カプさんの2001年度受験レポート

今年ワインエキスパートに合格された、カプさんによる2001年度の受験レポートです。


<バックグラウンド>

 私の場合、ワイン歴と呼べるような履歴書はなく、友人に誘われて一年ほど前から月一回の定例のようなワイン会へ参加を始めたのがワインに傾倒し受験を決断するきっかけで した。
実際受験勉強を本格化させたのは5月初旬でした。それから毎日平均2時間は勉強に割いていました。

 それまでワインとの付き合いはドイツのリープフラウミルヒやコンビニで売っているカリフォルニアワイン程度のものでガブ飲み中心。食べ物に合わせて飲むということや、ま してや時と場所、相手を考えてワインを選ぶなんてことは思いもしませんでした。それまで何度か高価な(それでも一万円くらいの)ワインを飲んだことはありますが、ふーん高 いワインはこんな味がするのか。。。くらいにしか感じませんでした。それでも俗にいう複雑な香りや味・色があるんだという感覚はありました。が、それ以降も相も変わらず安 価なワイン(特にカリフォルニアもの)をよく飲んだような気がします。というのも品種がラベルにはっきり書いてあるので、今になって思うと選びやすかったからだろうと思い ます。当時ワイン紹介本の説明でうろ覚えだったセパージュのCS(カベルネ)・ML(メルロー)・ZN(ジンファンデル)・CH(シャルドネ)くらいは分かりました。フランス語に疎い私はPinot Noirは読めませんでした。(当時はピノット・ノ。。。え何ってカンジ。。ピノ・ブランやピノ・ムニエってのもあると後から聞きますます黒白ブドウ混合し頭はロートリング状態に。。)
あとは、ドイツワインのカビネット・シュペートレーゼ・アウスレーゼ等の順番くらい知ってました。(甘くなっていくんだなというくらいの知識です。当時はQmP、QbAなど知る由も なく。)試験受ける一年前から国ごと地域ごとのワイン会に出席させていただいてから 、私は急速に国・地域ごとのワインの違いと特徴を体験し、チーズや料理との相乗性 、TPOの重要性を意識することができました。

ところでなんで試験受けたの?と問われると正直答えに窮します。自分でもよく分かりま せん。ワインエキスパートになって友人に自慢したい、または単にタイトルホルダーだと カッコいーななど見栄の為に受けたというのが実情でしょうか。
単なる趣味の延長の自己満足もあるかも。。。。
とは言いつつもこれだけの量の暗記ものを見栄の為だけにできるわけはなく(できる人もいるかもしれない)、個人的に何かに挑戦したいという意識が強かった時期でもあったと思います。たまたま偶然にも試験を受けてみないかとのお誘いに 乗ってしまったというのも理由の一つでしょうか。ですから利き酒師の資格でもよかったのかもしれません。(やはり酒飲みなのか。。。)
しかし、ワインの勉強をできる環境が 整っており、よいキッカケがあり、いざやるぞー と決心して始めてみると非常に奥が深く、楽しみながらこれまでやってこれました。それ もそのような機会を与えてくださったソムリエ師匠のワイン講座のお陰だと思っております。(ちなみこれはワインスクールなどではありません。テキスト・ワイン代だけでした。)

3月初旬からサントリーのワインブックで大まかな事柄(ロワールはどこにあるとか、国 別の特産ワインとか基礎の基礎)を頭の片隅において、5月に本格的に勉強を始めてから は田辺由美さんの教本と問題集へ移行。また時事通信社から出ている梅田さんの教本・問 題集も平行使用。JSAの教本は技術講習会で一通り流し、その後試験まで熟読。それぞ
れの教本には使いやすいところとそうでないところがありました。全体的に一番よくまと まっているのが田辺由美さんのワインブックで、情報の正確性と質はJSA教本、ちょっ とした地図や格付けの暗記用の表など梅田さんのが良かったと思います。
概して教本は読 み物としてあまり面白くなく(教本だからあたりまえと言われそうですが。。。。)正確 性を期すために何度もJSAの教本に戻って、語 彙の読み方などを確認しました。

