◆Lee Ritenour/Captain Fingers◆

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Lee Ritenour
Harvey Mason

1.Captain Fingers
2.Dolphin Dreams
3.Fly by Night
4.Margarita
5.Isn't She Lovely
6.Space Glide
7.Sun Song

1977年作品


●Epic/EK34426
●Musicians

G.Key.Vo.Lee Ritenour
G.Ray Parker,Jr./Dennis Dudimir/Jay Graydon/Mitch Holder
Key.Arr.Cond.Dave Grusin
Arr.Cond.Michel Colombier
Key.David Foster/Ian Underwood/Key.Patrice Rushen/Dave Green/Dawilli Gonga
B.Alfonso Johnson/Mike Porcaro/Anthony Jackson/Bill Dickinson/Charles Meeks
Ds.Jeff Porcaro
Ds.Perc.Harvey Mason, Sr.
Perc.Alejandro "Alex" Acuna/Steve Forman/Victor Feldman/
Ts.Ss.Ernie Watts
Fl.Dave Valentin
Vo.Bill Champlin

●コメント●

 L.A.のスタジオ・シーンから翔びだしてきたLee Ritenourのデビュー作「First Course(1976年)」に続く2ndアルバムが本作「Captain Fingers」である。ちなみにこのタイトルは彼のニックネームをそのまま拝借したものとの事で、その名の通り完璧無比の超絶技巧で知られるRitenourをストレートに表したニックネームである。当時のL.A.のスタジオ・シーンには先輩格のLarry CarltonやRobben Ford、本作にも参加しているJay CraydonやRay Parker Jr.といったそうそうたる顔触れがひしめいていた時代だが、そんな中で弱冠24才で2枚目のリーダー作をリリースするという事からも、如何にRitenourの存在が際立っていたのかを物語っている。そしてほのぼのとした如何にもL.A.的な雰囲気の中、あれもこれもとショーケース的に詰込まれた前作よりも、たった1年の間に驚くほどの進化を遂げ、ポップですっきりとした仕上がりながら、如何にもRitenourらしいスピード感溢れるフュージョン・サウンドに仕上げられている。丁度本作と前後して日本企画制作による「Lee Ritenour & Gentle Thoughts」がリリースされ、フュージョン・ギター・ブームの火付け役的な存在として知名度も急上昇した時期の作品でもある。

 「Gentle Thoughts」がダイレクト・トゥ・ディスクという、ノン・ストップの一発勝負的なシチュエーションだったのに比べると、本作は如何にもじっくりと時間をかけて作り紺だという作品に仕上げられているが、そのスピード感溢れる鮮かなフュージョン・サウンドは、ある意味非常に共通した部分を持っている。前作ではギターはほぼRitenour一人でまかなっていたのが、本作では適材適所に個性的なプレーヤーを配してRitenourは全体のサウンドにしっかりと目配りの出来る状況になっているのが大きい。参加ミュージシャンも実に絢爛豪華で、曲によって最適と思われる組み合わせの起用がなされているのがよく判る。キーボードにはDave GrusinやGeorge Duke、Patrice Rushen、ドラムスには名手Harvey MasonやJeff Porcaro、べースに至ってはAlphonso Johnson、Ansony Jackson、Mike Porcaro等々、Alex AcunaやSteve Formanといったカラフルなパーカッション・サウンドやフロントにErnie Watts(Ts)を起用する等、L.A.シーンの精鋭達がズラリ名を連ねている。これもRitenourの日頃のセション・ワークで培った人脈がうかがえる顔触れだ。

 Jazz的な香はあまり伝わってはこないものの、これぞL.A.フュージョンといったサウンド・カラーを方向づける様なサウンドがずらりと並んでいる。当時Larry Carltonがインタビューで「ああいう音楽はJazzミュージックとは呼ばない。僕の中では単なるTVミュージックとしか思えない。」といった辛口のコメントを発していたが、確かにTom ScottやDave Grusin、Lee Ritenourの音楽は当時のTV音楽の中から生まれてきた音楽を煮詰めた様な部分が強い。しかしそこが広く大衆的な支持を獲得する大きな要素であったのかもしれない。ファンク。リズムの取り入れ方にしてもGeorge DukeやAlphonso Johnson、Harvey Mason、Ray Parker Je.といったその分野の先駆者達の協力を得て、実に自然に洗練された形として表現されているのも特徴的だ。「TVミュージック」に様々なクリエイティヴな音楽の要素を取り込んで、見事に鑑賞に耐えうる音楽に昇華させているあたりは、まさに新世代のRitenourならではの才能なのかもしれない。

