困難を極めました。ビルの3Fの我が家の場合、階段の折り返しがギリギリだったのです。

5..おすすめセラーは?
一般に、メジャーなものは、「ロングフレッシュ」と「サイレントカーブ」です。
「ロングフレッシュ」
おそらくシェアナンバー1のブランドです。業務用でもよく使われています。我が家ではこれの30本入りを利用しています。とりあえず問題なく稼動していますが、コンプレッサーの作動音がうるさいのには閉口します。寝室に置こうなんていうのはもってのほかです。振動もかなり大きいような気がするんですが。なお、最近はコンプレッサー式でなく、「ベルチェ方式」を利用した新型も出ています。

「サイレントカーブ」
こちらは構造上コンプレッサーを使用しないタイプ(ホテルの冷蔵庫と同じ方式とか)なため、音は静かです。寝室においても全く大丈夫ですし、振動が少ないので長期保存にも向いています。ただ、冷却能力がやや劣るため、夏場に長時間開閉するのはコワイです。また設置棚が一本ごとになっていないので、下の方に入れてしまうと出すのが大変です。さらに、ワインをうまく積んでいくのには、コツがいります。「最大収容本数○○本」とパンフレットにはありますが、その本数を本当に積載するためには、相当ボトルの積み方を熟慮しなければならないでしょう。外見は木目調で高級感があり、インテリアにもマッチしそうですが、設置面積はロングフレッシュに比べてもかなり大き目です。最近冷却能力をアップした新型に切り替わりました。

その他
松下から出ているベルチェ方式のセラーは両者のメリットを併せ持った新方式として期待がかかります。ただ、デザインはよいのだけれど、収容本数に対してかなり筐体が大き目と思います。それにまだ新しい分、耐久性に関するデータがないのも不安ですね。ベルチェによる電磁波はワインに著しく有害だと主張する方もいます。

他には「トランスカーブ」「ユーロカーブ」といったブランドも愛用者が多いようです。外見はかなりカッコイイです。 「トランスカーブ」がもっともよいというプロの方が言っているというウワサも耳にした事がありますが、真偽のほどは定かではありません。

また、押し入れや物置きをセラーに改造する方法もあります。費用は若干かさみますが、融通がきくことに関しては冷蔵庫型セラーの比ではないらしいので、こちらも検討してみる価値はありましょう。ああ、でもこのような検討をできるご家庭がうらやましいです。(笑)

◆レンタルセラー考
自宅にワインセラーがなかったり、あるいは私のように自宅のセラーのキャパシティが小さくて所有ワインが納まりきれない場合、レンタルセラーを利用する、という手があります。
ちなみに私が利用しているのは、その筋では知られた「寺田倉庫」と「エノテカ」のセラーです。エノテカのセラーは、そこで購入したものに限られるのと、「クラブエノテカ」の会員であることが条件なんですが、年額は1ケース300円と割安です。寺田倉庫のセラー利用は一室単位と1ケース単位があり、一室単位の場合は1500本までの収納が可能ですが、この場合月4万8千円の保管料がかかります。
ケース単位 の保管料は、月600円。中身の入れ替えは一回50円だか100円だかの閲覧料を払えば可能です。ちなみに1ケースあたり12万円の補償がかかっています。保管料は多少アップしますが、補償金額を上げることは可能です。(30万円で月額720円など)

ところで私は2000年末現在6ケースを預けていますが、この場合の損得を考えてみましょう。
月の支払いは600×6→3600円。
したがって、年額は3600×12→43200円。
70本収納できるワインセラーが20万円程度で売られていることを考えると、5年預けるならセラーを購入したほうがよいということになります。
実際には、家にセラーを設置すれば電気代がその分かかるのでこれほどシンプルにはいきませんが、 それでも10年も預けるのであればセラーを買ったほうが「経済的には」安上がりと言えましょう。

では、家にセラーを置くスペースさえあれば、レンタルセラーを利用する意味はないのでしょうか?
私は将来引っ越して家の間取りに余裕ができたとしても、以下の二つの理由から、レンタルセラーを併用しつづけようと思っています。

1.リスク分散
自宅のセラーで一元管理するのは楽なんですが、停電、セラー故障、大地震といったリスクと向き合わなければなりません。そうした最悪のケースは考えたくもありませんが、寺田倉庫の場合は、耐震倉庫である上、停電の際も24時間以内に自家発電で復帰可能とのことです。

2.長期保存
10年というようなスパンで保存する場合、開閉や入れ替えが頻繁な我が家のセラーよりレンタルセラーで忘れさられたようにほったらかしにしておいたほうが、結果的にワインにはよかろうと思います。家に2台も3台もセラーをお持ちの方は話は別ですけどね。

ようするに、レンタルセラーは「定期預金」のようなものです。手元にないので、思い立って明日飲もう、というわけにはいかない分、自宅の一般のセラーよりは良好な環境で長期に渡って保存ができます。あとは寺田倉庫さんが経営危機に陥らないことを願うばかりです。(笑)