ワイン勉強初心者の私の目にはAOCなどの地方ごとの表が大変無機質なものでした。各 地でいろいろなワインにまつわる歴史や逸話、栽培醸造における現場の様子などがあるは ずなのですが、そういった雑学的な事柄がいろいろ入ってあると面白いのではと感じまし
た。まあそうなると教本が分厚くなりすぎるということなのでしょうが。。。。
時々ワイ ン王国などの雑誌を買って雑学的なことを覚えるようにしました。(ワイン業界の大御所 様の書籍を批評できる立場ではありませんが、試験で使用したひとりとしてコメントさせ ていただきました。すみません。)
2冊の問題集は2回ほどスルーすべきだと思います 。私は特に単語帳を活用しました。そこではセパージュの同種異名やAOC・色名などを 中心にまとめました。私は試験用にノートを作ると いうことができない性格で、(途中で面倒くさくなってしまう)ノートを作る時間があっ たらそのまま覚えてしまおうというのが基本でした。地図は書きながら覚えました。地名 とAOC名をいらない裏紙に書き写しながら声に出してブツブツやるのが私流です。書か ないで眺めているだけでは覚えられません。書くか読み上げるかした方がいいと思います 。(英単語を覚える要領ですね。)

<一次試験のために>
以下、私なりの試験対策(というか私の勉強順番A)〜E)とその重点カテゴリー)を紹介 します。あたりまえのことばかりですけど。。。。

(基本)暗記暗記暗記暗記。。。。。以下全てに当てはまり試験直前までずっと続く。。。。。。

(応用)勉強順序(というかプライオリティ)
人によってそれぞれかもしれませんが、テキスト教本の分厚さを前にどこから手をつけた らよいか分からない人が多いのではないでしょうか。私もいざ受験すると決めた直後、その領域の広さには愕然としました。私の体験を元に重点項目を順番に挙げていきます。

A)フランスワインと概論(歴史・地理・疫病・醸造法・品種・酒造種類など)を同時に 集中して学ぶ

私はフランスワイン至上主義者ではありませんが、かといって古世界・新世界ワイン信奉者でもありません。が、フランスワインの試験に占める割合、またフランスワインを勉強することによる他の分野への応用(歴史地理気候の特色からくる栽培・醸造法の勉強などは新世界ワインの理解に直結)などは無視できないほど大きなものです。
フランスワインが絶対だとか、いんややっぱりスペインのテンプラやねとか、それぞれのワイン体験による好みは当然あってよろしいのですが、私はこのJSAの試験というのは ワインの知識だけでなく、料理とのマリアージュを含めたワインと食のプロセス全般を問 われるものだと思います。フランスはそういう意味でいろいろな分野を包括して学べる良
いテストベッドになるわけです。
フランスワインが占める試験点数配分と近年増加傾向にあるマリアージュ関連の問題比率 を考えてみるとフランスから入り、各地方・地域の地理・歴史・醸造法・料理(チーズ含 む)などの特色を押さえることが重要だと思います。すべての要素を関連付けて覚えるこ とが基本です。どの知識レベルから切り込まれても関連事項が出てくるようにしなければ
なりません。(どの国・地域を覚えるのにも当てはまりますよね)

●横の関連性
例)
ボルドー>グラーブ>格付け>赤白両方AOC>カルボニュー
ブルゴーニュ>北>コートドニュイ>シャンボールミュズィニー>一級畑>レ・ザムル ーズ>チーズ:エポワス
ジュラ>AOC名>シャトーシャロン>ヴァン・ジョーヌ>熟成規定6年、ウイヤージュ ・スーティラージュなし>チーズ:コンテ
南西地方>赤AOC>カオール>品種:コット(別名:オーセロワまたはマルベック )>料理:鴨の脂肪煮
ローヌ>メリディオナル>右岸にあるロゼのみAOC>タヴェル
ロワール>トゥーレーヌ>白甘〜辛AOC>ヴーヴレ>主要品種:シュナンブラン(別名 :ピノ・ド・ラ・ロワール)などなど

●縦の関連性
 国名
 ∨地方名        >気候などや栽培・醸造法は?
  ∨地域名またはAOC >それぞれの地域の品種・
   ∨格付け畑      >特級、一級畑
    ∨作り手:シャトー、ドメーヌ

●縦横の関連性
各国にまたがる共通の項目をまとめる。出題者にとってみれば問題が作りやすいのでは?

