超不定期更新コラム

民族大移動。

耳をすませば、春の足音が聞こえるこの頃。

人生の新たな門出に胸をときめかせる人々がいる一方で、 日々上昇する気温に気を揉みだすワインラバーもいる。

かくいう私も、そのひとりだ。
年末年始の間に買い込んだワインたちに加えて、先日の 「ファインワインクラブ」の「グランヴァン半額セール」では 結構なワインたちをまたまた買い込んでしまったため、 87グランジやドメーヌ・ルロワのクロヴージョが玄関に放置されて いるという可哀相な状況だった。

これはいけない、と思いながらも、仕事が忙しくて なかなか寺田倉庫まで足を運ぶことが出来ないでいたが、 ようやくのこと、先週の土曜日に、一連のワインたちを 入庫することができた。

今回は一度に2ケース半。
今までチョビチョビとしか入庫していなかった私にしてみれば まるで「民族大移動」だ。

なんでこんなに一度に入庫したかというと、ここのところ、買い込みすぎたせいもあるのだけど、それだけでなく、これからは寺田倉庫の利用の仕方を少し変えることにしたのだ。

以前は、ビンテージが新しく、当分飲むのはもったいないというボトルを中心に預けていたが、内容は玉石混合だった。
というのも、ひと箱あたりの保証料が12万なので、その額を超えないようにしていたからなのだ。
たとえば、一本3万のワインを入れた場合は、その箱には3000円 ぐらいのワインをいくつか入れて、トータルの額のバランスをとる、と 言う風に。

ところが、先日ワイン会でご一緒したF木師匠のお宅で、かって旅行中にセラーが壊れて中のワインが全部吹いていた事件があったという話を聞いて、あんまり我が家のセラーも過信しないほうがいいかな、と思いはじめた。
タイミングよく(悪く?)シアトルでの大地震を見て、今年こそはそろそろ 真剣に関東も気をつけたほうがいいかも、と思ったこともある。

寺田倉庫を全面的に信用しているわけではないが、それでも我が家 のセラーに比べれば、ずっと安全だろう、ということで、比較的高額な ワインはなるべく寺田倉庫に預けることにしたのだ。

#もっとも我が家にはそんなに高額なワインはないんだけど。

ひと箱あたりの総額は保証料を超えてしまうけど、我が家のセラーがオシャカになったときには、一銭の保障もないことを考えれば、まだましだ。


さらに、以前は若いビンテージばかり預けていたのだけど、考えてみれば、 乏しいセラーのスペースを、ビンテージは古くても当面飲む予定のないボトルが占拠しているのはもったいない。ということで、77ブルネロだとか89ルーインなども今回寺田に預けることにした。


一方で、長期保管を諦めて、持ち帰ってきたボトルが半ダースある。
中堅どころのボルドーワインだ。

前述のような金額調整の意味合いから、95カントメルルとか、96バタイエ などというようなワインを預けていた私だが、ボルドーワインはオールドビンテージでも比較的入手しやすいし、昨今のボルドーの値下がりを考えれば、特別メモリアルなボトルなどでない限り、そういうものを預けていてもあんまり意味がない気がしてきた。

寺田倉庫に預けた場合の1本あたりの保管料は年額600円。
大した額でないようだけど、10年預ければ6000円となるわけで、3000円で買った95カントメルルも10年後には9000円のコストがかかっているわけだ。
ひるがえってみれば、89とか90のカントメルルは今、そのぐらいか、下手 すればもっと安い値段で買えてしまう。

ということで、中堅ボルドーは今回引き上げることにしたのだ。
とりあえず、先日95カントナックブラウンを飲んでみたところ、状態は良好だったので安心した。95、96のボルドーって、今飲んでも結構美味しいしね。


まあそんなこんなで、チョイスした結果が2ダース半になってしまったのだ。

・Ch.コスデストゥルネル95、96
・Ch.キノランクロ98
・Ch.ムートンロトシルト86、88、89
・Ch.クリネ93
・Ch.ラトゥール89、90
・Ch.ラフィットロトシルト90
・Ch.オーブリオン90
・Ch.シュバルブラン90
・Ch.ペトリュス94
・クロ・ヴージョ96(ルロワ)
・ニュイ・サンジュルジュ95(ルロワ)
・ミュジニー91(J・ドルーアン)
・クロ・ド・ラ・ロッシェ97(デュジャック)
・ペンフォールズ・グランジ87、89
・Ch.ヌフ・デュ・パプ96(ラヤス)
・ヴィーニャ・ダルチェオ97
・トゥルク92
・シェーファー・ヒルサイドセレクト96
・ムルソー97(コシュ・デュリ)
・テイラー・ビンテージポート63
・ブルネロ・ディ・モンタルチーノ77(B・サンティ)
・ルーインエステート・C・S89
・Ch.リューセック89
・コートロティ・シャトーダンピュイ96

ボルドーを引き上げている反面でかなりの数のボルドーを入庫してるのは矛盾 しているようだけど、これは前述のように、長期熟成用というよりは、家のセラー からの避難という意味合いが大だ。

これだけ一度に持っていくのは、日頃運動不足の身にはさすがに重労働であった。それに万一事故っては大変ということで、運転もやたら慎重になった。(^^;

しかし、考えてみれば、今回2ケース増やしたことで、合計8ケース分の保管料は月4800円。
年額にすれば約6万円と、ラ・ターシュやペトリュスが買えてしまう値段は悩ま
しいし、3年も預ければ20万と、 そこそこのセラーが買えてしまう。

やっぱり、早いとこ、セラーを2台置けるような家に引っ越すことが先決かも。