◆Bottom's Up/Victor Bailey◆

1.Kid Logic
2.Joyce's Favorite
3.Miles Wows
4.'Round Midnight
5.Bottom's Up
6.Hear the Design
7.In the Hat
8.For Wendell and Brenda
1989年作品


●WEA/Atlantic/22P2-2902
●Musicians
B.Vo.Key.Victor Bailey
B.Lonnie Plaxico/Marcus Miller
Ds.Omar Hakim/Dennis Chambers/Jeff "Tain" Watts/Rodney Holmes /Richie Morales/Poogie Bell
Perc.Steve Thornton/Mino Cinelu
G.Jon Herington/Kevin Eubanks/Rodney Jones/Wayne Krantz/Mike Campbell
Key.Jim Beard /Richard Tee/Clyde Criner
Ts.Michael Brecker/Bill Evans/Alex Foster/Najee
Ss.Wayne Shorter/Branford Marsalis
As.Donald Harrison
Tp.Terence Blanchard
Vo.Mark Ledford/Clarence Robinson
●コメント●
 ミロスラフ・ビトウス、アルフォンソ・ジョンソン、ジャコ・パストリアスと錚々たるベーシストが在籍した強力グループ、Weatherr Report。しかも天才Jacoの後任としてグループに加入。Peter Erskineの後任として加入したドラマー、Omar Halmとのリズムコンビでグループに新鮮な息吹を吹き込んだベーシストVictor Baileyの1stリーダーアルバムがこれです。1980年代後半、Bill Evans(Sax)のグループをはじめとする、硬派なJazz/Fusion系のアルバムにはよく彼の名前がクレジットされていたものです。チョッパーからフレットレスまで幅広くなんでも器用にこなしながらもbンドにしっかりとグルーブをもたらし、なおかつ反応の早いインタープレイや、しっかりした音楽性からJazz系のセッションで引っ張りだこになるのも頷けます。マーカス・ミラーのような派手さがないのが、かえって彼の魅力と言えるのかも知れません。そして、Omar Hakim、Dennis Chambers、Peter ErskineやSteve Gaddといった個性的なドラマー達との相性も実にいいんです。私はBNで、Bill Evans(Sax)のグループのメンバーとして、Dennis Chambersとのリズム・コンビと、93年にンドンナのツアーでのOmar Hakimとのリズム・コンビをみましたが、何れも非常に息の合ったリズム・コンビで、バンドのグルーブをしっかりと支えていましたね。その彼が、レコーディングやツアー等でよく顔を合わせる仲間達と作り出した御機嫌なアルバムです。

 Bill Evansグループでも当時演奏していた1.Kid Logicは私も大好きなナンバーなのですが、そのオリジナル・バージョンがここに収められています。この曲はBill Evansのライブ・アルバム「The Gambler」にも収録されているので聴き比べてみると面白いかもしれません。また、有名なスタンダード・ナンバー「Round Midnight」なんかをとりあげていて、Jazzプレーヤーとしての彼の気骨もちらちらと顔を除かせています。ソロイストもMichael Brecker(Ts)やWayne Shorter(Ss)、Branford Marsalisといった名手が参加しているので、彼等のプレイを楽しむ事もできます。でも、やはり目を退くのは曲によって異なるドラマーの顔触れの豪華さでしょう。2では同じく売れっ子のベーシストMarcus Millerをゲストに迎えたり、全体にポップなつくりながらも素気のない、それでいて聴き所の多いアルバムに仕上がっています。全編に渡ってサウンド・メイクに大きく貢献しているのはNYのJazz/Fusion界の重要人物の一人、Jim Beard。アコースティック・ピアノからシンセサイザー、プログラミングまで多彩なプレイで大きく貢献しています。

 1.うきうきするような小気味の良いビートに乗って、Victorのベースがジャジーなメロ&バッキングに大活躍。Omar Hakimの気持ち良く跳ねるビートとどしりしたVoctorのベースの相性は抜群です。Wayne Krantzのギター・ドロもなかなかいいですが、後半のMichael Breckerのテナー・ソロは、この頃のSession物の中でも出色の出来ではないでしょうか?決して新しいアプローチなわけではなく、70年代からの典型的なMichaelのソロなのですが、楽器をよく慣らしきっているのがわかります。後半のOmar Hakimのドラミングも○です。

 2.Marcusのゆったり賭したチョッパーにのせてフレットレス・ベースをプレイするVictorが素晴らしいです。Terence BlanchardのミュートでのTpソロも悪くないですが、スキャットありとスキャットなしのVictorのよく歌うのびやかなソロが印象に残ります。ここでは抑えたOmar&Marcusのコンビがしっかりリズムを支えていて、とても気持ち良いです。

 3.ライブ仕立ての演出で粘っこいファンキーなチョッパー二乗せてのボーカル・チュ0ン。ちょっとMarcusのジャマイカ・ボーイズ仕立てですが、途中のWayne Shorterのソプラノ・ソロ、なかなかいいです。ここでの手応え十分のヘビーなドラムはDennis Chambers。

 4.有名なスタンダード・ナンバーを凝ったつくりで利かしてくれます。ドラムはPoogie BellとJeff Wattsが担当しています。ここれのソプラノ・ソロはBranford Marsalisa。Wayne Shorterとはまた一味違った旬のプレイが聴けます。Stingバンドでのプレイを思い起こさせるような素晴らしいソロです。Victorのフレットレスによるテーマ&ソロは見事ですよ。Marcus MillerやWill Leeとはまた一味違ったファンキーなグルーブ&テクニックを十分に感じることができます。後半のBranfordとVictorのかけあいも、とても素晴らしいです。

 5.ドンシャリ系の音色によるファンキーなチョッパー・サウンド。こういうのをやるとMarcusとの違いが浮き彫りにならないので、この人には損なシチュエイションだと思うんだけどなあ。ここでFeatされるNajeeのテナー・ソロ、決して悪くないんですが、(Groover Washington+Michael Brecker)÷2みたいな感じで私はあまり好きではないんですけど・・・。とにかく、Victorにはこういう音楽をあまり屋って欲しくない気がするなあ。まあ、そういう時代でもあったんですけどね、この頃は。

 6.トワイライト・ゾーンみたいな感じの怪しいナンバー。打ち込みのリズムの上で念仏みたいなボイス(笑)がめちゃめちゃ怪しいです。それに乗せてDonald Harrisonのアルト・ソロもVictorのベース・ソロもたっぷり聴けますが、私はどうもこういうシチュエイションが苦手な物でして・・・。

 7.待ってました、こういうのが私大好きなんです。この当時のBill Evansグループによる演奏。DsはRichie Morales。こういうエレクトリックを使いながらも決してメカニカルにならないサウンドがカッコいいですね。Victorの演奏も必ずしも前には出ていないけれどかえってすごく活き活きしてるように感じちゃいます。

 8.Victorのソロ・ベースでしっとりと聴かせてくれるナンバーです。まるでギターを弾いているようにベースを縦横無尽に操るVictorのテクニックの凄さにも、その歌心にも十分に魅了されてしまう心憎いラストの演出ですね。

 とかくMarcus Millerばかりが突出して目立ってしまう感のあるエレクトリック・ベース界ですが、Will LeeやAnthony Jacksonといったベテランから、このVictor Bailey、Daryl Jones、Jimmy JohnsonやJohn Patitucci等、まだまだ素晴らしいプレーヤーが沢山いますから、こういうアルバムを廃盤にしてしまうのはちょっと哀しい気がしますね。是非とも再発してもらいたいアルバムですね。



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