例)スパークリングワイン(醸造・熟成規定、甘辛度表示、表示名称、ワイン名称など )
    各国共通のワインをまとめる
シャンパーニュ方式、シャルマ方式、トランスファー方式、メトード・リュラル方式な どの特徴やその製法で作られたワインを理解するなどしておけばよいかと思います。

例2)甘口ワイン(フォーティファイドワイン含)
  フランス ボルドー/ソーテルヌ、ロワール/3大貴腐ワインなどまとめて覚える。

 上のように、主題を決めて関連する事柄を書き出しながら覚えるようにしました。連想 ゲームのように記憶で後でたどれるようにするわけです。必ずしもルールはありませんが 地域によって試験に出やすい項目は一定の傾向があると思います。ですから全ての地域に おいて均一なレベルで必ずしも覚えなくてもよい可能性があります。エキスパートとして
全て覚えておくにこしたことはないのですが。。。。要点を絞って効率的に覚えるという 意味で傾向把握は大切です。

<主要地方の問題 (格付、AOC、色は非常に重要)>
ボルドー:格付け、生産村名、地域ごとの色、
ブルゴーニュ:格付け、色、地図、モノポール名と所有者名、県名
ロワール:地域別AOC名称、色、品種の特徴、相乗料理
アルザス:主要品種、甘口ワインの品種別糖度、リューディの数
プロバンス/コルス:主要品種、醸造法、AOC色/地図
ラングドック/ルーション:地図、VDN使用品種      などなど

その他特徴あるワインは、それぞれに特有な切り口の問題がでます。個別に覚えるしか方 法がありません。

シャンパーニュ(重要):醸造法、規定、関連用語、ハウス名
VDN・VDL:AOC、生産地域、醸造関連用語、品種、マリアージュ
オードヴィーなど:地方ごとの特色、醸造法、法規定、品種、原料、アルコール度など
cf.アルマニャック・コニャックの違い(品種、醸造方法、熟成規定、AOCなど)、
オードヴィードフリュイの製造法、原料種類、アルコール度数、基酒など重要
その他:瓶や容量ごとの名称、テースティング用語、サービス供出温度の読み方
(点数配分低いですが、テースティングのフランス語を全部覚えるかどうか別として知識 としては必須項目です。)

これらは過去問題集を解いていくうちに傾向が見えてきますから個別にまとめると大変役 に立ちます。逆にいうと傾向を知るために早い段階から過去問題を片っ端から解いていく ことで何を覚えるのが先決かを自分で自覚するようになるので効率的です。確かに過去問 題を解いていくと「こんなの分かるわけないじゃん」レベルの問題があります。ポイント は、それらの問題はできなくてあたりまえなのかできて当然の問題なのかを識別する力です。
一見し、これは難しいと感じても実は必修ポイントで大抵の人は知っていることだ ったりして、どこまで深く覚えればいいのか自分で判断に迷うことがあります。逆に言う とこの問題判別能力がついたなと実感したときが実力がついた時ではないでしょうか 。(その他の試験一般でもあてはまりますよね。)

B)ドイツ・イタリア・スペイン・ポルトガルを押さえる。

(ドイツ)
 人によってはパスして他の分野で点数を稼ごうという方もいらっしゃると思いますが 、ワインエキスパートとしてドイツワイン知識の重要性は非常に高いと思います。
・格付け暗記(オーストリアワイン格付けと同時に覚えてしまう。)
・Anbaugebiete13地域ごとの土壌とワインの特色をつかむ
  (記述から選択式の問題が多い。微妙な表現の違いで正誤問題が出題。それぞれの地域に特徴のある品種と赤白の生産状況を把握する)
・ 主要畑名の暗記(日本語訳も覚える)
   cf.Goldtroppfen (金の雫)Ungehauer(怪 物)
・ドイツワインに特有な酸・糖度の表示の意味
  (エクスレ度やTrocken, Halbtrockenなど )
その他、特殊ワイン(パール、ロートリングなど)、新制度クラッシック・セレクション関 連(私はリースリングとシュペートブルグンダーとドルンフェルダーがクラ・セレそれぞれどの州で生産が許されているかまで覚えました。)
・ドイツワイン関連用語 cf.Weingut と Weinkellerei の違いとか。

