◆Victor Bailey/ That's Right◆
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Victor Bailey
Bill Evans
Omar Hakim
Lenny White
Jim Beard

1.Goose Bumps
2.Knee Deep/One Nation Medley
3.Where's Paco?
4.Joey
5.Nothing But Net
6.The Rope-A-Dope
7.Steamy
8.Black on the Bach
9.That's Right!
2001年作品


● Victor/ ESC/VICJ-60816
●Musicians
B.Key.Vo.Victor Bailey
Ds.Omar Hakim(1/2/5/6)/Lenny White(3/4/7/9)
Key.Jim Beard
G.Dean Brown
Ts.Bcl.Bennie Maupin
Ts.Ss.Bill Evans
●コメント●
Jaco Pastoriusの後任としてWeather Reportに参加、Omar Hakimとの躍動感いっぱいのリズム・コンビで一躍名を挙げたベーシストVictor Baileyの3rdアルバムがこの「That's Right」です。本作にも参加しているOmar Hakimとのコンビはその後も健在でOmarのアルバムだけでなく数々のセッション・ワークやマドンナのツアー・メンバーとしても1993年に来日する等、抜群の相性の良さを聴かせてくれています。私はそれ以前に90年前後にやはり本作にも参加しているBill Evans(Ts.Ss.)のグループで来日した時もBlue Note東京でのステージを目撃しましたが、その時は、Bill Evans(Ts.Ss.)Jim Beard(Key)Victor Bailey(B)Dennis Chambers(Ds)というこれまた凄いメンバーでのパフォーマンスは圧倒的なパワー&テクニックを堪能させてくれる実に素晴らしい物でした。そのChambersとのコンビでもBill Evansのライブ盤「Petite Blonde」等で聴くことが出来ますが、Omarとのコンビとはまた一味違う重量感溢れるど迫力リズムでバンドのボトムをしっかりと支えています。そして2003年9月にはMarcus MillerのバンドのドラマーPoogie Bellとのコンビで来日も果たしています。どちらかというとあざとい派手なドンシャリ系のトーンとスラップを多用するMarcus Millerのベースに隠れてしまいがちですが、いかにもベースらしいどっしりとした暖かい音色でのJazz系のサウンドには欠かせない存在と一手もいいでしょう。このアルバムでもOmar Hakim/Lenny Whiteとのコンビで抜群のグルーブを聴かせてくれていますが、インスト系/Jazz系での活動が多いためイマイチその知名度/浸透度ではMarcus Miller等に及ばないものの、その地を這うようなずっしりとした手応え満点のプレイはMarcusに決してヒケを取らない実力の持ち主で、私の大好きなベーシストの一人なんです。

「Bottom Up」「Low Blow」同様、期待通りの硬派なN.Y.サウンドがギッシリ詰まった期待通りの内容で、私のツボに見事にハマってくれちゃってます!重厚で骨太のこれぞベース・サウンドといった手応え十分の指弾きからスラップ奏法やフレットレスでの華麗なプレイまで、彼のベースマンとしての個性・実力がとてもストレートに聴き手に伝わってくるサウウンドです。バランス的にもいくぶんベースのレベルが高いような気がするのですが、Baileyのトーンは決してイヤミが無く、決して耳が疲れるという事もありません。そしてバンドとしてのトータルなサウンドもBeardやEvans等の参加の割にはその手のサウンドよりもポップな暖かみの在るBaileyサウンドに仕上がっていて今までのアルバム同様、しっかりとBaileyの指向するサウンド・テイストが一貫していて、とてもよく出来たアルバムといった印象を受けます。ドラマーの起用も、Omar HakimとLenny Whiteを曲調に合わせて2曲ずつ交互に起用しているのも、サウンドのバリエーションに幅を持たせていて、いい効果をもたらしていますね。それにしても、Omarのドラミングは一聴してすぐそれと解りますね!あの全身バネのような躍動感あふれるリズムとBaileyの生み出すグルーブはとても個性的ですね。2003年8月にMt.Fujiジャズ・フェスティバルで聴いたMarcus-Onarの久々のコンビも決して悪くはなかったのですが、個人的な好みを言わせていただくと、このVictor-Omarのコンビのグルーブの方が好きですね。まあ、やっている音楽のタイプが全くと言っていいほど違うので単純比較はできませんけれど・・・。

1.柔らかく暖かいBaileyのベース・トーンが印象的なプレイが冒頭から聴けます。ファンキーなリズムに乗せたモーダルな曲調は、いかにもEvans/Beard等との共演時の雰囲気に近い感覚ですね。地を這うようなBaileyの重量感たっぷりのベース・ラインと比較的シンプルなOmarのドラムが実にいいグルーブを醸し出しています。ゴリゴリのEvansのテナー・ソロがフィーチュアされていて、これもなかなかいいです!近年彼のプレイにやや迷いを感じていましたが、久々に吹っ切れたEvansのプレーが聴けてちょっと嬉しいですね。Victor/Omarの重くてしなやかなグルーブとBeard/Evansを軸にした硬派なサウンドが実にバランスよくマッチしていて、Baileyの目指す麻と世界に迷いのない事を感じさせてくれます。

2.小気味よい軽快にハネるリズムでのBaileyのスラップ奏法中心のプレイが堪能できます。Baileyのスラップはどんなにあざとい音にしても重低音のきいたクsッヨンのきいた弾力性みたいなのを感じるんですよね。だから決して聴き疲れしたりしないんじゃないですかね。存分に弾きまくっていますが、さほどにも感じさせないのはやはりBaileyの個性でしょう。そして実にタイトで切れ味の鋭いバッキングから、奔放に暴れまくるプレイまで、全身これバネのような躍動感を感じさせるドラミングは層快感満点です。久々に御機嫌に弾けるこの最高のリズム・コンビのプレイは本当にカッコいいですよ!!

