■Stanley Clarke/S.T.■
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Stanley Clarke
Tony Williams
Jan Hammer

1.Vulcan Princess
2.Yesterday Princess
3.Lopsy Lu
4.Power
5.Spanish Phases For Strings & Bass
6.Life Suite
 Part 1
 Part 2
 Part 3
 Part 4
1974年作品

■EPIC/SONY/ESCA 5232
■Musicians■
B.Vo.Key. Stanley Clarke
G. Bill Connors
Key. Jan Hammer
Ds. Tony Williams
Perc. Airto Moreira
Horns. Lew Soloff/Jon Faddis/Garnett Brown/David Taylor/James Buffington/Peter Gordon
&Strings
●コメント●
Stanley Clarkeの実質的なデビュー・アルバムが本作です。というのも以前雑誌か何かのインタビューでデビュー・アルバムの「Children Of Forever」についてClarke自身が「ああ、あれはChick(Corea)のアルバムといっていい作品だよ。」というようなコメントを出していたからです。そしてここに現れている音楽はあの1stアルバムとは全く異なったJazz/Rockスピリットを感じさせるものだからです。おそらくClarke自身もJazz/Rockという言葉を多分に意識していたのではないかと思われるような音楽がここには満ちています。そして、それにふさわしいメンバー達がこのアルバムに結集しているといっていいでしょう。LifeteimeでJazzとRockの壁を破壊したかつてStan Getzグループで短期間ながら同僚であったTony Williams(Ds)にAirto Moreira(Perc)、そしてJohn McLaughlin(G)のMahavishnu Orch.での壮絶なプレイで一躍Jazzシーンの表舞台に躍り出てきたキーボード奏者Jan Hammer、第二期RTFのフロント・マンとしてClarkeとともにRTFの推進力となっていたBill Connors(G)と、当時最高のメンバーがここに結集しています。正直言ってClarkeのアレンビック(エレベ)の音色は決して趣味のいい音とは思いませんが、そういった次元を超えて新しいムーブメントの中核へと殴り込みをかけるには十分なコンセプト&アイデア、そして十分なインパクトを持ったアルバムに仕上がっています。私個人としては、2ndの「Journey To Love」や3rdの「School Days」も確かに素晴らしいアルバムとは思うのですが、コンセプトとしてのすっきりとした統一性といい、アグレッシブな新しい感覚といい、このアルバムには並々ならぬClarkeの意欲が感じられます。いわゆるFusionとしての見方でいうとLenny White,Billy Cobham,Steve Gaddといったドラマーを起用し、ファンク・ポップ色をGeorge DukeにそしてRock色をJeff Beckに、そしてJazz色をChick CoreaやJohn McLaughlinの参加によって多彩にちりばめた2nd/3rdの方が評価されているようですが、このメンバーの取り合わせによる実に刺激的かつ野心的な本作はより大きな意味をもつように思えてなりません。

その最大のポイントとなっているのがTony Williams(Ds)とJan Hammer(Key)でしょう。Jazzの研ぎ澄まされた完成と図抜けたテクニックはいうまでもなく、Rockのワイルドな感覚とJazzの懐の広さ、柔軟性を見事に表現しているといっていいでしょう。Tony Williamsについていえば、意外とこういったJazz/Fusion系のセッション・ワークの多い人ではないのですが(自己のLifetimeおよびその周辺では別ですが)、とても珍しい作品の一つといってもいいのではないでしょうか?ちょうど旧Lifetimeの4thをリリースした後の時期に当たりますが、この1970年代前半のTonyのセッション・ワークの中でも一際印象的な一枚といえるのではないでしょうか?Miles Davisグループ以来の美しい響きを自在に操るシンバル、ハイハット・ワークにRockの持つダイナミックでワイルドな感覚を見事に表現しきっています。そしてクラシカルなアコピからエレピ、シンセに至るまで、ソツのないだけでなくスリリングでエキサイティングなソロでサウンドをリードするJan Hammerの存在もとてつもなく大きいですね。Mahavishunu Orch.やBilly Cobhamなどのアルバム同様に縦横無尽に翔ぶHammerのキーボードはChick CoreaやHerbie Hancock異常にこの時代を代表する際だった個性を感じさせてくれます。Bill ConnorsについてはRTFでもそうでしたがイマイチ音が前に出てこない印象といい意外に面白みに欠ける平凡なアプローチで、このアルバムの主要メンバーの一人としてはやはり役者の格が一枚違うといった感はぬぐえませんね。それにしてもLifetime以外でこんなにワイルドにRockしているTonyのドラミングはなかなか聞けませんよ!

1.スタクラのイメージというとアレンビックのベース特有のあざとい音色でのファンク色の強いチョッパーベースというのがやはり一番印象が強いのですが、ここでのClarkeのチョッパーはファンクというよりもRock色を前面に出したドライブ感の方が印象に残ります。メロディー&ソロにフィーチュアされているBill Connorsですが決して邪魔にはなっていませんが、際立った個性を感じないのは私だけでしょうか?とにかく冒頭から聞かれる細かいHi-Hatの刻みからハーフ・オープンのHatをぶっ叩くサイルドでいて音色のきれいなTonyのドラミングとClarkeのチョッパー&ベース・ソロ、そしてClrkeのアレンジによるホーン・セクションといい、まさしく新しいJazz/Rockの幕開けを告げるような意欲・パワーに満ちたナンバーです。メチャメチャかっこいいですよ!