 これまでドイツワインはあまったるくてどうも。。。という方または白はフランスワイ ンに限ると思い込んでいる方は是非、銀座ワイナックスなどでアウスレーゼクラスの辛口 をお買い求めください。きっと目からウロコ状態になるでしょう。また近年生産量が増している赤のドルンフェルダー種もおススメです。(決してお店のまわし者ではありません 。いずれにせよきちんとしたインポータからの購入をお薦めします。)その前にアウスレ ーゼなのに辛口??とかドイツで赤??とか訝しがる方、この試験でドイツワインを覚え るのが面倒くさいとパスしないでください。エキスパートであるならば一度は本格的なドイツワインをお試しされてはいかがでしょうか。フランスや新世界ワインのリースリング とは一味違った味わいがあります。(余計なお世 話ですみません。)

(イタリア)
 
私にとっては非常に覚えにくい国でした。あまり飲んだ経験がないからです。というか 飲んだことはあるのでしょうが覚えられないのです。しかし、最近のイタリアブームから 来年の試験はちょっとひねった問題が出るのではないでしょうか。
  格付け規定 地理 収穫高別州名/収穫高別品種
  DOCG 州名 品種(同種異名)熟成規定
(来年はDOCGに新たに昇格した名称がでるのでは??)
  DOC主要なもの
 相乗地方料理/食前後酒(ベルモット、サンブーカ、アマーロなどなど)
  ワイン関連用語(イタリア語の意味)
cf.アンナータ、フィアスコ、チェラスオーロ、キアレットなどなど

IGTレベルのワインで有名なものでスーパータスカンなどありますが試験でこういった ワインは出題されにくいです(2次の口頭試問くらいかも)。非常に基本に忠実に従来か らあるDOC/Gワインを中心に出題されます。年により点数配分が変わってますが、今 年は料理とのマリアージュにイタリアワインとの組み合わせが出たので他の問題分野に分 散して重点傾向にあるような気がします。簡単な例では「シャンパーニュ方式で作ってい るスパークリングは次のうちどれか」などの質問でアスティスプマンテやフランチャコルタが他の国のスパークリングと共に選択肢の中にあったりしそう。。。。

(スペイン・ポルトガル)
スペインは、特色のある品種・生産地域・醸造規定が中心に出題されます。ポルトガルは 、品種・生産地域・ポートに関わる醸造行程など。またスパークリングのカバが他国のス パークリングとの関連でよく出題されます。また、シェリー・ポート・マデイラの種類 、醸造・熟成規定などは出題全体から見れば点数配分が少ないのですが確実に毎年出題さ れます。地図での理解把握が必須です。

熟成規定(クリアンサ・シンクリアンサ・続く。。。。など)/リオハ3地区・熟成規定 /シェリーの産地・醸造関連/ポート産地・醸造関連/品種名

D)その他の国々 
ギリシア/スイス/オーストリア/ハンガリー/チリ/アルゼンチン /南アフリカ/アメリカ/オーストラリア/ニュージーランド/カナダ

試験直前でつめこんでもどうにもなりません。(開始はお早めに。お好きな国からどうぞ 。)この分野からの出題傾向は、知らなければお手上げというものばかりです。推測がで きません。その国の言葉(スペル)で出るのである程度時間をかけて覚えていく必要があ ります。

<旧世界その他>
オーストリアなどはドイツ語圏なのでドイツワインの格付けと品種名を一緒に覚えた方が 楽です。スイスは今年は「うずらの目」(ウィユ・ド・ペルドリ)などが出ましたので来 年はティチーノかも。。。ハンガリーはやはりトカイ・アスーの規定・醸造法などをチェ ックです。

