◆Omar Hakim/Rhythm Deep◆
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→Omar
Hakim
→Victor
Bailey
→Michael
Bearden

| 1.Crucial 2 Groove |
| 2.Rhythm Deep |
| 3.Take My Heart |
| 4.Amethyst Secrets |
| 5.The Real Side |
| 6.Angel Delight |
| 7.Love Is Here to Stay |
| 8.Constructive Criticism |
| 9.Tears |
| 10.Sun Always Shines |
| 11.Isolated Lonely |
| 12.The Mystic's Glance |
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1989年作品 |
●GRP/VDJ-3202
●Musicians
Ds.Perc.Key.G.Vo.Omar Hakim
B.Victor Bailey/Scott Ambush
Perc.Don Alias
Key.Michael Bearden
G.Chieli Minucci
Ss.Najee
Vo.Nicki Richards/Sharon Davis/Kysia Bostic/Barry
Sonjohn Johnson/Candy Hinton
●コメント●
Omar
Hakimが日本に紹介されたのは渡辺香津美の「Tochika」ツアー(1980)でのこと。アルバムに参加していたPeter
Erskineが来日できなくなり、Marcus Miller(B)がこのOmar Hakimを紹介したという逸話を読んだことがあります。「もし彼の演奏が良くなかったら僕のギャラはいらないから。」Marcusの科白どおり、Omarは日本のファンに強力な印象を植え付けてこのツアーを終えたのです。その後Omarは「David
Sanborn/As We Speak」に全面的に参加、Weather ReportにPeter Erskineの後任として加入、ポリスを解散後ソロ活動をはじめたStingのレコーディング&ツアー・メンバーとして活動するなど、一気に出世街道をかけ上っていきます。このスティングのバンドではジャズ・ファンのみならずポップやロックのファンにまでその名を知られる程の存在をアピールしたものでした。その後も数多くのアーティストのレコーディングやツアーに参加、ジャズからロック、ポップまで幅広く活躍を続けています。そんな彼がGRPレーベルに残した1stリーダー作がこのアルバムです。ブラコン風のポップなボーカル・ナンバーあり、かなりジャジーなインスト・ナンバーありと、Omarの多彩な音楽性のショーケースの様な印象のアルバムです。Weather
Report以来の盟友Victor Baileyとの強力なコンビネーションを軸に、Michael Beaden(Key)を実質的な音楽監督的に起用しています。実際この3人は1992年にリリースされた教則ビデオやマドンナのGirly
Showツアー等にも揃って参加しており、1990年前後はこの3人がユニットとしてこうどうしていたようです。
実際マドンナのライブでOmar-Victorのリズム・セクションを見たときは最初とても複雑な心境になったものですが、演奏が進むにつれ、その強力なグルーブの素晴らしさにひきこまれていったのを忘れることができません。近年ではSmapやJ-Friendsといったジャニーズ系のレコーディング・セッションへの参加や、企画アルバム「Smappies1&2」への参加等でも知られています。現在は2ndリーダー作もリリースされています。Victor Baileyについては改めて申し上げるまでもなく、Marcus Millerと並ぶ大物ベース・プレーヤーとして活躍していますね。Michael BeaddenはMarcus MillerのJamaica Boysのツアー等でも来日していますし、ポップからジャズ/フュージョンまで多彩な分野で活躍しているキーボード奏者です。ここで演奏されているインスト・ナンバーの多くは教則ビデオでも演奏されていますのでお好きな方にはお奨めです。Omarの全身バネのような弾けるビート、ドライブ感は、実に小気味よく、1980年代には白人ドラマーのDave Wecklと並んでそのテクニックとグルーブではピカイチの存在だったように思います。1990年代以降はDennis Chambersのように表立った活動は多くはないですが、数々のセッションで彼独特の弾けるドラミングを披露してくれています。
1.この当時の流行を反映したかのように、どこかMarcus MillerのJamaica Boysを思い起こさせるような都会的で洗練されたファンク・サウンドといった感覚に溢れたナンバーです。Omar自身のボーカルや女声ボーカルをフィーチュアしたボーカル作品です。ミディアム・テンポのファンク・ナンバーでもOmarの決して粘っこくはないのですが、ブラック・フィーリングに満ちたグルーブは十分に堪能できます。
2.これもミディzム・テンポのコーラスのきいたボーカル・ナンバーです。Omarの歌が意外にうまいのには驚きます。1同様ポップなブラコン風の仕立てながら、Omarのドラムのグルーブの心地よさには十分浸ることができます。とかく手数のお負いドラマーと思われがちなOmarのこういったグルーブを大切にする意外な(?)側面にも十分にスポットが当てられているのは嬉しい限りです。この人の歌心溢れるドラミングはやはり一級品ですよ!
3.今度はバラードでのボーカル&ドラミングでOmarのグルーブを味わうことができます。実際こうやって聞き直してみると決して曲も悪くないですし、いわゆるジャズ・フュージョンのカテゴリーの枠にはめられてしまったが為にヒットを逃したような気がしますね。しかし、こういう歌ものをやっていてもしっかりOmarの個性が出ているのは見事です。確かに歌ものをやらせればLuther Vandrossのバンドに居た故Yogi Hortonの素晴らしいドラミングを思い出してしまいますが、Yogi亡き後はもう、Omarしかいないでしょう!
