
| 1.Swunk |
| 2.A Little Luck |
| 3.What I Meant To Say |
| 4.Showbiz |
| 5.Believe It |
| 6.Wherever You Are |
| 7.Ha Ha Hotel |
| 8.Signs |
| 9.55 Dive |
| 1994年作品 |
●Atlantic/82571
●Musicians
G.Mike Stern
Key.Jim Beard
B.Harvie Swartz/Will Lee
Ds.Dennis Chambers/Ben Perowsky
Ts.Michael Brecker/Bob Malach
●コメント●
1980年代に入り、復活したMiles Davis(Tp)の復帰作にBarry
Finnertyとともにギタリストとして参加、レギュラー・グループのメンバーとしてMarcus Miller(B)やBill
Evans(Ts.Ss.)等とともに参加して一躍その名を知られることになったMike Sternですが、その後もMiles
Davisのグループをはじめ、Jaco PastoriusとのグループやSteps Ahead、Bob Berg(Ts)との双頭グループ等で多いにその実力を発揮し続けているギタリストです。90年代に入ってからも再結成されたBrecker
Bros.にDennis Chambers等とともに参加してそのプレイに対する評価はますます高まる一方ですが、ことリーダー作に関してはその内容の充実振りの割には今一つ注目度が低いように思いますが、それはメカニカルで難解なメロディーと、Rockのイディオムを十分に消化・吸収したギタースタイルにも原因があるのかもしれません。しかし、80年代から意欲的なリーダー・アルバムを安定的に発表し続けてきており、紛れもなくPat
MethenyやJohn Scofieldらと並んで今日のJazzギター・シーンをリードする存在であることに間違いはありません。前作のスタンダ−ド等カバー中心だった選曲から、今回はまた全曲オリジナル作品で勝負しており、参加メンバーも従来のBob
Berg(Ts)がMichael Brecker/Bob Marachに変わるなど、いくつかの変更点はあるものの、本質的には大きな変化はなく、またサウンド面ではJim
Beadrd(Key)が仕切っており、なかなかの意欲作といえると思います。個人的にはDennis ChambersのDsが剛だけでなく柔の面でもかなり大きな役割を果たしていて、以外としなやかなデニチェンに驚かされたものです。また、Charles
Blemzig(Key)の作品のプロデュース&プレイで、こういうかなりJazzよりのサウンドでもWill Leeがいい味を出していたりするのは嬉しい限りです。
1.センシティブなトーンとハード&ワイルドなトーンを巧く使い分けたSternの真骨頂といった感じのナンバーです。非常にのびやかな歌心と、メカニカルでテクニカルなプレイも楽々こなす驚異的なプレイに一曲目から圧倒されてしまいます。続くMichael Breckerのソロも陰鬱なニュアンスを出しながらも、80年代以来の高速フレーズをふんだんに織り込んだプレイで元気いっぱいの所を聴かせてくれています。ただし、やや冗舌過ぎるきらいはありますけれど(笑)
2.イントロから非常にセンシティブなプレイで聴き手を引き込む説得力に溢れています。Pat Metenyのそれとは違うのですけれど、その繊細なトーンと歌わせ肩の巧さは特筆物と言っていいでしょう。とてもおおらかな中に、非常にロマンチックな彼の「歌」を感じます。MichaelはStepsの頃を思い出させるようなプレイですが、Michael独特の朗々とした歌い上げ方はやはり流石と思わせてくれます。
3.非常にロマンチックで繊細なSternの持ち味が非常によく出ている演奏です。そしてJim BeardのKeyもピアノとストリングスで見事にSternの「歌」を引き立てて好演です。Dennis Chambersのこんなに抑えた、ブラシ等を使ったサポートは、ちょっとイメージと違うかもしれませんが、Will Leeともども抑えた中にも非常に素晴らしいサポートといっていいのではないでしょうか。
4.ファンキーでメリハリの効いたリズムにメカニカルな旋律、そしてメロウなパートと、Sternの持ち味を全て詰め込んだようなナンバー。ボトムを支えるどっしりとしたリズムに支えられ、Sternは自由に縦横無尽に飛び回っているといった印象ですね。この曲でも、あえてMichaelのソロをフィーチュアせずに、たっぷりと言いたいことを言い尽くすかのようなSternのソロがたっぷり堪能できるナンバーです。
5.ゆったりとしたブルージーなグルーブに乗せて、Mike Sternが非常に大らかにゆったり歌い上げていて、実にいいですね。ゆったりと隙間のある音の間をJim Beardのオルガン・サウンドが実に効果的にSternワールドを演出しています。個人的には同じハモンドの音色でも、あまり好みのトーンではないのですが。これだけ全面的にハモンドを演奏するBeardも珍しいですね。後半、SternとMichaelのユニゾンでテーマが演奏されますが、Michaelのソロは無し。でも、こういった一見贅沢に見えるつくりですが、非常にいい硬かをもたらしています。Will Leeのベースは決して前に出てでしゃばったプレイはないのですが、このグルーブには非常に大きく貢献しているように思います。
6.Herbie Shwartzの豊かなアコースティック・ベースの響きとともに、Sternの美しいアコースティック・ギターの音色がじわーっと心に滲みるナンバーです。非常にクラシカルな印象の哀愁を帯びたメロディーもさることながら、Sternのとても卓越した技術と成熟した感性を思う存分に発揮しています。この人、見た目は長髪の元ロック少年みたいな風貌ですが、決してそんなものに騙されてはいけません!!本当に見事な演奏です!
