◆Mike Stern/Neesh◆
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Mike Stern
Hiram Bullock
David Sanborn

1.Zee Frizz
2.Fine Line
3.Bluze
4.Mumpley Peg
5.Up-ology
6.Banacos
7.Neesh Zone

1983年作品


●A.M.J./ABCJ-309

●Musicians

G.Mike Stern/Hiram Bullock
B.Tom Barney
Ds.Victor Lewis
Perc.Buggsy Moore
As.David Sanborn

■コメント■
1983年に日本国内企画制作されたMike Sternの1stソロ・アルバムが2004年遂に復刻、もちろん世界初CD化となります。このアルバムを制作したレーベルは既に存在しておらず、また一説によるとStern本人も再発に難色を示していたらしく、もう復刻はないものと思っていたアルバムの嬉しい復刻です。1981年に復活を遂げたMiles Davisのバンドに参加。以来Miles Davis、Jaco PastoriusやBob Berg、Michael Brecker、Brecker Bros.等と共演。また1986年の実質的1stで世界デビュー作となる「Upside Downside」以来、コンスタントにアルバムを発表。今日ではPat MethenyやJohn Scofield、John Abercrombieといったギタリスト達とともにギター・シーンをリードする存在の一人です。また2003年に事故死したBob Bergとは1980年代から双頭バンドで活動、このバンドにはDennis ChambersやDave Wecklといった人気ドラマーも参加しており、テンション感の高い良質のJazzを発表し続けてもいました。Miles Davisバンドへの参加以前は伝統のブラス・ロック・グループBS&Tのメンバーとしてアルバムにも参加していますし、Billy Cobham(Ds)のグループにも参加しています。BS&Tへの参加はバークリー音楽院で師事していたPat Methenyの紹介だったようですし、Milesバンドに誘われるきっかけとなったのがCobhamバンドのライヴをMilesが見に来たのがきっかけとなりました。また夫人のLeni Stern(確か彼女のデビュー作にもSanbornが参加していたような・・)も女流Jazzギタリストとして活躍しており、N.Y.ではコンスタントに夫婦デュオ活動なども行っているようです。

本作は「Upside Daunside」(Atlantic 1986年)同様、同じくギタリストHiram Bullockがプロデュースにあたっており、リズムにはMiles Davisグループに参加していたTom Barney(B)、メインストリーム・ジャズからフュージョン系まで多彩なドラミングで知られるVictor Lewis(Ds)、Buggsy Moore(Perc)、ソロイストとしてDavid Sanborn(As)という豪華な布陣となっています。注目すべきは編成がキーボードレスでMike Stern/Hiram Bullockのツイン・ギターである点でしょう。確かにキーボードを加えることによって音の厚みや多彩なサウンド等が得られるわけですが、元来Jim Hallを敬愛し、その緻密で繊細なヴォイシングに強く影響を受けてきたSternにとっては、キーボードレスの編成の方が、よりギタリストとしての自由度が高かったのかもしれません。そしてここで聴かれるサウンドはJazz/Fusionとひと括りにされてしまうには惜しい、80年代ならではのJazz感覚にあふれています。MilesグループからJacoのWord Of Mouthグループへの参加等、急成長を遂げつつあったMike Sternの若き出発を記録した貴重な音源の嬉しい復刻というべきでしょう。

ちなみにMikeSternは1983年〜1984年にかけてはJaco Pastoriusの大型コンボ編成のWord Of Mouthのメンバーとして活躍していたことは広く知られていることと思いますが(公式盤は残されていませんがBootlegでは多数出回っているようです)、その後にKenwood Denard(Ds)とともにJacoのトリオやWord Of Mouthを支えたのがプロデュースに当たっているHiram Bullockです(「Jaco Pastorius Live In New York City Vol.1〜7」や「PDB」等があります)。そんなこともあってか当時はギターの音色等にかなり類似点も多く見受けられるように思います。ちなみに両者ともにJimi Hendrixに大きな影響を受けて育ったギタリストであることも付け加えておきます。

1.SternとSanbornのユニゾンで演奏されるテーマからモーダルな4ビート感覚と16ビートのFusion感覚が交錯する、まさに1983年ならではのサウンドが炸裂しています。こういったコード進行の変化の乏しい曲はあまり向いていないと思われるSanbornではありますが、持てるJazz感覚とストレートなファンキー・ブロウで出だしからパワフルなソロを聞かせています。Sternのソロは今日に至る彼ノスタイルの原型ともいえるパワフルなRock感覚と透明感のあるジャジーな感覚を巧みに融合したスタイルといっていいでしょう。Victor Lewis/Tom Barneyのリズム隊、特にLewisの切れのいいプッシュするドラミングが実に効いていますね。それとSanbornのソロの背後でのSternとHiramのバッキングの絡みがなかなか素晴らしいです!ギタリスト同士ならではのインタープレイについ聴き入ってしまう程です!

