超不定期更新コラム

ブラインドやりたい

去年の今ごろは、認定試験の準備でブラインドテイスティングの訓練 をやっていた。

日ごろ毎日のように飲んでいても、意外とこれがあたらないもので、ひどい時にはカベルネとピノノワール を間違えることすらある。いや、本当に自信喪失甚だしかったものだ。

試験自体は銘柄を当てることが重要ではない。

配点は銘柄(選択式) で1点、年代で1点。
色や香り、味わいをそれぞれ感じたままに記述し、そこから帰納的に品種を推理するという本来のやりかたにのっとってコメントできれば、銘柄を間違えても決して致命傷にはならない。
ところが、実態としては、どこかのタイミングで、直感的に「これは○○○だ!」などと閃いて(思い込んで)しまい、それにあわせてコメントを書いてしまうことが多い。
そうすると、品種の想定を派手に間違えた場合、 コメント全体がそちらの方向によってしまい、結果として傷口を広げてしまう。

結局、正解率は品種だけでようやく4〜5割程度、本番でも4銘柄のうち 2銘柄はあたったが、残りの2銘柄は間違えた。 ちなみに間違えたのは、ゲビュルツトラミネールをミュスカとしたのと、 ブランデーの銘柄をマール・ダルザス・ゲビュルツトラミネールと答えた(正解はなんだか忘れた)ところ。
まあ、それでも合格したわけだから、「品種をあてるのは重要でない」ことを身をもって証明したようなものだ。

それ以降は、真剣にブラインドをやる機会などほとんどないので、今も 私の実力はこの程度か、あるいはこれ以下だろう。 正直言って、未だリースリングとソーヴィニヨンブランと樽熟してないシャルドネを区別できるかと言われるとあんまり自信がない。

そんな私であるが、最近ワイン会の余興などでたまにブラインドがあると、 改めて、「ああ、ブラインドって面白いなあ」と思う。

以前はまったくもって心に余裕がない状態でブラインドテイス ティングに臨んでたわけだけど、今はごく気楽な気持ちで臨んでいるということがあるかもしれない。長机に座ってテイスティンググラスとにらめっこするのでなく、美味しい料理と良いグラスという環境でするからかもしれない。

とにかく、 ラベルを見ない「まっさらな状態」で飲むということ、すなわち先入観 なしにプレーンな気持ちでワインに接することに、新鮮な発見があって、面白くてたまらない。
当たりはずれはあんまり問題じゃない。むしろ 外れた場合の方が、自分の凝り固まった常識がまたひとつ柔らかくなったようで、得るものが大きい気さえする。

もっとも、これが名誉だの景品だのがかかってくるととたんにシビアになる。
いちばん閉口するのは、会社の飲み会なんかで、「ブラインドであててみろ!」と迫られる場合。
いわゆるワイン通やワインマニアの方々が集まるワイン会であれば、相場感のようなものをみなわかっているから、 無茶な銘柄あてクイズは出題されないし、仮に出されても当てることは期待されていない。ところが、そうでない場面だと、情け容赦ない問題が待っている。しかも実情以上に私が「ワイン通で家にワインをたくさん抱え込んでいるらしい」という風評が一人歩きしてるのでなおさらだ。

まあ、 そんなケースも中にはあるけれど、ワイン会の余興で盛り上がる「銘柄あてクイズ」的な楽しさって否定はしないし、あっていいと思う。当たったときは鼻が高いし、外れ たら外れたで、よし次こそは、と意気込んでみたり。こないだのCWFCのワイン会でもそうだったけれど、ある程度人数がいるときのブラインドは、
最初に、「このワインの品種は?」→3〜4択
次に、「このワインの産地(国)は?」→3〜4択
「ビンテージは?」→ざっくりと。
などと絞り込んでいって、最後に、銘柄をあてるというようなプロセス にすると、初心者もエキスパートも一緒に楽しめる。

そんなこんなで、 機会があればブラインドテイスティングをもっとやりたいなあ、と思っている今日この頃なんだけど、なかなかその機会に恵まれない。あっても、コンテストみたいなものや、緊迫した状況に追い込まれるのは嫌なので、もっと気楽に、それでいてちょっとアカデミックにやりたいなあ、と思ってるんだけど、どこか気軽に参加できる勉強会みたいなのはないだろうか?