■Shadows Of Urbano/Michael Colina■

1.Joy Dancing
2.Shades
3.The Shadow of Urbano
4.Hong Kong Flew
5.Doctor of Desire
6.Fast Break
7.Lady and the Tramp
8.Drifter

1988年作品


■RCA/Private/2041-2-P
■Musicians■
Key.Arr.Prog.Michael Colina
Ts.Michael Brecker
As.David Sanborn
Ss.Tony Aiello
G.Nick Moroch
Perc.Rick Gallwey
<Tower of Power Horn Section>
Ts.Emilio Castillo
Ts.Steve Grove
Bs.Stephen "Doc" Kupka
Tp.Lee Thornburg
Tb.Greg Adams

■コメント■
 Michael Colinaというミュージシャンについては80年代以降、様々なミュージシャンのアルバムにクレジットされている割には今一つピンと来ないものがある。キーボード奏者として、プログラマーとして、またアレンジャー、コンポーザー、そしてプロデューサーとしての活躍はジャンルを超えて実に幅広い。ビルボードのチャートやグラミー賞の常連でもある。なのにピンと来ないのには大きな理由がある。80年代のDavid Sanborn(As)のアルバムのプロデュース&制作に深くかかわっているからだ。確かに常に新しいサウンドを模索し、最先端の技術を駆使した打ち込みサウンドには非常にたけたミュージシャンでもあり、シンプルでエキゾチックなメロディー・センスにも素晴らしいものがあるのだが、ことSamnprnのアルバムのプロデュースについては大いに不満があるだけに、そうやすやすと好評かを与えるわけにはいかない。このアルバムもSanbornとMichael Brecker(Ts)のゲスト参加がなかったら買っていたかどうか・・・・・。

 このアルバムを久しぶりに引っ張り出して聴いたのも、2002年12月のDavid Sanborn公演がきっかけだった。Sanbornが1曲でいいプレイを聴かせてくれている記憶はあったのだが、ツアーに同行していたNick Moroch(G)の参加アルバムを探していて、ふと思い出したのだ。Nick MorochとColinaの付き合いは意外と緊密なようで、私の持っている数枚のアルバムにはともにかかわっている。「David Sanborn/Change Of Heart」、「Bill Evans/Push」、そしてこの「Michael Colina/Shadows Of Urbano」がそれだ。実際「Change Of Heart」のラスト・ナンバー「The Dream」等はSanbornの名演とともに名曲だと思う。このアルバムでの作曲&アレンジ・センスも見事だ。しかし、せっかくの曲も打ち込みのためか無機的な匂いがしてしまうからだ。このアルバムでも2と6ではNick Morochとの共作だが残りは全てColinaのオリジナルで固められており、その意欲は十分伝わってくるのだが、Brecker/Sanborn/MorochといったソロイストやTower Of Powerホーン_セクションが参加している曲以外は、やはり今一つといった感がある。そのあたりにこの人の本質が隠されているような気がしてならない。そしてこのアルバムでNick Morochのソロイストとしての実力を改めて再認識させられたことも付け加えておかなければならない。実際Sanbornグループの中にあっても非常に重要な役割を担っていただけにもっともっと知られていいミュージシャンではないかと思う。

 1.Colinaのメロディー・センス&音色作り(選び?)のセンスの良さが顕著に表れているナンバー。本当にシンプルで、でも何処かエキゾティックな雰囲気を漂わせたメロディー・ラインは見事です。サビの部分にMichael Brecker(Ts)のソロを配したあたりもまさに絶妙、といったところですね。Breckerも肩の力を抜いたゆったりした「歌心命」的なソロで、決して面白いとか、凄い、といったソロではないのですが、吹きまくらずに朗々と歌うプレイが巧いことハマっています。そしてNick Morochのギターのバッキング&短いソロですが、如何にも職人らしいイブシ銀のプレイで、この手の打ち込みサウンドに命を吹き込んでいます。Colinaも短いピアノ・ソロを撮っていますが、耽美的というかクラシック的といおうか・・・・リチャード・クレリダーマンみたいで、別にこれといったプレイではありません。

