超不定期更新コラム

BurgandyNight56 ドニ・モルテ垂直

2年ぶりの「BUrgandy Night」。今回は直前にキャンセルが出たということで、急遽飛び込みで参加しました。早いもので、この会ももう56回目だそうです。

■ボランジェ・スペシャルキュヴェ
スターターはシャンパーニュから。細やかな気泡、クロワッサンや白い花の比較的ライトな香り。味わいも爽やか系ながら、フィニッシュは綺麗に調和がとれています。このところ、そもそも泡を飲んでいない上に、たまに飲んでも安泡ばかりでしたので、たまにシャンパーニュを飲むと、やっぱりいいなあ、と思いますね。 白は、フランソワ・ジョバールのムルソーを2本。

■ムルソー・シャルム92(フランソワ・ジョバール)
師匠の会でよく飲ませていただいたF・ジョバールですが、私自身は久しぶりです。相当に濃い、黄金色もしくは麦わら色がかったイエローの色調に驚きます。マロンやモカなどの熟成香。味わいは色調や香りから想像するほどではありませんでしたが、かなり熟成が進んでいる印象。やや酸に平坦さを感じます。といっても劣化しているわけではなく、さすがにリリース後15年経過しますと、瓶差なども大きくなってくるということなのでしょう。

■ムルソー・ジュヌブリエール89(フランソワ・ジョバール)
92よりも若いイエローの、輝きのある色調。黄桃やモカ、シナモン、マロングラッセ、時間とともに蜂蜜のような甘い香りも。味わいは酸が綺麗でバランスも良好。すばらしい熟成具合です。師匠も仰ってましたが、このところ過熟成傾向のシャルドネにあたることが多く、最近のブル白は総じて早めに飲んだほうがいいね、なんて言っていたところにこういうボトルにに出くわすとまた悩ましくなってしまいます。
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■ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック97
濃いめのルビーの色調で、エッジはまだしっかりしているようです。黒というよりは赤に近い果実やオレンジの皮などの甘酸っぱい柑橘系を想起させるような香りがあり、その奥から下草や皮革的な熟成香がほんのりと出てきます。味わいは凝縮されて濃い中にもクリアな酒質が見事で、タンニンもよく溶け込んでおり、酸も伸びやかです。97のブルは今とてもよい状態になっているものが多いといわれますが、このボトルもまた然り、すばらしい一本でした。

■ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック96
‥と思ったのも束の間、次の96はさらに上手を行ってました。 こちらも赤と黒の中間ぐらいのトーンの果実、オレンジピールなどに加えて、シナモンやバラ、ファンデーションなどの蟲惑的な香りが出始めています。味わいも97よりさらに立体的で深みがあります。酒質もクリアで酸の出方がすばらしい。状態もよかったようです。

■ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック95
96の出来からして、95も期待されましたが、こちらは少しばかり趣が異なっていました。香りの果実のトーンは低めで、スパイス的な香り、香りの中にやや雑味感を感じます。味わいはアタックから酸が引っ張り、透明な果実味が広がるオーソドックスなものでで、翌年以降のギュッと凝縮したような果実感はなく、むしろクラシックな作りと感じます。この年を境に、96あたりから作りが明確に変わった、ということでしょうか?

■ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック94
95年よりもやや薄いルビーで、さすがにこの辺になってくるとエッジはオレンジの色調が顕著になってきます。ダークチェリーやカシス、スパイス、毛皮。味わいは透明感のあるオーソドックスなものですが、ビンテージの差か、95年ほど中身が充実した様子はなく、ややミッドパレットに空虚さを感じます。とはいえ、やはりこの時期までは昔ながらの作りをしていて、95年あたりを境になにかしらの作りを変えたんだろうなあと思わせます。

■シャンベルタン93
さらにVTを遡りますが、こちらは特級シャンベルタン。今までの銘柄もすばらしいものでした(特に96)が、さすがにシャンベルタンは役者が違う感じでした。 濃厚なルビーで、エッジは美しいグラデーションになっています。香りはダークチェリーやカシス、シナモン、バラの花など、芳香自体にパワーを感じます。味わいは濃縮間のある果実味の第一印象。タンニンはシルキーで、しっかりした酸がこれらを下支えしています。各要素のバランス感、調和のとれたフィニッシュ、そして余韻の長さなど、言うことありません。

ブルの垂直をする機会ってあまりないのですけれども、VTの特徴とともに、そのドメーヌの作りの変化などがわかって興味深いものがあります。今回のドニモルテは94年までのクラシックな作りから95で試行錯誤があって、96でそれが開花した、というところでしょうか。一時かなり騒がれたこのドメーヌも、デュガ同様、最近は今ひとつ時流から外れてしまった感もあり、ご当主が06年1月に謎の拳銃自殺を遂げたのも記憶に新しいところです。息子の代になって、頑張ってドメーヌをもりたてていってほしいものですね。

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(07.10.21)