【ヨーロッパ写真帖】
Alsace route de vin
点描 アルザス・ワイン街道
〔その1〕
フランス北東部、ドイツと国境を接するアルザスのヴォージュ山脈の裾野に、えんえんと連なっているブドウ畑があり、所々に珠玉のような美しい町が点在している。秋に訪れたときは、至るところで蔦の葉が真っ赤に紅葉していた。
〔ニーダーモルシュビル〕
アルザス・ワイン街道はオー・ラン県のタンから、バ・ラン県のマルレネムまで、ヴォージュ山脈の東側の山麓までのブドウ畑と小さな、美しい村や町が点在するルート。私が通ったのは約半分のコルマールという街からルートに入り、ストラスブールに至る途中のマルレネムまでの間。それでも充分堪能した。
時は秋。至るところで真っ赤に紅葉した蔦紅葉の鮮やかな色に感銘を受け、僅かな人口の町の美しさに酔いしれたもの。
点描・ニーダーモルシュヴィル 初めに立ち寄ったニーダーモルシュヴィルは、 木骨造りの建物 規模から言えば村。だが日本の農村と比て、 暮らし振りの違いは肌で感じることができた。
飾り絵看板も(左の写真)も、京都弁でいうところの「はんなり」とした色合いで、なんとなく上品な感じ。
一本のメインストリートに面しては、瀟洒な建物もあったが、1歩横道に入るともうブドウ畑の斜面。
← 始めに書いた様に、至るところで真っ赤に色づいた蔦の紅葉が見られた。
ヨーロッパでは楓の紅葉を見た覚えはない。東カナダのケベック州ローレンシャン高原を9月末に訪れたときには、さすがメープルシロッブの産地だけあって、しかも高緯度だけあって、なだらかな山ともいえぬ丘の起伏は、すっかり紅葉していた。がメープル楓は日本の普通に見られる各種楓と違って、真っ赤ではなくオレンジがかった色だった。
しかし、アルザスに来て見た蔦紅葉はなんという鮮やかな赤。蔦ばかりでなく色々な木々が、オレンジ、イエローの様々な階調でアルザスの秋を彩っていた。
アルザス、いやフランスばかりでなくヨーロッパで出会う井戸は、日本の井戸と違って、もう今では水道の普及で使っていないのか、滑車から吊り下げられている釣瓶にも井戸の蓋の上にも色とりどりの花が飾られていた。
ニーダーモルシュヴィルのメインストリート
〔カイザースベルグ〕
フランス語ではKaysersbergと綴って<ケゼルベール>と発音するらしい。アルバート・シュヴァイツァーの生誕地として有名な町・・・と言っても人口はわずか2700人余りの小さな町。だが私の巡ったワイン街道の中では、一番観光客も多く、華やいだ町だった。
魅力的な16〜17世紀に造られた家々が軒を並べるメインストリートの中ほどに、教会の前が広場になっている所があり、広場を囲む建物は木骨づくりの堂々とした構えで風格があった。
外壁に這い登る蔦はようやく紅葉の色合いに染まりかかっていた。
←メインストリートから1歩それると、城砦につづく丘が連なり、ブドウ農家の年代を感じさせる質素な家々が見られる。
広場に面したもう一つの角の建物も見事。二階、三階の張り出した出窓、三階の外壁に描かれた壁絵、…とても人口たった2700人の町とは信じられない街景だ。
もう一つ広場に面しているのは12ー15世紀に建造された教会。大きな三角屋根と四角い鐘楼。ファサードは赤っぽい石積みで、入口のタンパンとその上の壁龕の彫像のほかには、なんの飾り気もない質素なもの。
カイザースベルグのメインストリートから、横丁に曲がるところにアーチ門があり、アーチ越しに見る建物も味わいがあった。
右側の丘の上の砦はキアンツェンの城で、現在は博物館になっている。左側のワイン樽のようなものは、この町の駐車場に面した建物の外壁に取り付けられた看板。カイザーブルグ、アルザス・ワインの文字の上に、「GeisBourg」と飾り文字が見えているのは銘柄だろうか。