超不定期更新コラム

若飲みのススメ

2月の「こんなワイン飲んだ」のリストを振り返ってみて、「わずか」13本しか掲載していないことに我ながら驚いた。これは1ヶ月に飲んだアイテム数としては、今までHPを続けてきた中でも異例の少なさだ。そして3月もまた同じようなペースが続いてる。

実は掲載している以外にも結構テイスティングの場には参加しているのだけど、HPで公開する許可を得ていないので、そこで飲んだワインについては書いていない。(この件についてはいずれ書く機会もあろうかと思う。)
なので、掲載しているのは、あくまで個人的に家で飲んだものや自腹を切っての試飲会について、ということなんだけど、それにしても、やっぱりこの数の少なさはちょっとサビシイ。

最大の理由は、ここしばらく、さっぱりワイン会に出席しなくなったことだ。

なにせ、昨年は、月に3〜4回ぐらいのペースでワイン会に参加していた。それが、ここ数ヶ月はせいぜい月一回行くか行かないかである。一回のワイン会で10種類ぐらいのワインを飲んでいたわけだから、以前はワイン会分だけで、月40アイテムぐらい掲載していたことになる。これがなくなったのだから、HPも寂しくなろうというものだ。

とは言っても、もちろんワイン会に嫌気がさしたわけではない。

「ひとりごと」や掲示板でもたびたび書いてきたように、家内の出産(1月)、仕事のピーク(2月)、 そして大腸ポリープの検査と内視鏡手術(3月)などが重なったため、週末にほとんど自由な時間を作れなかったことが原因だ。
それにとどめをさすように、3月半ばには、家内が赤ん坊を連れて実家から帰ってきた。以来、我が家はすべてが子供を中心にめまぐるしく回っている。
おそらく、私にとってのココ数ヶ月は、将来振り返ったときにも公私ともにもっとも多忙な時期だったということになるんじゃなかろうか。

というわけで、まだしばらくはワイン会には参加できそうもないし、 下手すると、今年いっぱいはずっとこんなペースかもしれない。

この余波を受けて、私自身のワインの飲み方までも変化を強いられている。

まず、ワイン会に出なくなった分、セラーなどに保管している1万円以上の高額ワインを持ち出す機会がパッタリとなくなった。 もともと、よほどの記念日でないかぎり、万単位のワインを家で飲むことははないので、ワイン会に参加しなくなると、自然と出番が減ってしまうのだ。
消費する機会が減れば、当然買う機会も減る。
おかげで以前のように高額なワインを買い漁ることがなくなったのは、我が家の家計を思えば好ましい変化である。

その代わりに、家で消費するための、準デイリークラスのワインの購入が増えた。「準」と書いたのは、デイリーワインにしてはやや高いクラスを買うことが多いからだ。
私の場合、 このところ家でよく開けるのは、3000円〜6000円ぐらい。
このクラスを家で日常的に開けるとは贅沢じゃん、と思われるかもしれないが、計算してみると、意外とそうでもないのである。

というのも、自分の酒量は、ふだんはせいぜいボトル半分程度ぐらい。 しかも、夕食後に赤ん坊を風呂に入れたりしなければならないので、へべれけになるまで飲むわけにいかない。
したがって、飲む量も自然と少なめになって、だいたい一本を2〜3日かけて飲むというペースがこのところ定着している。
加えて、基本的には週に1〜2日は「休肝日」を設けるようにしているので、1週間に消費するワインって、あらためて数えてみると、せいぜい2本程度なのだ。すなわち一ヶ月に換算すれば8本前後にすぎない。
したがって、 家ではそこそこのものを飲んでも、ワイン会への参加費用や高額ワインの購入費用がかからなくなった分、ワインの予算トータルとしては、以前よりむしろ少なめに抑えられるのだ。

(もっとも、その分、赤ん坊関係の費用が発生しているので、家計トータルでみれば苦しいことには変わりはないのだけど。)

関連して、もうひとつ変わって来たのが、飲むワインの年代である。

前述のような2〜3日かけて飲む、というニーズにあわせて、家ではこのところ、俄然若いビンテージを開けるようになった。
最近よく購入するのは、98、99年のローヌ、97年以降のイタリア、そして97年以降のブルゴーニュあたり。

もちろん、それらを開けてみて、「まだ飲んでしまうのはもったいなかったな」と思うこともあるし、総じて、きれに熟成した80年代、あるいはそれ以前の古酒のような心を揺さぶる感動は期待できない。

しかし、このところ、高額なオールドビンテージを開けたものの、ハイ、ダメになってました、ということが何度となく続いている私としては、「逝っている」リスクをものともせずに古酒に走るだけの精神的な(プラス経済的な)タフネスさを急激に失いつつあって、 だったら、最上の古酒のような感動は得られなくとも、開き直って新しいビンテージをガンガン飲むほうが精神衛生上よろしいではないか、と思ったりもしているのだ。

抜栓して2日、3日と経って、味わいがやわらかくこなれてくる過程を楽しみながら飲むのも悪くないと思うし、リリースしたての、まだ閉じ始める前のボトルって、これはこれで意外な美味しさがあったりする。

ただ、この場合、2点ほど留意事項がある。

買うときは、新しいビンテージといえども、状態の確かなものを買うようにするということ。熱を浴びたボトルは初日はよいが、経験上、2日目以降の劣化のペースが急激になってしまう。したがって、2〜3日に亘って楽しむためには、購入するショップの選定は重要な要素だと思う。

もうひとつ、中途半端に熟成したボトル、たとえばボルドーで言えば、94〜96年とか、ブルゴーニュなら93、95年なんていうビンテージは、ボトルや銘柄によっていはまさに閉じた時期で、思いのほかガッカリさせられることがある。私自身もせっかく数年我慢したのだから、あと数年は寝かせて置いた方がよかったと、何度か後悔した。

そういう次第で、昨年はもっぱらブルゴーニュ三昧だった私だが、最近は良い年が続いているローヌやイタリア、それにカリフォルニアの、比較的安くて美味しいものを探したいという気持ちが日々募っている。オススメ等あれば、ぜひお知らせいただきたく。

(02.3.23)