<新世界>
・ラベル記載規定 品種表示規定(%)など国ごとに把握すること。
・各国の原産地統制名称にあたる名称(AVA、DVA、WOなど)と産地地域名称
cf.今年はNZなどの南北島の産地が出題。また豪州では西オーストラリアの 産地が出題。ワイン関連雑誌に特集が組まれている注目分野は結構出題??
・品種の名称(黒白の区別や別名など)
・新世界ワインの場合、ワイン普及にあたりキリスト教の影響の有無

E)公衆衛生など

試験直前一週間でなんとかなるでしょう。過去問題を解いていけば非常に点数が稼げる分 野です。公衆衛生は毎年10点の点数配分があります。これはおいしい! また関税・シ ップメントや売上計算などありますが、2−3日の勉強で十分対応できます。

 

<2次試験のために>
 テイスティングにはフランスワインが中心に出題されますが、近年の傾向ではたまにイ タリアワインがでたことがあったそうです。イタリア年ということもありひょっとしたら ということも予想しましたが、結局今年の試験はフランス中心でした。(カンパリは出ま したけど。)

(基本)飲む飲む飲む飲む。。。一休みに暗記暗記。。また飲む飲む以下たくさん続く
。。。
(応用)・特徴がつかみやすいセパージュのものを飲む
   
・ブランデー・リキュール類も忘れずに飲む(酒屋で売ってる小瓶が便利1本
400円前後)アルコールと香りがきついのでワイン試飲で酔っ払った後でもOK。でも オードヴィードフリュイなどは先に試した方がいいかも。
    ・口頭試問の為に一次試験で網羅した点のおさらい。
    ・テイスティングはキチンとしたそれぞれの項目について、より良い表現かどう か第三者にチェックしてもらう。(エキスパートを個人で受ける方はで一番重要で難しい ところですね。的確な知識を持っている人にコメントをチェックしていただくのが一番の 練習になるのですが。。。。)

 冒頭でも書きましたが、私は、試験対策でワインをガブ飲みする前は、安物カリフォル ニアワインをガブ飲みしてました(文字通りゴクゴクというのみ方)。当初、ワインの勉 強を始める際にフランスワインをあまり飲んだことがないので(試験対策には)まずいな ー、と思ってましたが、後にこのワイン原体験がいい方向に働いたと思います。というの も、カリフォルニアワインなどの新世界ワインはバライエタルワインとして単一品種のも のが多いことからそのセパージュのもつ特有の香り味わいが鑑賞できるからです。私はカ ベルネの感じとメルロ−の感じの違いを言葉で表さなくとも感覚で覚えていましたのでフ ランスワインでセパージュを意識して飲むときには特徴のある香りの識別に役立ちました 。フランスワインの香りは確かに複雑ですので、 いろいろな香りに惑わされて特徴ある香りが何か分からないという人にはまずは単一品種 ワインでブラインドテースティングをしてセパージュ当てを試してみていかがでしょうか
。カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン、チリのメルロー、オレゴンのピノ・ノワ ール、オーストラリアのシラーズなどで試してみても面白いかもしれません。(賛否両論 があることは承知しております。
結局はフランスワインを飲まなければいけないんでし ょうけれども。私の師匠からもブルゴーニュの赤白ともに北と南の区別はつくようにとい
うことと、ボルドーでもメルローの比率が高いかカベルネが高いかの違いは把握しておく ようにと言われておりました。実際、白ワインではリースリング、ピノブラン、シャルド ネ、ゲヴェルツ、ソーヴィニヨン・ブランを試飲 して(全てフランスワイン)違いを確かめました。同じリースリングでもアルザス物とド イツ物ではハッキリと違いがありますし、ソーヴィニヨン・ブランでもボルドー物とロワ ール物は違います。そういった違いを勉強するにはさすがにフランスワインだけの試飲で 体験するしか方法はないのではないでしょうか。個人でブラインドしようとしたらホント にお金がかかりますね。)
 