3.落ち着いたゆったりしたリズムに陰鬱なEvansのテナー、オルガンのブルージーなトーンが絡んで、Baileyのボーカルがフィーチュアされるナンバーです。ファンク、それもPファンク的なテイストも交えての演奏ですね。途中でフィーチュアされるDean Brownのギター・ソロが実にいいですね。こういったBrownのたっぷりサイズのソロって彼のソロ・アルバム以外ではあんまり聴くことがないので、こういうタメのきいたブルージーなソロも実にいい味を出してますね!

4.実に美しくのびやかなBaileyトーンを活かしたフレットレスによるバラード・プレイは、彼のベーシストとしての円熟味を実によく表しているように思えます。しっかりすたフレージング、歌心、そして多彩なテクニックが見事に調和して聴き手を包み込んできます。ここでの控えめながら素晴らしいサポートを聴かせているのがベテランLenny White。ツボを心得たドラミングはBaileyを引き立てながらも熟練の香を強くは鳴っています。70年代Miles DavisやChick Coreaとの共演で知られるベテラン健在といった所でしょうか。

5.出だしからOmar Hakimとすぐわかる程、キレのいい躍動感いっぱいのドラミングとBaileyの心地よい弾力感に富んだリズムが印象的なナンバーです。曲調は1同様Evans/Beard的な感覚をもう少しポップにしたような感じですがBeardのアコースティック・ピアノによるソロがなかなかいいですね。このアルバムではBeardはサンプリングでなく一貫してアコピをプレイしているようです。ライブなどでは仕方のない場合も多いでしょうがスタジオではやはり本物のピアノを弾いてもらいたいですからね。BeardのJazz感覚溢れるプレイは元来好きだったものですから。そしてEvansのオアワフルなソプラノ・ソロもいかにもEvansらしい個性的なトーン&フレージングでとても素晴らしいです。この人はもっとソプラノに特化した方がいいような気がするんだけどなあ。それにしてもOmarのドラミングは何度聴いても気持ちがいいですね!そしてまたBaileyのフィルノフレーズがカッコいいんだなあ、もう・・・。

6.Baileyのスキャットをフィーチュアした、ちょっとポップなテイストを感じさせるナンバーです。ここでのBaileyの長いベース・ソロは彼のJazzベース・プレーヤーとしての十分な資質を存分に発揮したプレイです。そのとてもしっかりしたソロの構成力といい、歌心といい、5でのOmarとのインタープレイも見事でしたが、ソロイストとしての十分な実力をアピールしています。これだけのソロを構成できるベーシストってアコースティック/エレクトリックを問わず、そうそう居るもんじゃないですよ!

7.バスクラリネットの名手Bennie Maupinを起用してのオリエンタルで巣ぺーシーな感覚のナンバーです。古くはEric Dolphy、最近ではこのMaupinやBob Mintzer、そしてMarcus Millerがよく吹いていますが、使い方がMarcusのサウンドとは全く違うのがわかりますね。音色から来る雰囲気は確かに似ていますが、あえてMilesやHancokとの共演で知られる名手Maupinを起用した真意を音から聞き取って頂きたい喜がします。そしてこの淡々としたリズムにグツーブを込めるLenny Whiteのドラミングの貫録というか風格というか・・・見事です。バスクラとベースのユニゾンによるフレーズに絡みつくような粘っこいグルーブはなかなかファンキーです!

8.打込のリズムをバックに多重録音でのBaileyのソロ・パフォーマンスです。流れるようなその巧みなテクニック、そしてふくよかで艶っぽいそのトーン、Baileyってやっぱり凄いです!ちてつもない懐の深さ、広さを感じます。何処かクラシックの練習曲のような雰囲気も漂いますが、その確実で誤魔化しの無いフレージングは並大抵ではない彼の技量を示しているのでしょう。エレクトリック・ベースをこの域にまで持ち込んだベーシストといえばJaco Pastorius、Anthony Jackson、そしてこのVictor Bailey位のものじゃないでしょうか?

9.これも凄い演奏が収められています。ユニゾンでのEvansとのテーマから、スラップでのプレイまで全く淀みないBaileyのプレイは勿論見事なのですが、Baileyとはつき合いの永いEvansの気合いの入ったテナー・ソロもなかなか熱く燃えていて素晴らしいです。80年代後半から事あるごとに共演してきたこの二人の音楽性に近いものがあるのは曲作りの雰囲気等からも伝わってきますが、ここでのエモーショナルなEvansのプレイは同志Baileyのアルバムに最大限の貢献を果たしているといえるでしょう。そしてここでも淡々としたリズムをパワフルにプレイするWhiteのドラミングの果たしている役割はなかなかどうして大きいです!決して余計なフレーズは叩いていないのに、音にしかりとした主張が込められているようにさえ感じられます。この人もやっぱり半端じゃない名人の一人ですね。

2003年9月に千葉で行われたPoogie Bell/Victor Baileyのライブは残念ながら幾ヶとが出来ませんでしたが、次回は是非Omar HakimとのコンビでBlue Note東京あたりで観たいものです。Bailey/Hakimの生み出すグルーブを是非ともHakimかBaileyのバンドで聴いてみたいです!2001年時点のサウンドとしては決して新しいタイプのサウンドというわけではないのですが、重厚でいて実にしなやかなBaileyのベースと全身これ運動神経の塊といった感じの躍動感溢れるHakimの切れ味鋭いドラミング、その相性の良さを是非間近で拝ませてもらいたい、そんな気持ちを強く感じさせてくれる素晴らしいアルバムです。



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