超不定期更新コラム

適量とは?

先週末の「割烹小田島」のワイン会は、実に心残りだった。
テーマはイタリアワインで、出されるワインもサッシカイア やらイル・カルボナイオーネやらルーチェやらと銘醸もののオンパレード。
至福の時を過ごすはずだったのだが、この日はいつになく不調。 ウエルカム・シャンパーニュのあと、一杯目の赤(シンポジオ ・ヴィノ・ノヴィレ・ディ・モンテプルチアーノ93)が予想以上に美味で、思わず先方のお言葉に甘えて「おかわり」。

これがいけなかった。

2種類目のイル・カルボナイオーネ、3種類目のサッシカイア と出る頃にはかなり酔いが回って、おまけに、「うぷっっ!」という感じ。これはいけない。 以降ペースを落としたのは言うまでもないが、最後の「モンテヴェルトラーノ」に至ってはグラスを飲み干すことができなかった。

飲んだ量はウエルカム・シャンパーニュを含めて7杯。
というと、随分飲んだように聞こえるかもしれないけれど、 一杯あたりの量が大して多くはなかったので、普段ならばまあ適量というレベル。
これで悪酔いするというのは私の体調が悪かったんだろう。 その証拠というわけでもないけど、とりたてて強くはない私の友人は飲み終わったあとに、サービスで出されたロゼとかルーチェのグラッパに舌鼓を打ってたし、カミサンも、同じくサービスで出されたルフレーブ のブルゴーニュ・ブランを飲み干していたし。

一方、私のほうは、家に帰ってからの記憶がほとんどない。 おかげで飲んだワインの記憶も、当日のメモを辿るしかない。
そのまますぐに寝ついたところまではよかったが、夜中には頭がガンガンして 目が覚める始末。
いや、ほんとに悪酔いだった。

ただ、私の場合、なぜかどんなに悪酔いしても「嘔吐」することはない。 なにせ、物心がついてから吐いた経験といえば、シンガポールに旅行の時に食あたりになった時、ただ一回だけなのだ。
逆に言えば、どんなに気分が悪くても吐けないという困った体質でもある。 (胃カメラを飲むと異様に苦しいのもそのせいかもしれない。)
まあ、この日はそこまで気分は悪くならなかったけれど。

閑話休題。

ところで、ここでいう「適量」っていうのは、どのくらいなんだろうか。 もちろん人それぞれなんだろうけど、みんなふだんどれくらい飲んでいるのか って、ちょっと気になる。

私の場合は、ふだん飲む量は、せいぜいボトル半分くらい。
週初めなどは、もう少し抑え目にすることもある。
飲み会などで、素敵なつまみがあって、たっぷり時間をかけたとき にはボトル一本ぐらい飲むこともまれにあるが、そうするとかなり頭 がグルングルンしてしまう。
仕事がら夜中に突然電話がかかってくることが まれではないので、そんな時にロレツが回らないというのはちょっと まずい。

だから通常はボトル半分を超えることはまれだ。

ということは、自然と、家でボトルを開けると、それを二日かけて飲むということに なる。
これが結構よくない習慣で、月曜日にボトルを開けると、当然火曜日 にも飲まざるをえない。(こういうところは結構貧乏症なのだ。) じゃあ、水曜日は休肝日かというと、これがたいてい飲み会の予定がはいってしま う。
そんなこんなで、一日あたりの量は多くはないんだけど、 途切れることがないのだ。

よく、タバコは「一日に吸う本数×年数」が400を超えると肺ガン発生のリスク が高まるなんていわれる。(俗説かもしれないが。)
アルコールの場合も、どこかでこんな公式を見た覚えがある。これを超えると肝硬変 の危険水域 だというようなものだったけど、たしかとてつもない量だったと記憶している ので、まあ私の場合は大丈夫だろうと安心した覚えがある。

赤ワインのポリフェノール分が高コレステロールや心臓病の予防に良いという ことで、一躍ブームになったのは今は昔。
Barrique Villeの記事によると、最近では、「予防的な効果はアルコール そのものによるもので、赤ワインの成分によるものであるとする説は間違いで ある。」なんて学説が出てきてるそうだ。

それによると 「赤ワインによるとした内容は別の理由が背景にある。つまりワインを飲む 人々は社会的なステータスがあるとか、タバコはあまり吸わないとか、食事 内容が良いとかが理由ではないか。」だと。
また、この学説では「ビールを 毎日1リットル飲めば、心臓病の発生を抑えることが出来る」そうだ。
うう、尿酸値が高くなりそう…。

その他にも、Barrique Villeには「ワインは喘息患者にはよくない。」とか 「がん予防に利くらしい」なんて記事も載っていて、ワインと健康論議は喧喧諤諤。 (^^)
いずれにせよ、過ぎたるは及ばざるがごとし、ということか。

ちなみに、「少量のアルコールの摂取が健康に良い」ということはほぼ定説に なっているが、この場合の「少量」とは、ワインにして、200mlだそうだ。
これって、ハーフボトルのそのまた半分。
「おもいッきりテレビ」を見て、ワインを飲み始めた私の母(ふだんビール一杯で 真っ赤 になる)などにとっては十分な量かもしれないが、ワイン飲みに とっては、これじゃあちょっと足りないよねえ。

結局のところ、我々ワイン飲みにとっては、「健康に良い」なんて都合よく 解釈せず、アル中と糖尿と肝臓の数値に常に気を配る必要がありそうだ。