なお、一次試験から二次試験の間に記憶した知識が消え去らないよう、一次試験後はボ ルテージを下げすぎないよう気を付けたほうがいいです。私の場合は短期集中で覚えたの で忘れるのも早く、勘を取り戻すのに苦労しました。今年の2次の口頭試問は過去問題と 比べても簡単だったために救われました。


<最後に>
 これほど広範囲にワインの勉強をできる機会はホント貴重です。私の場合、資格を得るという実をとるだけでなく、試験のプロセスは、たくさんの副産物を生み出してくれまし た。

 ひとつは、いろいろなワインを客観的に眺める姿勢がついたような気がします。私はこれまでカリフォルニアワインなど新世界ワインに偏っていましたが、試験を通じてヴィ ーノユニバーサリスト:Vino-Universalist(私の造語:ワインの持つ世界共通性や国地域における違いを尊重し、どんなワインにも平等に接し楽しむことみたいな感じ)になりました。(私の場合、ワインだったらなんでもいいという意味に近いかも。)ブルゴーニュ以外じゃなきゃいやとかカレラじゃなきゃピノのワインじゃないとかいろいろその道を 極めていらっしゃる方をお見かけしますが、(逆にこれまでたくさんのワインを飲んでこられたからこそこだわりがあるのでしょうけれども)、それだけに凝り固まっている人を 見ると他にいろんなワインがあるのになーと思わずにはい られません。
一生の内に飲めるワインの種類や量なんてホンの一握りなのにね。(お金と時間があるマニアの方にとっては余計なお世話ですけど。。。)ワインは実に種類が豊富 で、私はそのヴァラエティの豊かさを楽しんでいます。(もちろんある特定のワインへのこだわりというのも今後持ちたいですけどね。)そういった意味で資格をとった後も修行 中の身であり、自分のそういった経験を少しでも友人とシェアしていきたいと思えるようになりました。
 また、ひとりのワイン消費者としてちょっとは賢くなった(かな?)。「これはブショネのいやな匂いがするね。取り替えて」などソムリエさんに言えるようになったとかでは ありません(本物の劣化だったらキチンと言うべきでしょうが。)店頭に直射日光にさら してワインを売ってたりする酒屋では買わないとか、この店ではどの国・地方のワインに 力を入れているだとか、裏ラベルで輸入業者をチェックするだとか、ワインの種類や値段
だけでない要素が購入の際の判断に加わったことです。ちょっと入りづらかった店舗の奥 にあるワインセラーなどへも興味津々で入れるようになりましたし、ワインを物色してこ れが試験に出てきたヴァンジョーヌってやつかー!変わった瓶だなー!と感動したりして 、ワインの情報がだんだん読めるようになったの
もうれしいですね。

 最後に、ワインを通じて人との出会いの機会が増えたことです。ワイン会や勉強会を通 じて、いろいろな年代の方に出会い、共通の話題で楽しい時間が過ごせること。これまで 値段が高いとかラベルがよく分からないからという理由で敬遠していた格付けフランスワ インやブランデー・リキュール類などの棚やセラーに目がいくようになり、ワインアドバ イザー(お店の)方と会話できることで勉強になることが多く、外出した際に酒屋さんを 見つけるとフラフラとワイン売り場にいくのが楽しみになりました。勉強会などで、これ まで接する機会がなかった方々との出会いによって、たくさんの刺激を受け新発見があり ました。生活の中にもう一つの活動軸が加わったような気がします。資格を取ったことを キッカケに更に詳しく勉強したいとの欲も出てき ました。いずれにせよ私は試験を受けることを通じて「ワインとの付き合い」という個人 対ワインを学んだというよりはワインを媒介にして人間関係が広がったことが大きな収穫 でした。
これから試験を受ける方にはあまり参考にならない話になってしまいましてすみません。
これから試験を受ける方へは、受かってやるぞーと気張ると気が重くなるので、今後いか にしてワインライフを楽しんでやろうかと思い描きながらJSAの教本と向き合うことをお 勧めします。      

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