2.コンテンポラリーな感覚にJazzの揺らぎ感を持ち込んだバラード・ナンバー。優しく包み込むようなSanbornのアルトによるテーマ、それ以上に暖かみを感じさせる2本のギターの奥行き/広がりを感じさせるバッキングともに、そんじょそこいらのFusionサウンドにはない魅力を感じます。SanbornのソロはCharlie Parker以来のBe-Bopのイディオムを大幅に取り入れてはいるものの、その音色といいタイム感覚といい、彼独自の世界を作り出しているのはやはり見事ですね。SternのJim Hall〜Pat Metheny譲りのJazzセンス溢れるギター・ソロも決してSanbornに負けてはいません。そしてジャジーなグルーヴを生み出すリズム・コンビ、ここではBarneyのギターのフレーズに敏感に反応するしなやかな動きがJazz感覚を更に加速しているように思います。このリズム・セクションなかなかどうしていい感じですよ。

3.どこかJohn Scofield的な感覚も持ったコンテンポラリー感覚のJazzブルースといったところでしょうか。こういったコンテンポラリーなJazzのグルーヴは、このリズム・セクションと、Stern/Hiramのの絶妙なタイミングのコード・ストロークによって見事に発揮されています。このグルーヴに乗せて歌いシャウトするSanbornもいかにも気持ち良さそうにノリのいいソロを炸裂させています。しかしSanbornがいる空間とSternのソロ空間とではガラリと雰囲気が異なるあたりが、プロジェクト的なレコーディングによる未消化な部分とでもいうのでしょう。Jazzを強く意識したSternのソロはなかなかのレベルだと思います。

4.ミディアム・テンポの4ビートに乗せて当時のコンテンポラリーで洒落たJazz感覚いっぱいのカッコいいサウンドを聴くことができるナンバーです。ちょっと軽めではありますけど、このリズム・セクションのグルーヴはこういった楽曲にはピッタリきますね。テーマのSanbornのアルトもかなりいい感じですが、先発するSternのオクターブ奏法から入り次第にRockイディオムを交えて盛り上げていくそのソロ構成は見事としか言い様がありません!またそれを引き継いでBe-Bopフレーズでソロを紡いでいくSanbornのソロもまた見事!この手のコード進行はまさにSanbornにハマりますよねえ。SternのソロもSanbornのソロも◎で個人的にはこのアルバムのベスト・トラックに推したいナンバーです。

5.パーァッションの響きを活かしたボサノバのリズムがなかなか洒落たJazzの雰囲気を醸し出しています。イントロからなかなかいい雰囲気の柔らかいギター・サウンドが心地よいのですが、こういうメロディアスな曲でメロをとらせたらもうSanbornの右に出る者は居ませんね!!歌心抜群の歌い回しはSanbornのバラード・プレイの代表的なパターンにハマっています。Sternのソロではややコンテンポラリーな感覚を意識しすぎた作りでリズムがありふれた盛り上げ方になっているのが残念ですが、随所に着けるBarneyの個人技はなかなかカッコいいです!でもいい感じの曲ですよね。

6.SanbpornとSternのデュオによって演奏される小品ですが、なかなかどうして見落としてはならない魅力がギッシリ詰まった演奏です。Sanbornのこういうデュオ演奏って、これ以外にもありましたっけ?ちょっと翳りのある美しいメロディを情感たっぷりに吹くSanbornと、それに寄り添うようにしてサウンドを構築するStern、もう少しSternが自由に動いても面白かったのになあ・・・。ラストのギターの響きが実に美しいですよ!!

7.この手のずっしりとした手応えのファンク・ビートに乗せて透明感のある空間とハードでホットなRock空間を対比して聴かせるのはSternにしてもHiramにしてもお手の物といったところでしょう。いい意味でも80年代Jazz/Fusionサウンドの持つゴッタ煮的なサウンドといえばそれまでですが、80年代前半にして、しかも1stソロ・アルバムでこれだけのクオリティの高いサウンドを創出するとは、やはりSternの才能の豊かさを感じずにはいられません。しかしこの手のリズムだとやはりこのリズム・セクションでは個性が弱いかな?LewisもJazz系のリズムの方がさえてますし、Barneyもどっしりと凄みを感じさせるようなビートを生み出すまでには至っていませんね。やっぱりこの手のベースはWill Leeに限りますかね?それとこの曲だけSanbornは参加していません。後半のStern/Hiramの怪しいサウンドの競演には思わずニヤニヤしちゃいました(笑)。

David Sanbornとの共演というのも「Upside Downside」以外、案外ないものですね。Bob BergやMichael Breckerといったテナー奏者とは頻繁に共演しているSternですが、80年代半ばにはDavid SanbornやAl Jarreau(Vo)との共演映像(Bootleg)はあるものの、少ないというか、ほとんど思いつきませんね。また、この時期のSanbornはかなりJazzに傾倒していて、リーダー作、セッション作問わず、そういったアプローチが多かった時代ですが、曲によって本来のストレートにシャウトするような泣き節もきかせてくれています。同じくギタリストのアルバムとしては「John Scofield/Electric Outlet」でもかなりJazz寄りのプレイが聴けますので、聴き比べてみるのも面白いと思います。80年代前半のポスト・フュージョン期の熱気のようなものも十分に感じ取れる好盤です。Sanbornファンにとっては必携アイテムでしょう。


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