7.再びヘビーでファンキーなリズムに乗って、いかにもSternらしいメカニカルかつスピード感のある曲です。ドラムがなかなかヘビーですが、後半のトラックはChamebersではなく、Pelowskyです。ドラムが変わっただけで、Will Leeのベースの存在感が一気に増してきこえるのは本当に不思議ですね。ここでもBeardのオルガンがヘビーなロック・フィーリングを出していて好サポートです。Sternのソロもロック・フィーリングを強調した豪快なソロで、彼のハードな面を押しだしたトラックといえるでしょう。淀みないフレーズも音遣いも実にカッコいいです。Bob Malachのテナー・ソロも負け時と豪快なブロウを聴かせてくれています。ここでのMalachは、決して冗舌ではないながらも存在感を示しています。Bob Berg同様、Michael Breckerという大きな存在の陰で目立たなかった人ですが、隠れた実力者の一人ですね。
8.再びロマンチックでメロウなSternワールドが開けてくるようなナンバーです。繊細なタッチと響きが非常に瑞々しい透明感を持って迫ってきます。Sternというギタリストのロマンチックな味わいは、ある意味MethenyやScofieldよりも一段と耽美的で自己陶酔的に感じられるほどの感情移入ですね。後半フィーチュアされるMalachのテナーは、いあかにもBrecker的ですが非常に抑えたいいプレイです。
9.メカニカルでトリッキーで、ちょっぴりユーモラスにさえきこえるテーマから、非常に巧くタッチによる表現力を活かしたSternのソロが実に素晴らしいです。思い入れタップリな歌い方も、なめらかに駆け巡るスケールも、非常にブルージーなプレイも非常にバランスがとれていて統一感を感じさせてくれます。Malachのソロも非常にゆったりとした大らかな歌を感じさせるブロウで、これもなかなかの好演。バッキングに回ったスターンのカッコよさも見逃せませんし、Beard/Lee/Pelowskyのリズム・セクションも実にしなやかでいいグルーブ感です。
Mike Sternが最初にMilesグループで私達の前に姿を現した時、眩しいばかりの新鮮さと、その才能の豊かさを感じさせてくれたものの、演奏には多分に粗削りな印象を持ったのも事実でした。しかし、80年代からの彼のリーダー作を順に聴いていくと実にその成長、成熟のスピードが早いかがわかります。初期のソロは、テクニックの見事さもセンスのよさも非常に感じるのですが、ソロの構成力等には疑問もあったのですが、今の彼のソロの構成は実に巧みであり、独特の「歌」を感じさせてくれるまでになっています。もっともっと高く評価されていいギタリストだと思います。そしてこのアルバムの後半でフィーチュアされているテナーのBob Malachが実に素晴らしい演奏で貢献しています。前半で聴けるMidhael Breckerよりも印象が強いくらいです。セッション・マンという印象の非常に強かったMalachも要注目のテナーマンの一人ですね。一見あまり変化がみられないようなサウンドにきこえますが本当に前作のスタンダード&カバー・アルバムを経て、存在感を増したMike Stern、現在も精力的にアルバムを制作していますが、私にとっては特に印象深いアルバムが、この「Is What It Is」なのです。