絵画好きなら知らぬい人はいないだろうが、興味のない人にとっては、この絵の名前は、思いのほかなじみが薄いかもしれない。「モナ・リザ」とか「ヴィーナスの誕生」などに比べると、タイトルが日本人にはちょっと発音しにくい分、損をしているような気もする。 しかし、「ラス・メニーナス」への、そして作者であるベラスケスへの賞賛の声たるや、枚挙にいとまがない。同じスペイン出身のゴヤはベラスケスを生涯の目標としていたし、近代絵画の革命児マネはベラスケスのことを「画家の中の画家」と言ってはばからなかった。モネやダリ、ジョーダンをはじめ、多くの画家たちが「ラス・メニーナス」からインスピレーションを受け、ピカソなどは、この絵をモチーフに40枚以上の連作を残しているほどだ。
スペインにおいて門外不出、国宝扱いとなっているこの名画を鑑賞する方法は、美術書を紐解くかプラド美術館を訪問する以外にない。不粋を承知で言うなら、この絵に関しては、機会さえあれば、ぜひ実物を見て欲しいと思う。日中訪れると、世界中から訪れる団体観光客に鑑賞の機会を阻まれがちなので、じっくり鑑賞するのなら、午前中などを狙ったほうがいいだろう。