
| 1.Maryanne |
| 2.Georgie Porgie |
| 3.Kissing My Love |
| 4.I Know Too Much (About Sadness) |
| 5.Show of Hands |
| 6.Ballad of Bill and Gretchen |
| 7.Drifting |
| 8.I Came to Play |
| 9.Lonely Avenue |
| 10.White Man |
| 11.My Funny Valentine |
| 1993年作品 |
N.Y.のトップ・セッション・ベーシストWill Lee。私はBrecker BrosやらKudu/CTIのセッションから彼の名前を意識するようにナッタクチだ。Brecker Brosの1stや2ndでは曲によってリード・ボーカルをとっていたりしたが、印象はぶっとい音で、白人らしからぬファンクの香の強いベーシストだな、というものだった。 Chuck Raineyの後、CTIを中心としたFusion系のセッションからRock/Pop/Soul系とその活動範囲は広いが、彼の根底にあるのはノリのいいファンク・ロック的なポップ・センスがあるようで、セッションでは決して前に出すぎずに主役をしっかりときひたてる地味なプレイが多いが、その音遣いのセンスのカッコよさはずぬけているように思う。テクニシャンという意味ではAnthony JacksonやMarcus Millerとよく比較されるが、彼のスタンスは、必ずしも、いわゆる「Jazz」にこだわっておらず、常にBeatlesを筆頭にしたメロディーを大事にしたバンド志向だ。1978〜1981の24丁目バンドやその語のJoe Cool、BFD、といったスタジオ・ミュージシャン達が結成したバンドにも主要メンバーとして参加していることからも、そんな彼の音楽史乞うが窺える。現在も全米で放映されるTV番組の音楽ホスト役として活躍するほか、Beatles TributeバンドFab Fauxでの活動やHiram Bullock、John Tropeaなどのレギュラー・メンバーとして、そして相変わらずトップ・ベーシストとしてのスタジオワークにと多忙な日々を過ごしている。
このアルバムは、今の所、唯一の彼名義のリーダーアルバムである。そして参加しているメンバーは普段からともに活動しているN.Y.のトップ・ミュージシャンがずらりと顔を揃えている。
アルバムの内容としては、ほぼ全編にわたって彼のリード・ボーカルをフィーチュアしているが、実際のところ、彼の甘くハスキーなボーカルは非常に雰囲気に溢れていて素晴らしい。アメリカではベーシストとしてばかりではなく、ボーカリストとしてもスタジオ・ワークをこなしていることからも彼のボーカルの実力はおわかり頂けると思う。アップ・テンポのナンバーでもRock色の強いナンバーでも、そして甘いバラードでも、ファンクでも彼のボーカルは実に安心して聴ける。ベース・プレイは当然のように凄い!!ブットイ重低音を活かしたRockナンバーからチョッパー、フレットレスやピッコロ・ベースを駆使したジャジーなプレイまでまったく危なげのない余裕のプレイをきかせてくれる。とにかく物凄いテクニシャンでもあるWillだが、そんなことは全く聞き手に意識させることなく、実に屈託なく伸び伸びと楽しそうにアルバムをつくっている姿が目に浮かぶようだ。しかし、リズム的には非常に凝った作りになっていて、曲によりドラマーを使い分けるだけでなく、そのドラマーとの組み合わせによって生まれる独特のグルーブの変化は絶妙だ。特にTOTOのヒット曲Georgy PorgyでのChris Parkerとのコンビは絶品!!Willのボーカルとも相まって、オリジナル以上の魅力がうまれているように思う。いかにもそれっぽいGaddとのコンビも悪くはないのだが、Steve FerroneやCharley Drayton、Anton Figといったドラマー達との演奏を聴いてみて頂きたい。
このアルバムは、いわゆるJazzでもFusionでもないアルバムかもしれないが、Willと共演者達の協同作業の中にはしっかりとJazzが宿っているし、何と言っても聴き手を楽しませよう、というエンターテインメントの要素と、自分たちのやりたい事を楽しんでやるという事が非常にバランスよく同居しているアルバムだと思う。そんな素敵なバランス感覚を楽しむのにはまさにうってつけのアルバムだと思う。そしてひょうきんで茶目っ気タップリでいながらも非常にフレンドリーで暖かい彼の人柄が、ミュージシャン達から信頼されているからこそ生まれたアルバムだと思う。