不定期更新コラム

アムルーズ・ワイン会

レ・ザムルーズといえば、特級ミュジニーの畑に隣接するシャンボール・ミュジニー村の筆頭格の1級畑であり、『恋人たち』という意味の名称とあいまって、グランクリュ並みの価格で取引きされている銘柄です。特にルーミエやヴォギュエのアムルーズはリリース量の少なさから、レアアイテムとして熱烈な人気をほこっています。今回はそのアムルーズをまとめて飲んでみようという貴重なワイン会に参加させていただきました。

96 デュヴォー
かけつけ一杯という感じで、味わう間もなく飲んでしまいました。(^^;

コルトンシャルルマーニュ2000(フレデリック・マニヤン)
ミネラル、ナッツ、白桃や洋ナシにバニラが溶け込んだ心地よい香り。もっと若いとたぶんオークがキツ過ぎたかもしれませんが、5年経過して樽香がほどよく溶け込んでいます。味わいはアタックこそあっけない印象がありますが、口の中で酸が伸び伸びとして、縦方向の広がりがあり、抑揚に富んでいます。

バタール・モンラッシェ95(ルイ・ラトゥール)
ハシバミやハチミツ、キノコなどの熟成香が広がります。味わいは厚みのある果実味とエッジの丸い酸が見事で、固形物のような凝縮感。 さすがバタールというべき質感があります。供出温度がかなり低めでしたが、グラスの温度が上がるのをじっくり待った甲斐がありました。

シャンボールミュジニー・レザムルーズ02(アミオ・セルヴィル)
濃いのですが、過度にジャミーにならない、充実した果実味がすばらしいです。タンニンはよく熟していて甘く、酸も綺麗。今は香りも味わいも果実味中心で複雑さは出ていませんが、熟成能力もありそうで、時間とともに精妙な姿に変貌しそうな予感があります。この日もっとも驚かされた、瞠目すべき1本。

シャンボールミュジニー・レザムルーズ99(ドルーアン)
赤系果実、ミネラル、それにハーブのような少し青っぽいニュアンスやミントのようなスッとする香りもあります。前のセルヴィルとは対照的に、やや細身ながらも透明感のある果実味と伸びのある酸が美しく、前回の青葉台ワイン会で飲んだ91ミュジニーを彷彿させます。やや後半のバランスが整っていないのが玉にキズですが、99年が現時点でこれだけおいしく飲めるとは思いませんでした。今回飲んだ中でもっともシャンボールらしさを感じた1本でもありました。

シャンボールミュジニー・レザムルーズ95(ヴォギュエ)
黒系に近い、トーンの低い果実香、ミネラル、スパイス、花のエッセンス、ダージリンなどの力強く、それでいてピュアな香り。熟成感が出始めていますが、土っぽさはありません。また、オーキーなところもなく、香りは非常にクリーンな印象です。 味わいは、まさに横綱相撲というべきもので、酒質の厚み、果実味の密度感などさすがヴォギュエといいたくなります。酸は重層的で、少しジリジリした印象があり、フィニッシュはまだタニックで、そうしたややいかめしさを感じる各要素のたたずまいからすると、真の飲み頃はもう少し先だろうなあという感じです。5年後ぐらいにまた再会したいですね。って、今でも十分すぎるほど美味しいですけど。

シャンボールミュジニー・レザムルーズ91(ルーミエ)
前銘柄に比べると、4年という年数以上に熟成した印象があり、 赤系果実や紅茶に加えて、ややワラっぽいニュアンスが香りにも味わいにもあります。よく熟成していてまさに飲み頃を迎えており、ルーミエでなければ絶賛しているところなんですが、「ルーミエ×アムルーズ」という期待値にしては、もう一歩だったかな、とも思います。F木師匠も語っておられましたが、味わいの後半に酸がバランスを危うくする感じは91年の限界なんでしょうか?95ヴォギュエの後というのはちょっと分が悪かったですね。

シャンボール・ミュジニー52(アーサー・バロレ)
当初のラインアップは87セルヴォーのアムルーズだったのですが、事情により変更に。で、変更になったアイテムが何かといえば、 52年のシャンボール、バロレコレクションだというのですから驚きでした。年数を感じないようなしっかりした色調ですが、さすがに香りにはドライフルーツなどに加えて、クルミやマディラのニュアンスが混ざり始めています。味わいは全般にドライ気味で、もう1〜2年飲むタイミングが遅れたら、かなり紹興酒っぽくなっていたのではなかろうかという感じです。といっても、劣化やヒネ気味の熟成によるものでなく、正常に長い熟成を重ねた結果、ピークを超えてゆるやかに下り始めている印象ですね。52年のブルゴーニュ赤は、50年代では59年に次いで作柄のよい年だったようですが、村名が(老いたりといえども)、これだけの状態を保っていたのは驚きでした。非常に貴重な経験をさせていただきました。

最後にS田さんから差し入れ。
ムルソー・(畑名失念)99 (ドーヴネ)
久々のドーヴネですが、相変わらずさすがですね。柑橘系の溌剌とした果実感と厚みのある酒躯、それにバニリーなオークとが一体となって、ただ凝縮感があるだけノシャルドネに終わらせずに、水面に陽の光が差し込むがごとくにキラキラと違った表情をみせてくれるような、そんな繊細な面もあって、ウットリとさせてくれます。

すばらしいラインアップについついペースも上がり、終盤にはまたまたかなり酔っ払ってしまいました。割安な会費でこれだけのラインアップをそろえてくださった、Mやん&Yohさん、それにドーヴネを差し入れてくださったS田さん、どうもありがとうございました。

(2005.6.3)