比較的初期から時折参加させていただいている、F木師匠の【BurgandyNight】も38回目となりました。今回は(今回もまた、というべきでしょうか?)マニア垂涎のラインアップ、「クロード・デュガ」の垂直です。私自身、デュガについては水平で00年、01年といった近年のビンテージを飲んだことはありますが、なにしろ若いデュガの上位グレードとなると、ほとんどシラーのような濃厚さで、これが熟成すると一体どうなるんだろうという興味は常々持っていました。そんなところに、今回の会では93、92、91のラヴォーサンジャックや91グリオットが飲めるとのこと。ずいぶん前から楽しみにしていたのですが、不運にもこの日は家庭の事情で1時間近く遅刻することになり、96の村名あたりまでは、ほとんど「わんこそば」状態だったのが心残りです。そういうこともあって、前半は駆け足でしか飲んでおらず、後半は逆に駆け足で飲んだことが災いして、酔いが回ってへべれけになり、かなりいい加減な感想になってしまったことをあらかじめお断りしておきます。
ドン・ペリニオン・エノテーク90
充実したコクがあり、それでいて重ったるくならなない、非常に洗練されたバランスがあります。びっくりするような味わいではないのですが、ドンペリはいつ飲んでも高いレベルの満足を与えてくれますね。フィニッシュは雪が解けてゆくかのようにクリーミーでなめらかです。えりかさん、ごちそうさまでした。
コルトンシャルルマーニュ
92(ルイ・ラトゥール)
う〜ん、これはちょっとタイミングが悪かったのか、香りが妙に寡黙でした。ナッティで重厚な雰囲気は感じられるのですが‥。酒躯はなめらかで、酸は丸く、力強さはありませんが、バランスのよい味わいです。隣のS田さんは絶賛していたので、私が遅刻しなければ素晴らしい香りにも出会えたのかもしれません。
ブルゴーニュルージュ98(クロード・デュガ)
やや濃いというレベルのルビーです。赤い果実、バラ、スパイスなどの香り高いノーズが感じられます。酒質に力はありませんが、綺麗な酸が印象的で、タンニンも溶け込み、小ぶりながらバランスのよいまとまりをみせてくれます。【88】
ジュブレイシャンベルタン 96(クロード・デュガ)
村名の96年はかって山路さんが絶賛していたこともあり、今回興味深く臨んだ銘柄のひとつです。ACブルよりもトーンの低い、カシスやダークベリー、スパイス、バラ、それにジビエのニュアンスがうっすらと感じられます。香りのパワー感がACブルの比ではありませんね。味わいはなめらかなアタックのあと、口のなかで旨みを伴ったジューシーな果実味が広がります。タンニンがなめらかに溶け込み、余韻の長さは村名のレベルを越えるものです。これを飲んでしまうと、グラスに残っている直前の銘柄(98ACブル)にはもう戻れません。【92】
ジュブイレシャンベルタン93(クロード・デュガ)
色調はガーネット調で、全般にやや濁りを感じます。オレンジの皮、スパイスなどに加えてスーボワやジビエのニュアンスがより明快に嗅ぎ取れます。味わいは甘い果実がある一方で、酸がやや神経質で酒質は全般にドロンとしたイメージです。テクスチャーにもややささくれだったようなところが見られました。といっても、この銘柄の名誉のために付け加えると、単体としては決して悪い出来ではなくて、同時にグラスを並べて飲んだのが、同じ93年のラヴォーサンジャックだったというのが、この銘柄にとってかなり不利に作用してしまったことは否めません。【91?】
ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック93
これは美味しいですね〜。色調は93の村名に似てやや濁りを感じますが、オレンジのニュアンスもまざり、熟成を感じるものです。香りはカシス、ダークベリー、スパイス、土、ジビエなどがいっそうの深みと凝縮感を以て迫ってきます。味わいは村名にない、口の中での縦方向への伸びやかさがあり、調和のとれたフィニッシュや余韻の長さも素晴らしいものです。【94】
ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック
92
これは実に意外な1本でした。というのも、ブラインドで出されたらほとんどデュジャックと答えてしまうような味わいだったからです。色調は今までとは打って変わって薄めで透明感があります。ダークチェリー、バラ、女性のファンデーションのようなまとわりつくような芳香。味わいもまた透明感があってなめらかなものです。酸はしなやかで、タンニンもやわらかく、フィニッシュは調和がとれいています。力強さのベクトルではありませんが、ある意味ブルの究極の姿のひとつといえましょう。【94】
ジュブレイシャンベルタン・ラヴォーサンジャック 91
これも色調は薄めです。カシス、ラズベリー、ファンデーション、バラ、それに上質な焦臭も感じられます。味わいはグリップにやや弱さを感じるものの、各要素がとても綺麗にまとまっており、繊細なバランスがあります。あまりスパイスっぽさや鉄っぽさなどは感じられず、モレサンドニあたりの銘柄を想起するようなしなやかな味わいです。【93】
グリオット・シャンベルタン91
これも意外。同年のラヴォーサンジャックに比べても薄い色調です。大丈夫かと思いましたが、グラスに鼻を近づけるとそれが杞憂だったことを思い知りました。赤い果実、スパイス、クリームブリュレ、それに他銘柄に見られなかったハーブのようなニュアンスもあります。味わいは決して濃くはないのですが、粘度の高いまとわりつくような凝縮された果実感が独特です。酸も伸びやかで、実にクラシックにまとまったブルゴーニュといえます。それにしても、この味わいは意外です。近年のデュガしか飲んでいない人で、この銘柄を目隠しで飲んで、デュガと答えられる人は皆無ではないでしょうか。【94+】
このあと、差し入れのコールドストリームヒルズ・メルロー01をいただきましたが、へべれけになってしまってあまり覚えていません。ゴメンナサイ。
それにしても、今回意外だったのは、何度も繰り返しになりますが、92、91年の味わいです。
93年のスタイルというのはある意味予想の範囲内でしたし、96の村名なども然りだったんですが、最近の若いデュガを寝かせておいて、果たして91や92のようなクラシックな姿になるものなのか‥。今回飲んだ中では、93のラヴォーサンジャックなどはある意味、デュガのまっとうに熟成した姿の一つのゴールのような気がしたんですが、92年91年の味わいというのも、(私にとっては)変化球ではありましたが、それはそれは素晴らしいものでした。
清澄をするしないとか、その度合いとか、そういった点が93年を境に変わったのかと思って、ネットで調べたりしましたが、そのような記述はどこにも見つかりませんでした。う〜ん、謎です。
(05.9.29)
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