不定期コラム

子供の誕生年のワイン1
ワインの楽しみのひとつに記念の年(ビンテージ)のワインを飲んだり買ったりということがある。自分の生まれ年、就職した年、結婚した年、子供が生まれた年などなど、ワイン飲みはなんだかんだと記念日を作って良いワインを開けたがるものだ。二人の子持ちとなって、すっかり可処分所得のワイン減ってしまった我が家だが、やはり子供の生まれ年のワインぐらいは少し無理をしてでもドーンと買い込みたい。
ちなみに上の子の生まれ年は、2002年、下の子は2003年である。いわゆる年子というやつだが、幸か不幸か2002年はブルゴーニュの当たり年、2003年はボルドーが凄そうだと言われている。
なので、順当に2002年についてはひたすらブルゴーニュを買い込み、2003年はボルドーを何銘柄か購入しようと思っているのだが、ひとつ誤算だったのは、2003ボルドーの滅茶苦茶なプリムール価格である。1級シャトーで3〜4万というのはミレニアム&良作ということで暴騰した2000年以上の高価格。まあいくら生産量が少ないと言っても、ボルドーなら早々慌てて買い込まなくてもそれなりの価格で購入できる機会は必ずあるはずだし、2年後まで入手できないボトルのために貴重な軍資金をつぎ込みたくない。そういうことで、とりあえず今は03ボルドーのプリムールは見合わせて、02のブルに注力することにした。

ではブルゴーニュの具体的に何を買うか?子供の生まれ年のワインを買い込む楽しみは、ある程度まとまった本数を入手して、子供の成長とともにワインの熟成を愉しむというスタイルであろう。そういう用途であれば、できればひとつの銘柄を1ケースぐらいは買い込みたいところである。
とはいうものの、ブルゴーニュの人気銘柄を1ケース確保するというのはなかなか難しいし、20年後ぐらいまで(実際そこまで無事に保存できるかはともかく)念頭に置くのであれば、やはりグランクリュかそれに匹敵する銘柄ということになる。しかし、グランクリュをごく若いうちに開けてしまうのはあまりにもったいないことはRWG誌のテイスティングで痛感させられている。

そんなことをつらつらと考えているうちに、あまり片意地を張って特定銘柄をケース買いすることもないかな、という気になった。むしろ、早くから飲めるボトル、晩熟のボトルなど交えて、3〜4種類の銘柄を半ケースぐらいずつ買って、適当に交互に飲んだ方が楽しいかなと。

そういうことで、最初に購入したのが、ドーヴィサの「シャブリ・レクロ」である。出来がよいといわれる02のシャブリ。なにより7000円前後という価格が懐にやさしいこともあり、6本買い込んだ。

赤は最初ロベール・グロフィエを考えていたが、例年より価格がかなり高いのと、結構品薄なこともあり、 お気に入りのロベール・アルヌーに方針転換。
ヴォーヌロマネ・スショ、ヴォーヌロマネ・レ・ショーム、エシェゾーをそれぞれ2〜3本ずつ購入した。アルヌーは早くから美味しいし、全般に早熟と思われるので、当面は白ワインとアルヌーを交互に飲んでいくつもりだ。

次に予約したのがジョルジュ・ミュニュレ(ミュニュレ・ジブール)の各銘柄。この作り手のワインは長持ちするし、熟成すると本当にすばらしい味わいをみせてくれる。できればこの作り手のリュシュット・シャンベルタンクロヴージョをまとめ買いしたかったのだが、どちらも一人一本の縛りがあったので、エシェゾーやNSGなど合わせて6本ほど購入した。こちらは銘柄がバラバラなので、毎年熟成具合を楽しむのには不向きだが、少し長めに寝かせてみたい。

もう一人、どうしても抑えておきたかった作り手がいる。シャルロパン・パリゾだ。この作り手は私が最近もっとも注目しているうちのひとり。ヴァンシュールヴァンのセールで見つけて、早速FAXでオーダーしたところ、注文が殺到していて希望どおりおわけできませんとのこと。う〜む、いつのまにか大人気ドメーヌになってしまったのね。それでもなんとかグランクリュの各銘柄とジュブレイのV.V、それに日本初入荷のジュブレイシャンベルタンの1級ベレールなど、9本ほど確保させてもらった。

とまあ、こんな感じで、子供のビンテージ用にというよりも、自分が気に入ったものを買い漁った感があるが、ドーヴィサ、アルヌー、ジョルジュ・ミュニュレ、シャルロパン・パリゾをそれぞれ一定ボリュームずつ購入できたし、他にジャイエジルのエシェゾーやレシュノーのクロドラロッシュなども1本ずつとはいえ、購入できたので、夏前の戦果としてはかなり満足である。

しかし、まだ大玉が残っている。秋から冬にかけてリリ-スされるアルマン・ルソー、ジョルジュ・ルーミエ、デュジャク、ユベールリニエあたりである。デュジャックとユベールリニエはとりあえず代表的な銘柄を1本ずつでいいかな、と思っているが、ルソーとルーミエについてはある程度まとまった単位で購入したいところだ。
さらに来年になると、DRCルロワのリリースが待っているが、これらのワインは身の丈に合わない感じがするので、あまり積極的に買う気はない。まあ金銭に余裕があれば家宝代わりに1〜2本買うことはあるかもしれないが。
それと家宝代わりに「買わなければならない」銘柄がひとつある。「Ch.ルパン」である。02の右岸?それもルパン?と思われるかもしれないが、こればかりはカミサンがうるさいのだ。(^^;

それにしても、これだけ購入しても、あらためて計算してみると年間のワイン関連の出費としては決して例年より突出しているわけではないから不思議だ。というのも、ワイン会に参加していないのに加えて、02年以外のビンテージを(泡物以外は)全くといってよいほど購入していないからだ。(それだけ例年ワインにつぎこんでいる、という話もあるが‥)
当面はこの調子で1点集中買いを続けることになると思う。子を思う親の気持ちはことほどさように強いのである(←違う気もする‥(^^;)


(04.8.18)