99年12月5日(日)
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12/5 エノテカ3シャトーテイスティング会
「Ch.コスデストゥールネル」「Ch.ピション・ロングヴィル・コンテスドラランド」「Ch.アンジュリス」の3シャトーのオーナーを招いてのテイスティング会。各シャトーの蔵出しワインをそれぞれ4ビンテージ(プラスセカンド1ビンテージ)ずつ試飲。値段はひとり1万6500円だったが、それぞれ個性のある各シャトーの優れたビンテージを飲めて良い経験になった。特にアンジュリスの濃厚さとピションラランドの優雅さが対照的で甲乙つけがたく、すっかりこの両シャトーのファンになってしまった。
銘柄 Ch.アンジュリス

仏>ボルドー>サンテミリオン・プリミエクリュ/赤

92

縁にピンクがかった濃いガーネット。ジョンブゆっくり。非常に凝縮感のある香り。ベリー系果実のシロップ漬け。チョコレートやカカオのロースト香。湿った土っぽい香り。アタックはまろやかで分厚い果実味を感じ、タンニンはきめ細かく、酸もしっかりあるがしなやか。アフターにはやや強めの酸と豊かな果実。92年としては驚異的な凝縮感だ。他のビンテージとの差は小さくCPは高い。
【89】

90

縁にピンク、中心に黒みのかかった濃いガーネット。ジョンブゆっくり。非常に凝縮感のある香り。ベリー系果実のシロップ漬け。チョコレートやカカオのロースト香。湿った土。加えて、オガクズや麦藁のような香りも。アタックまろやかで分厚い果実味ときめ細かだが豊富なタンニン。酸もしっかりあるがしなやか。アフターには多量の粉っぽいタンニンと豊かな果実。タンニンにはやや収斂性が残る。素晴らしいワインだが、飲み頃はまだ先だろう。周囲の人たちの話ではこのワインが最も評価が高かったようだが、個人的にはオガクズのような香りが最後まで残るのがちょっと気になった。
【91】

88

中心に黒みがかかるが、縁にはややオレンジの見られ始める濃いガーネット。ジョンブゆっくり。非常に凝縮されたすばらしい香り。若いビンテージに比べると、より甘いコンフィやシロップ漬けのような香りが濃厚。カシスリキュール。甘草などのスパイス。ロースト香。とにかく複雑ですばらしい。アタックまろやか。90や92よりは果実味は後退しているが、酸とタンニンはしっかりとしており、骨格が堅牢な印象。この日飲んだ中では最も感心したもののひとつ。
【93】

96

縁にやや紫がかった濃いガーネット。中心は黒味がかっている。ジョンブゆっくり。凝縮された香りだが、やや閉じている。カシスリキュール、ベリーのジャム。コーヒー、エスプレッソ、甘苦スパイス。アタックまろやかで、大変豊富な果実。ボリューム感すごく、「噛んでいる」印象とはこのことかも。酸はしなやかで、タンニンはきめ細かく、アフターにはこれらの粉っぽいタンニンとしなやかな酸。まだ若いのに、極めて上質にバランスがとれており、今でも十分飲める。
【92】
銘柄 Ch.コスデストゥールネル
仏>ボルドー>メドック2級>サンテステフ村

89

縁にオレンジがかったガーネット。ジョンブは中程度。香りは豊かで開いている。バラの香水。カシスリキュール。ベリーのコンフィ。甘い特徴的な香りが主体。アタックはまろやかで、果実がしっかり残り、ボリュームは中程度。やや強めの酸、タンニンはとけこみ始めており、バランスは良好。余韻は長めで、アフターには果実のフレーバーと酸を感じる。思ったより、ずっと若い印象。
【88】

86

縁にオレンジがかったガーネット。色だけ見ると89よりもこちらのほうがむしろ若め。ジョンブは中程度。香りは複雑で甘い香りが主体。ドライフルーツ。バラの香水。麦藁。枯葉。熟成がかなり進んでいる印象。
アタックはまろやかで、まだしっかりした果実としなやかな酸。タンニンは豊富だが、丸く角が取れており、ボリュームは中程度。アフターにはタンニンと果実。余韻は長い。こちらは熟成を強く感じる味わいで、良くバランスがとれていてすばらしい。
【92】