2.一転してClarkeの色っぽいアコースティック・ベースとHammerのピアノの響きを活かした美しいバラッド・ナンバー。メロディーを歌うClarkeのボーカルも決しておしつけがましくなく、Tonyの美しいシンバルの響きもこの美しい小品を見事に際立たせています。実はアルバム中で一番好きな局でもあります。メロディ・メーカーとしてのClarkeの才能の高さを感じさせるナンバーといっていいのではないでしょうか。

3.ファンク色よりもダイナミックでワイルドなRock色の強い、Clarkeのベースがリードを取るシャッフル・ナンバーです。後にJeff Beckとの共演で「ギタリスト殺し」の異名をとるようになるHammerのシンセ、エレピがバッキングにソロにと大活躍しています。特に個性的なエレピの音色はJeff Beckの「Wired」や「With Jan Hammer Group Live」を彷彿とさせるサウンドです。そして文字通りConnorsのソロはしっかり食われています(爆)。Connors/Hammer/Clarkeのソロの押収が一つの大きな聞き所になっていますが、その背後でエキサイティングなソロを演出することでは他の追随を許さないTonyの強力にプッシュするドラミングが冴えに冴えています。そして後半ではリフの繰り返しに乗ってTonyも短いながらワイルドなソロを聞かせてくれています。

4.TonyのJazz/Rockといったジャンルを超えた卓越した感性をフルにいかしたドラム・ソロに始まり、そこに印象的なメロディ&リフがなだれ込んできます。後にGeorge Dukeとのコンビではファンキーに感じたClarkeのチョッパーですが、ここでもワイルドなRock感覚がとても前面に出ているような気がしますね。単調なリフの繰り返しに乗せてのHammerのシンセ・ソロはやはりMahavishunu Orchestraで鳴らした強者といった見事な出来栄えです。ここでのConnorsはアルバム中でもかなり健闘をみせているのではないでしょうか?Tony/Clarkeの協力にプッシュするRockリズムにプッシュされてなかなかいいエキサイティングなソロを聴かせてくれています。変幻自在、縦横無尽のTony/Clarke/Hammerのバッキングは、もう卒倒しそうなほどエキサイティングなドライブ感を演出してくれますね!

5.再びClarkeのアコースティック・ベースをフィーチュアしたナンバーです。流麗なストリングスを効果的に使いながらRTFでも聴けるような伸びやかで自由奔放なClarkeのベース・ソロはやはり絶品です。RTF同様スパニッシュな感覚を取り入れたそのアコースティック・ベースはClarkeの高い音楽性とテクニックを十二分に発揮した見事なものです。ここではほかのメンバー抜きで、まさにClarkeの独壇場といったところでしょう。スタクラのアレンビックの音色にイマイチ馴染めない私にとってはこういったアコースティックでのプレイにはとても気が和みます。それにしても当時こんな風にアコースティック・ベースを操るベーシストはClarkeだけでしたね。もっとアコベをフィーチュアしたアルバムをつくって欲しいですね!

6.四部構成の意欲的な組曲が最後に用意されています。Clarkeのアコベをフィーチュアした大河ドラマのテーマを思わせるような第一部から、躍動的な16ビートのリズムに乗せてのTony & Airtoのリズム・コンビの妙技がたっぷりと楽しめます。そしてゆったりとしたテンポへと移り変わってからのHammerの実によく歌うシンセ・ソロもまた大きな聞き所といっていいでしょう。あざとい音色のチョッパーを連発するスタクラよりもどっしりとしたバッキングでTonyとグルーブをつくっているスタクラのプレイの方が個人的にはしっくりきちゃいます。そして弓弾きをフィーチュアしたり、多彩なリズムで見事に演出された壮大なスケールを持った組曲で、グルーブはもちろん、参加メンバーのソロもたっぷりとフィーチュアされています。Connorsも頑張ってはいるのですが、Hammerのソロのインパクトが強いせいでやはりやや影が薄くなってしまうのは致し方のないところでしょうか。

それにしてもズラリ並べたタムで圧倒的なプレイを展開するBilly Cobhamと比べると地味に感じられるTonyのドラムですが、基本的なセットをベースに鳴り物系(金物系)とスネアをメインにアクセントの置き方やダイナミクスで聞かせるTonyのドラミングはやはり圧倒的な存在感を感じさせてくれます。シンバルの締まった美しい響きといい、JazzにもRockにも共通する方法論を確立した先駆者としての風格といい、やはり他の追随を許さないものがありますね。そして主役であるスタクラですが、やはりこの人の存在感は強烈ですね!いくらMcBrideやBromberg、Patitucciが凄いといってもこの人ほどの個性にはまだまだほど遠いものがあります。アコベ&エレベ両刀使いのベーシストの中でもやはりダントツの個性を30年前からすでに発揮していたというのは実にすごいことです。カチッとしたメリハリの効いた昨今の音楽にはない「何か」を感じさせてくれるアルバムです。どちらがいいとか悪いとかいうのではなく、Marcus Miller等とはある意味、対極的な所に位置する人のように思えます。若い音楽ファンの方にも温故知新モードで是非とも体験してみていただきたい1枚です。「School Days」やClarke-Duke Projectだけがスタクラじゃない!!


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