■Lenny White■
(1)Present Tense(1995)

| 1.Thick |
| 2.East St. Louis |
| 3.Who Do You Love |
| 4.Door #3 |
| 5.Sweet Tooth |
| 6.Wolfbane |
| 7.Tea in the Sahara |
| 8.Dark |
| 9.And Then You'll Know |
| 10.By Any Means Necessary |
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11.Two Weeks in Another Town 12.The Shadow of Lo 13.Caprice |
| 1995年作品 |
Lenny Whiteというドラマーの名を聞いて思い浮かぶこと。Return To Foreverのドラマーとしての活動やMarcus MillerとのJamaica Boysでの活動が最も印象にン残っているのだが、この一見何の共通性もないように思える活動にこそ、彼のアーティストとしての幅の広さがあるように思う。正直な話、70年代後半のStanley Clarkeのリーダー作以降、約10年近くの間、意識して彼の音楽を聴くことはなかったものの、Jamaica Boysでその健在ぶりを見せてくれてからというもの、彼の名前はちょっと気になる存在となっていた。そんな中、1995年にリリースされたこのアルバムは、参加メンバーの多彩さ、豪華さもあって久しぶりに触手が動き、衝動買いしてしまったのだが、実際、最近までほとんど聴いていなかったといっていいアルバムだった。しかし昨年にCDの整理をしていてこのアルバムが目に留まり、久々に聴いてみたところ、これがなかなか面白い。BにMarcus Miller、Victor Bailey、Stanley Clarke、James Genusといった新旧の錚々たるメンバーを配し、またKeyにはBernard WrightやChick Corea等、先に挙げたRTFやJamaica Boysの面々を中心としたメンバーを起用、そしてMichael Brecker(Ts)やKenny Garrett(As.Ss)、John Scofield(G)といったソロイストを曲によって配置し、一見ありふれたスムース・ジャズ路線に見せ掛けてはいるものの、なかなか骨太で手応えのあるサウンドを展開しているように思う。
彼のプレイには、実際、2度のJamaica Boysでの来日公演で触れた経験があるが、大物という印象の割には、シンプルにグルーブ・メイクに徹していた印象が強く、派手なMarcus Millerのプレイにばかり注目が集まっていたように思う。しかし、過去のRTFにしてもLDで観たChick CoreaやNancy Wilsonのサポートでも、決してでしゃばらず、他のミュージシャンの音に瞬時に柔軟に対応するといった実にシブい役割を演じていて、それがこの人の本当の持ち味のように思う。実際Jamaica Boysでも彼のドラミングがバンドの大きな柱となっていることからも、音楽の全貌が実に良く見えているドラマー/ミュージシャンなのだなあ、と感心させられる部分が多い。
とりあえず前半はMarcus/Bernardを中心にした、いうならばJamaica Boys色の強い演奏だが、曲ごとに非常によく考えて作られているなあ、といった印象。一見キッチリと隙のない作りのようだが、Jazzの持つ揺らぎ感や、ルーズなフィーリングを上手に残しているのは流石。2などは典型的なスムース・ジャズとみせかけながら、本当の狙いは、別のところにあるような感じすら受ける。Jamaica Boysの人脈からかChaka Kahnが参加しているが、やはり堂々としたもの。(Chakaの実弟Mark StevensがJamaica Boysに在籍していた)とにかく、アルバムの前半は、ノリの良いファンク系のビートで掴みは十分。
中盤〜後半は実に多彩ではあるが、RTFの楽想を元にしたようなジャジーな演奏が収められている。中でもChick Corea/John Scofield/Victor Bailey等とのセットは、いかにもRTF的な雰囲気に満ちている。Chickのエレピ/アコピの演奏も素晴らしいし、ジョンスコのプレイも自己のグループでの演奏とは若干異なるニュアンスに満ちていて、なかなかの好演。そして、Stanley Clarkeの替わりにずっしりと存在感のある、それでいてしなやかなプレイも素晴らしい。そして、Lennyの柔軟で軽快なドラミングはRTFの時の印象に非常に近くてビックリ。他にもMarcus MillerのフレットレスをフィーチュアしたナンバーやStamley Clarkeのテナー・ベースをフィーチュアしたナンバーなど、聞き所は多い。
リリース当時もさほど話題になったアルバムではないが、激動の70年代〜80年代を生き抜いてきた強者ドラマーLenny
Whiteの1995年時点でのJazzを見事に体現しているアルバムのように思う。泥臭く、ルーズで、陰鬱でという部分と、モダンで知的、そしてスリリングな部分と、ストレートでダンサブルなビートがバランスよく詰め込まれた、私にとってはなかなか好感度の高いアルバムだ。ドラマーのアルバムというと、やたらドラムが前面で叩きまくるという印象が強いが、このアルバムは、そんな部分は一かけらもない。実に音楽的に、それぞれの曲にあわせたデリケートなプレイに徹しているLennyの姿勢がまた、実にシブくて、カッコいい。