 2.やたら生々しいパーカッションの音に乗せてこれもゆったりとしたナンバーですが、ここでのメロはいつものColina程、印象的ではなく、せっかくのピアノソロやシンセ・ソロも浮かび上がってこないのが残念。でも、まあBreckerやSanbornをフィーチュアした曲に挟まれたナンバーなんだからそれはそれでしょうがないかもしれませんね。でもやたらリバーブをかけすぎた80年代の音作りの見本みたいな、でもアコースティックな響きを出したいという欲張りなスタンスが見えますね。

 3.ゆったりとしたドリーミーな曲想に、浮かび上がってくるようなシンプルでロマンチックなメロディーは、やはり彼の最大の特徴ですね。そして、たゆたうような雰囲気からはっきりとしたフレーズをハイノートで引っ張るように盛り上げていくSanbornのフィーチュアの仕方も、なかなか一朝一夕に出来る物ではありませんね。まろやかなアナログ系の音色に、輪郭のはっきりしたデジタル系の「立つ」音色をぶつけ、メロディーを繰り返すことでしっかりと聴き手に印象づけ、その雰囲気を更にクライマックスに導くSanbornの存在もアルバム・タイトル曲にふさわしい見事な出来栄えで、このアルバムのハイライト、ベスト・トラックといっていいでしょう。80年代後半のSanbornのセッション・ワークの中でも屈指のソロだと思います。

 4.この中国っぽいメロディー部分はちょいとYMOや坂本龍一のパクリっぽいですがシンセ・ソロ・パートは一転してなかなかカッコいいフレーズが詰まっています。当時やたら流行ったシンセ音色のオン・パレードですね。ただソロイストとしては短いスペースで歌いきるというスタジオ・ミュージシャン的な部分は見られず、あまり面白くはないです。

 5.こういうゆったりテンポのメロディアスな曲作り、サウンド作りは本当に巧いですねえ。ソプラノ・サックスのオブリガートを効果的に使っているので単調なリズム、曲調にも変化がもてますし、その辺を十分考慮に入れたアレンジが施されていますね。このシンプル・メロの繰り返し手法は彼の常とう手段なのだけれど、分かっていてもその辺の手腕には感心させられてしまいます。ただソプラノ・ソロは今一つ個性的とは家無いように思えて仕方がないです。

 6.このアルバムの中で異彩を放っているのがNick Morochとの共作のこの曲。打ち込みリズムによるファンク・ビートに乗せてTower Of Powerホーン・セクションが炸裂するのですが、アレンジがやや綺麗過ぎで、Towerのホーン・セクションの粘っこい独特のグルーブが出てないのが残念。でもDr.Kupkaのバリトン・サックスが効いているだけでやはり他のヘナチョコ・ホーン・セクションとは訳が違うぞ、というのは十分感じ取れます。ここでフォイーチュアされるNick Morochのギター・ソロはサラっと聴くとありふれたRock調のギター・ソロに聞こえるのですが、歌い回しやエフェクトの使い方に流石と思わせる物がありますね。でも、こんなリズム、打ち込み出作るよりも人間にやらした方がいいグルーブ出るのになあ・・・・。

 7.打ち込みリズムを前面に出した80年代後半的なエレクトリック・ポップ的なダンサブル路線を狙ったとおぼしき曲ではありますが、他の曲ほどメロディーラインが浮かび上がってこないのが致命傷。キーボードでほとんどメロから何からやってしまっている分、平板な印象ですし、ギターのバランスが異様に低いのがかえって禍してるように思えます。決して面白い曲でも何でもないのに頑張ってるNick Morochがちょっと気の毒にさえ思えてきます。

 8.ラストはColinaのワンマン・プレイによる夢心地の映画音楽っぽいナンバーです。サンプリングを活かしたオーケストレーションは流石だと思いますし、センスの良いシンセの使い方等もキーボードを少しでも触る人間なら非常に参考になる部分は数多くあるのではないかと思います。電子楽器を使いこなしての音楽制作の技術にはただただ感心するばかりです。でも・・・・これより本物のストリングス・オーケストラを使った方がはるかに豊かな響きが得られると思うのですが・・・・・。




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