71

レンガをはっきり感じる、オレンジガーネット。熟成香主体。麦藁、ドライフラワー、回すと腐葉土、枯葉、キノコ、紅茶など。ドライフルーツっぽい甘い香りも。味わいはまろやかで、酸、タンニンともとけこみ、とんがったところが皆無。後味にはやや熟成を感じるキノコっぽい味わい。余韻は長い。さすが蔵出しのすばらしい状態。
【89】

96

紫がかった濃いガーネット。香りは閉じ気味。濃縮されたカシスリキュール。ベリー系コンフィの甘い香り。アタックはやや強めの果実と酸。酸は上質でタンニンもきめ細かい。後味にはやや青さの混じった果実と酸を感じる。まだ飲むには早すぎる状態だが、将来性は感じる。
【88】
銘柄 Ch.ピションラランド

仏>ボルドー>メドック2級>ポイヤック村

88

オレンジがかった、やや濃いガーネットで熟成を感じる色合い。アンジュリスの同年に比べるとずいぶん違う。香りも熟成した複雑な香り。果実のシロップ漬けを主体に、やや枯葉や紅茶などのニュアンスも感じ、デリケートで繊細。アタックまろやかで、ややしっかりした酸と果実。タンニンはとけ込み始めており、バランスは酸を中心とした印象。アフターには果実のフレーバーと上質な酸が感じられ、余韻は長い。
【92】

85

オレンジがかった、やや濃いガーネット。88よりもオレンジ色が強い。香りは熟成した複雑な香り。カシスリキュール、ベリー系果実のシロップ漬け。麦藁や枯れ草。回すとやや枯葉や紅茶などのニュアンスも。アタックまろやかで、意外にまだみずみずしい果実。ボリューム感あり、酸はしっかりしているが、しなやかで上質。タンニンはとけ込んでいて、酸にかくれた印象。アフターには甘みを伴った果実を感じ、余韻は大変長い。極めて高度にバランスがとれたすばらしいワインで本日最高といってよい一本。帰りに買って帰ろうと思ったがすでに売り切れだった。
【94】

75

ややレンガのニュアンスもみえる、オレンジがかったガーネット。香りはやや閉じている。ドライフラワーやドライフルーツなどの乾いた香り。バラの香水。枯葉。アタックはきわめてまろやかな甘い果実。ボリュームは控えめながら、しなやかで上質な酸、タンニンはとけこんでおり、バランスがすばらしい。パワーはないが、非常に良好な熟成状態。
【91】

96

縁にピンクがかった濃いガーネット。香りはロースト香、ココア、カシスリキュール、ブルーベリージャム、湿った土など。
アタックは甘みをともなったぶ厚い果実を感じ、酸はやや強めだがしなやか。タンニンはやわらかく、すでにバランスがとれている。もちろんまだ飲むに早いが、かなり早いうちから美味しく飲めそうだ。
【89】
ところで、この会でちょっと不思議だったのは、すべてのボトルが底のやたら広いいわゆる「ウルトラデキャンタ」でデキャンティングされていたこと。若いワインならいざ知らず、70年代のワインなどもあのデキャンタを使って開かせてしまって大丈夫なのだろうか?各シャトーのオーナーが来ている場でのことなんだから、きっと彼らも了承の上のことなんだろうけれども。
この日はまた、それぞれの銘柄を買って帰るとボトルにオーナーのサインをもらえるというサービスもあったので、私もラランド2本(88&95)とアンジュリス1本(95)買ってしっかりサインしてもらった。ラランドのオーナーのオバサン(なんて名前だっけ?結構有名人ですよね?)はサインをする時はとても愛想はよかったのだけど、サインし終わったとたん私の存在など忘れたように他の人と会話に夢中になって、その変わり様がなんだかビジネスライクだった。

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