1.冒頭からスピード感溢れる躍動的なファンク・サウンドをベースにした実に「カッコイイ」音が翔びだしてくる。特にMasonの実にシャープなドラミングがサウンドに生命力を吹き込んでいる様に思う。「フュージョン=キメ&シカケが命」といった印象はまさにRitenourの当時の音楽とダブる所だろう。Ritenourのソロはどちらかと言えばJazz的というよりもRock的な手法の方が目立つ様だが、とにかく決める所はビシッと決める、まさに完璧なテクニックを感じさせるプレイだ。

2.ゆったりとしたたゆたう様なリズムに乗せてメロウなRitenourのギターがフィーチャーされるトラックだ。ストリングス・アンサンブルと生ストリングスを絶妙のバランスで使いこなすあたりのセンスも並大抵ではないし、単にメロウなだけでなくドラマチックな要素もしっかりと織り込んでいるあたりの配慮も心憎い限りだ。Ritenourのソロ的にはいくぶんJazz的なアプローチが前面に出ているが、さほど印象的という訳ではなく、全体的にアレンジが先行したトラックという印象が強い。

3.ミディアム・テンポながらキメを要所要所でビシッと決めてメリハリを付ける、如何にもRitenourらしい要素満載のナンバーだ。Gibson ES335を使った特有のメロウなトーンを駆使してのメロディ・プレイ、Rutenour印のお馴染みのフレーズも満載で、彼のギターがお好きな方にはたまらないトラックと言えるだろう。Masonのメリハリの効いた決め所をビシッと締めるドラミングがポイントになっている様に感じられる。

4.スピード感にラテン感覚を取り入れたナンバーだ。そう、この手のラテン+ファンク感覚はGeorge Dukeのサウンドを彷彿とさせるが、そう言えばRitenourも参加していたっけ。このアタック感の効いたエレピのサウンドとラテン・パーカッションのリズムも非常に効果的だが、Ritenourのソロ自体はとても滑らかで実に巧いとは思うのだが、あまり印象的とは思わない。

5.Stevie Wonderの名曲をBill Champlinのヴォーカルをフィーチャーして聴かせてくれる。そしてここではTOTOのJeff Porcaro(Ds)〜Mike Porcaro(B)兄弟がリズム・コンビで参加している。勿論グルーヴが極上だし、Champlinのヴォーカルとの絡みを演出して、そこからハードにドライヴするギター・ソロへという構成もまた実に心憎い。勿論オリジナル曲の良さは大きいが、Champlinのヴォーカルもまた味があっていいし、RockタッチのRitenourのソロもまたエラくカッコいい!

6.ビシっとタイトに決めるファンク・リズムとサビ部分&ソロで大きくフィーチャーされているErnie Wattsの起用がとても成功している。ファンク・リズムに乗せたRock的なリフもなかなかのマッチングだがサビ部分でWattsのテナーが登場してくると一転Jazz的な感覚が強くなる。Ritenourのギター・ソロも、Wattsとの終盤の掛け合いもかなりカッコいいが、この曲のファンク感覚をより強めているのはMasonのドラミングとバックの恐らくRay Parker Jr.と思われるギターのカッティングだ!このファンク・グルーヴもまたとてつもなくカッコいいんだなあ!その上でRitenourの超絶技巧ソロ、Wattsのこれまた実にいい音色のテナー・ソロがフィーチャーされているのだから、もうたまらない。揚げ句の果てに掛け合いでフェード・アウトしていくのだから、まさにダメ押しといった感じだ。

7.前作では2曲だったアコースティック・ギターによるトラックを一本に絞ってラストでじっくりと聴かせるといった狙いは実にいい。本当にこのRitenourという人はエレクトリックを弾かせてもアコースティックを弾かせてもメチャメチャ巧い!ストリングスを巧く使ってリズム賀滑り込んでくるあたりのアレンジもいいし、楽曲的にもRitenourのポップな雰囲気をよく表していていい。まあRitenourのアコースティックを堪能するなら「Rio」に勝るアルバムはないかもしれないが、よく今でも何気ない感じでTV番組のBGMで使われていたりする曲だ。

 とにかく70年代後半〜80年代前半のL.A.フュージョン・サウンドが、ほぼ本作で決定付けられたといっても過言ではないだろう。「First Course」、「Captai Fingers」、「Lee Ritenour & Gentle Thoughts」、そして「Rio」あたりはL.A.フュージョンの源流を形作ったサウンドの代表格として、是非一度は耳を傾けていただきたい作品群だと思う。中でも本作の完成度の高さは群を抜いていると思う。



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