超不定期更新コラム

 味わいの表現について(2)

ということで、週末、岡本麻理恵さんの「ワイン・テイスティングを楽しく」に載っている味覚のレッスン方法を私もやってみました。

方法は簡単。以下のような5種類の紅茶を作るだけです。
ただし、ポイントとして、紅茶は思いっきり濃いめにすることと、冷やしてから行うことを注意しましょう。それからグラスの条件はみな同じで。私はちなみにテイスティンググラスを使いました。
(以下、斜線部分は本からの引用です。)

1.プレーンな紅茶
  →紅茶の渋みが口中にはりつく感じを体確認。
このとき、自分が口の中のどの部分で渋みをよく感じるのかを覚えて  おくとよいでしょう。私の場合は口の両側と下の一番先端に近いとこ ろがショワショワとした感じになりました。
2.砂糖入りの紅茶
  →1と比べて、砂糖で渋みがやわらぐことを確認。
これはいかにも「マスキング」されている感じですね。味わい自体は平 板です。
3.レモン入りの紅茶
  →レモンの酸味が、渋みを増幅させることを確認。
私の場合は、レモンを入れすぎたのか、むしろ渋みがマスキングされ  てしまったような感じでした。でも、フィニッシュが複雑になったの がわかります。
4.ミルク入りの紅茶
  →渋みが緩和され、ボリューム感が出ることを確認。
いわゆるふつうのミルクティーですね。日ごろは意識してませんが、 改めてこうして比べてみると紅茶に好んでミルクが入れられる理由が よくわかります。
5.蜂蜜入りの紅茶
  →2と比較して、同じ甘味でも蜂蜜入りの方が複雑でコクがあることを確認。
ただし、味のほうは、クドくなってしまい、あんまり美味しくありま せんね。

さて、今度は、1のプレーンな紅茶に砂糖とレモンを入れます。(1’)

1’砂糖とレモン入りの紅茶
   →砂糖だけ入った紅茶と比較して、酸味が甘味を押さえていることを確認。
甘味そのものは押さえられますが、砂糖だけのものに比べると、 全体の構成に立体感が出てきます。このプロセスはとても面白い。

4のミルクティにも砂糖を入れてみます。

4’砂糖入りミルクティー
   →砂糖入りのレモンティーと比較して、レモンティは味わいの広がりが縦に伸びるのに対して、ミルクティーはふんわりと丸くひろがることを確認。
私はこんなにうまく表現はできませんが、レモンティは舌の上で広がるのに対して、ミルクティは口の中にパァッと広が る感じです。

最後は5番のハチミツ入り紅茶にごまペーストを入れます。
 
5’ごまと蜂蜜入り紅茶
   →砂糖入りのミルクティーと比べて、コクとボリューム感、余韻の長さを確認。 
ごま入りティーのお味はともかく、飲み込んだあと、鼻腔を通して、ごまの香りが広がり、余韻が後を引くさまがわかります。

うん、これは勉強になりますね。ふりかえってみるとなんのことはない、ふつうのレモンティやミルクティが中心なんですけど、じっくり比較しながら飲んでみると今まで意識していなかった違いが浮き掘りになって面白いです。
ちなみに、この方法はベリンジャー・ビンヤードの醸造家、ティム・ハリー氏が考案した「お酒を飲めないウエイター」用のワイン味覚レッスンにヒントを得て、岡本さんが独自にアレンジされたものとのことです。


出典:「ワイン・テイスティングを楽しく」P164〜166 
          岡本麻理恵 著   白水社 2000円