4.再びコーラスをフィーチュアしているもののNajeeのソプラノ・サックスをフィーチュアしたインスト・ナンバーです。一見してメロウなポップ・フュージョンかのように思いますが、Omarの結構硬派なドラミングとVictor Baileyとの絶妙なコンビの作り出すグルーブの強力さには、ハマりますよ!Omar/Victorの生み出す極上のグルーブに浸るのには最高にゴージャスなシチュエーションです。Najeeのソプラノはメロウでいいのですが、やや路線が曖昧な気がします。硬派なソロをやりたいようでいて、かといってポップにもなりきれない中途半端さを感じてしまいます。せっかく素晴らしい腕を持っているのに私がこの人を好きになれないのは、その辺の重いきりの悪さを感じてしまうからなのです。
5.自然と身体が動きだすようなポップでダンサブルなナンバーながら、Hakimのドラムは非常に硬派な味わいで響いてきます。全体のアレンジも非常にポップですし、メロディーもボーカルもダンサブルなブラコン仕立てながらも粘っこく跳ねるHakimのドラミングの持ち味は十分に発揮されています。小気味いいハイハットワークとメリハリのきいたスネア、ずっしりと存在感のあるバスドラの絶妙なバランスがHakim独特のグルーブを生み出しているかのようです。
6.ファンキーでやや大げさな印象すら受ける派で目のアレンジながらもHakimのドラムの音は生々しいくらいに耳に飛び込んできます。Marcus MillerのJamaica Boysあたりとも共通するようなずっしりした手応えのファンク・フィーリングはMarcusとかなり類似したバックグラウンドを持つHakimらしいともいえるでしょう。基本的にはボーカルをフィーリュアしたポップ・チューンなのですが、随所に凄腕ミュージシャン達のさりげない存在感がちりばめられていて、安心して聴いていられる大人のファンク・フィーリングを感じさせられますね。ベースのAmbushの存在感溢れるプレイも光ります。サンプリングを駆使したブラスはちょいと安っぽい感じもしますが(笑)
7.女性ボーカルとのかけあい風のバラード・ナンバーです。ここでも決して軟弱なビートにならずに、しっかり存在感を浮き彫りにするようなリズムを叩きだすことによって大きな並のようなグルーブを作り出しています。そしてボーカルも十分に聴かせる力を持っていることをしっかりとアピールしています。こんな曲の中にHakimの身体の中から湧きだしてくるポップなブラック・フィーリングが見て取れます。Najeeのソプラノ・ソロはもう少し長くてもいいんじゃないかな?なかなかポップでいいメロディー・ラインを持った佳曲だと思いますよ。もうちょいという感じでヒット曲になりそうなんですけど、やっぱそうもいかないものなのでしょうかね(笑)
8.再びVictor Baileyを迎えてのインスト・ナンバー。単にバッキングだけでなくメロにソロにと独特の曇ったトーンで弾きまくるBaileyというのもやはり凄いですね!そしてアコースティックにシンセにと縦横無尽の活躍のBeardenもやはりただものではありませんね。そして主役であるOmar Hakimのドラミングですが、非常に存在感のあるパワフルな音色と、彼の特徴でもある躍動的ななずむリズムが非常にいきいきとした鼓動を聴き手に伝えてきてくれます。決してテクニックをひけらかすだけでなくグルーブを大事にする彼らしい素晴らしいドラミングが存分に楽しめるトラックとなっています。
9.再びOmar Hakimのリード・ボーカルをフィーチュアしたRockバラードです。間奏でフィーチュアされているChichi Minucciのギター・ソロもさほど個性的というわけではありませんが、非常に得田子心溢れる伸びやかなギター・ソロはなかなか印象的です。Omarのボーカルも決して巧いというわけではありませんが、余芸というには、なかなか説得力もあり、彼が単にドラマーとしてだけでなく総合的なミュージシャンを目指している姿勢が十分に聴き手に伝わってきます。
10.これもポップ・ロック調のナンバーですが、Omarのヘビーなドラミングがとても印象的です。バラードやポップなナンバーでも決して音量を落とすのではなくて、ヘビーな音量を活かしながらしっかりとグルーブをつくっていくというスタイルは、どこか故Jeff Porcaroを思い起こさせられます。コーラスを効果的に廃止ながら黒っぽいフィーリングを持ったHakimのボーカルもドラミング同様、なかなかの歌心で聴き手に迫ってきます。
11.ベースは打ち込みによるものらしいのですが、ここでもずっしりと思い手応えのJakimのドラミングによるグルーブを十分に堪能することができます。ずっしりと思い手応えと粘っこく跳ねるビートが絶妙にブレンドされたHakimならではのプレイが横溢しています。ポップなブラコン風のナンバーながら、Hakimのヘビーなビートがそんじょそこらに蔓延しているヘナチョコなブラコンとは1線を画してくれています。
12.Hakimのスキャットをフィーチュアしているものの基本的にはブラジリアン・フレーバー溢れるインスト・ナンバー。ほのぼのとした味わいのシンセ・トーンとアコースティック・ギターが印象的なメロディーを奏でています。Beardenの実に歌心満点のシンセ・ソロもなかなか素晴らしいですが、後半フィーチュアされるHakimのドラム・ソロの蛇ジーでいて躍動感満点のプレイには流石!と唸らされますね。小手先のテクニックに耳を奪われることなく、大きなグルーブを感じながらもその上で展開される超絶技巧のドラム・ソロは、手数の割にはさほど耳障りに感じません。よくドラマーのリーダー作にありがちな、独りよがりのテクニックのショーケースとは違ったとても音楽的なプレイには本当に感心させられますね!
このアルバムしばらくの間、廃盤の憂き目に遭っていましたがGRPレーベルの20周年記念で再発されました。Omarという素晴らしいドラマーの記念すべき1stリーダー・アルバムという事で、Dennis ChambersやDave Weckl、Simon Phillipsといったドラマー同様、是非とも押さえておきたい1枚と云っていいアルバムだと思います。