不定期更新コラム

最近チーズにハマっている理由。
「風が吹けば桶屋が儲かる」のことわざではありませんが、最近私はあることがきっかけで、チーズにはまり始めています。
発端は、例によって育児です。
我が家には今幼児が二人います。 3歳の女の子と1歳になったばかりの男の子。ひとりの時も結構大変でしたが、二人になって俄然大変さが増しました。一人目でそこそこノウハウは得ているので、「未知なるモノへの不安」はないのですが、それまでとは比べ物にならないほど自分自身の体の自由が利かなくなりました。たとえば、電車で30分弱の東急本店の有料試飲に行きたくても、子供1人のときは連れて行ってしまえばよかったのですが、二人になるとそうもいきません。その間カミサンに子供たちを見ててもらえばいいじゃないか、と言われそうですが、休日ぐらいは平日子供二人とずっと一緒のカミサンを開放してやらねばなりません。(逆の立ち場、すなわちじゃあ今度は私が二人の面倒を見ながら留守番してよ、と言われると、本当にストレスがたまって大変なので、あまり無用な貸し借りをこさえたくないというのが本音だったりします。)
子供の面倒を見ていて何がストレスになるかというと、怪我をしないかと常に目を配ってなければならないことです。上の子はその辺、多少は分別がつく年齢になってきましたが、下の子はまだなんでも口に入れてしまうし、好奇心旺盛で、引き出しを開けて中のものを出してきたり、ひとりでドアを開けてトイレや洗面所に入っていったり。家の中には危険なものがたくさんあるので、なかなか安心して目を離せません。

そういうこともあって、昨年我が家では、長年使ってきたテーブルを処分してしました。このテーブルは予備の天板を引っ張り出すと6〜8人ぐらい座れる大きさになるスグレモノで、ホームパーティなどには重宝したのですが、子供が歩くようになってみると、狭い我が家にはかさばりすぎるし、角が尖っていて、危なっかしいことこの上ない。むしろ少しでも子供が遊べるスペースを作ってやりたい、ということで思い切って手放してしまったのです。
代わりにふだんの生活用に、小さなちゃぶ台と1人がけの円形のテーブルを買いました。子供が手にとると危ないもの(ワイングラスや飲み物の入ったコップなどを想定)はテーブルに置いておき、それ以外はちゃぶ台で、という具合です。
ところが、これが大きな見込み違いだったのです!
というのも、実際に生活してみると、子供たち(特に下の子)があっという間にめちゃくちゃにしてしまうため、料理を盛った皿をちゃぶ台の上に置いておくことなど、到底出来ないのです。
そうなると、料理の皿は円卓の上に置かざるをえないのですが、このテーブル自体、そもそもごく小さい上に、ノートパソコンなども置いてあって、あまり料理を置けるスペースはありません。
結果として、我が家の食事はどんどん簡素なものになってゆきました。四人揃ってテーブルにつく、ということもなくなり、まず子供に食事を食べさせて、その合間に1人ずつ円卓でそそくさと済ますというパターンがいつのまにか定着してしまいました。

そんな食生活の中でワインを飲もうというのですから、これはなかなか大変です。
どこかにも書きましたが、リーデルのブルゴーニュグラスやボルドーグラスを使う機会は激減し(危なっかしくて置いておけない)、ましてソムリエグラスなんてものは、居間のインテリアと化してしまいました。
もうひとつ、ワインで晩酌することに対する大きなハザードがあります。それは食事の後、子供たちを風呂に入れなければならないということです。飲酒運転よろしく、1滴も飲んではいけないというわけではありませんが、幼児二人を風呂に入るのは結構注意力が必要です。私本人が千鳥足になるほど酔っ払ていると、やはりマズイのです。そうなると一晩で飲めるのは、その日の自分の体調や時間的余裕と相談の上、いいとこ、ボトル1/3から半分程度というところです。

このような生活の中でワインとつきあってゆくためにはどうすればよいでしょうか?
まず、食事はとっとと先に済ませてしまいます。このとき、つまみになりそうなものだけは残しておきます。そこからじっくりワインを飲み始めます。こうすると空腹状態で飲むことを避けられるので、そこそこ飲んでもへべれけにならずに済みます。
次に、特別な日を除いて、ワインは基本的に若いビンテージのものにします。若くて状態のよいボトルなら、抜栓後2〜3日は楽しめるからです。
そして食後にゆっくりワインを愉しむためのエキストラとして、チーズの出番となるわけです。基本的にワインは食中酒であり、食事と一緒に愉しむべきものだと言われますが、上記のような我が家の場合、時間的にも、精神的な余裕の面でも、あるいは献立との相性を考えても、なかなかそれはかないません。であれば、慌しく食事を済ませたあとに、少し贅沢して美味しいチーズと一緒につかの間の愉しみに興じる。これが最近の私のスタイルです。
チーズに関してはほとんど専門知識はないのですが、凝りだしてみるといろいろと奥が深そうで、保存方法やもっとも美味しい時期の見分け方など、ワインに通じるものがいろいろあって面白そうです。余裕ができたら、『こんなチーズ食べた』なんてコーナーを作るかもしれません。(笑)
(05.1.11)