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長期熟成について |
ワインブーム華やかなりし頃は、「子供の生まれ年のワインを買って、成人したときに一緒に飲んではいかがですか?」なんていう謳い文句がそこかしこで聞かれたものです。 しかし、この日本でワインを20年保存するということが、どんなに大変なことかは、このコラムを読んでいる方々ならよくおわかりかと思います。 冷蔵庫型のワインセラーは、20年の耐久性を念頭において作られてはいませんし、レンタルセラーだって、20年後にその会社やショップが存続しているかは一種のカケです。 まあ、しかし、これだけだと、「身も蓋もない」ですね。 割高、あるいはリスキーと知りつつ、記念の年のワインを集めたくなってしまうのはマニアの情というものでしょうし、それにやっぱりボトルを手元において熟成させるということにはロマンがありますね。 また、良年のボルドーなどは市場に出てからの値上がりが著しいですし、ブルゴーニュに関しては、DRCやルロワなどを除けば、名門の作り手のバックビンテージはほとんど市場にないのが実情です。 ところで、ワインを自分の手元で長期熟成させるときのポイントについて、先達の方々の意見や、自分の数少ない経験から、最近つとに思い始めていることがあります。 たとえば、私がワインにはまるきっかけとなったのは、茶箪笥の中に6年の間、置き去りになっていたケープマンテルのシャルドネの味に感動したことなんですが、実家の茶箪笥のある居間は、夏場は30度前後にまで温度が上昇します。しかしこのボトルはそんな環境で6年の歳月を過ごしたにもかかわらず、(状態は最上ではないにせよ)、しっかり生きていました。 また、先日も、押し入れに2年間おきざりにしていた93カロンセギュールがここふた夏の酷暑にもかかわらず、ほとんど良好な状態を保っていたことに驚いたのですが、これも贈答用に買って、それきり忘れていたものなので、2年間ほとんど触れることもなかったボトルです。 シャトーからワインを購入した時から、1センチたりとも動かさない、ということをウリにしているオランダの酒商「マーラベッセ」が提供する古酒のすばらしさは有名ですが、そこまで徹底はできないにせよ、とにかく忘れ去られたように暗所に放っぽかされていることがワインにはなにより良いことなんではないか、と思い始めている昨今です。 一方、温度についてはどうでしょうか? ただ、ここでもうひとつ注意すべきことがあります。 短いスパンで飲むのであれば、それほど厳密になる必要はないと思いますが、長期熟成させるとなると、ワインの素性のよさ、すなわち入手するまでに熱をあびていないことが前提条件となります。というのも、ボトルの幼年期?の環境の差は後々大きな違いとなって現れるらしいからです。 私の場合も、前述の、ケープマントルのシャルドネは、オーストラリアに出張した上司からのお土産、すなわちハンドキャリーの品でしたし、押し入れに置き去りになっていたカロンセギュールも比較的素性のしっかりしたものでした。一方、同じく押し入れに置き去りになっていた某ディスカウントショップで購入したボルドーはほとんどがダメになっていました。 最後にまとめると、長期熟成させるにあたっては、 翻って、我が家のワインは、と考えると、セラーの空きを一本でも増やそうと、暇さえあればパズルの ように中のワインを入れ替えているのですから、きっと長期保存には向かないことでしょう。(^^;
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