◆The 11th House featuring Larry Coryell/Aspects◆
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Larry Coryell
Michael Brecker
⇒→Randy Brecker
David Sanborn
日野 皓正

1.Kowloon Jan
2.Titus
3.Pyramids
4.Rodrigo Reflections
5.Yin-Yang
6.Woman of Truth and Future
7.Ain't It Is
8.Aspects

1975年作品


●Arista/15RS-8(LP)
●Musicians

G.B.Key.Larry Coryell
Ts.Michael Brecker
As.David Sanborn
Tp.Flh.Terumasa 日野 皓正
Tp.Randy Brecker
G.Steve Khan/Danny Toan
Key.Mike Mandel
B.John Lee
Ds.Gerry Brown
Perc.James Mtume

■コメント■

 1960年代後半から1970年代にかけて、John McLaughlin(G)と並ぶJazzギターの革新者として高い人気を誇ったギタリストとしてJazz史上にその名を刻みこんだLarry Coryell。まだJazzを聴き始めたばかりの私にとってもMcLAughlinとの共演盤「Spaces」は強烈な印象として焼き付いたアルバムだった。そして渡米して間もない日野 皓正がCoryellのグループでレコーディングしたというニュースが飛び込んできた。そして届いたアルバムが本作「Aspects」である。当時大学生になったばかりでそうそうLPを買う御金もなかった頃だったのでJazz喫茶に通っては聴きたいアルバムをリクエストして聴いていた頃の話だ。何処かは忘れたが、とあるJazz喫茶でこのアルバムをリクエストして露骨にイヤな顔をされたのを憶えている(笑)。1975〜6年当時はクロスオーヴァーという言い方でこの手の音楽は呼ばれていた頃で、伝統的なJazz愛好家の間ではRockやFunkの要素の強いこの手の音楽はあまり歓迎されていなかったからだ。しかしそんな事には全く無頓着だった私は「Spaces」的な音が翔びだしてくるのをワクワク&ドキドキ状態で、リクエストの順番をまっていたのだった。

 音が翔びだしてきた瞬間に「おや?これは違うかな?」といった気分になったのは当然である。何故なら冒頭から協力なファンク・リズムに聞き覚えのあるホーン・アンサンブル、そしてかなりRock寄りのギンギンのCoryellのギターが翔びだしてきたからだ。しかし予想とは大きくかけ離れてはいたものの、この手の音楽も決して嫌いではなかった私なので、アルバムのクレジットにBilly Cobham(Ds)のバンドに参加していたRandy & MichaelのBrecker Bros.やDavid Sanborn(As)の名前を発見して、「ああ、やっぱり・・」みたいな感覚を抱いたものだった。

 ちなみに本作はLarry Coryellのソろ名義ではなく「The 11th House featuring Larry Coryell」とThe 11th Houseというグループ名義となっている。Brecker BrosやSanborn、Steve Khan等はゲスト参加で、それ以外のMike Mandel(Key)、John Lee(B)、Gerry Brown(Ds)、Coryell(G)を中心にしたグループという事だが、実質的にはCoryellの別プロジェクトといった意味合いのグループと思っていいと重う。そして本作は同じAristaレーベルに籍を置くBrecker Bros.のRandy Brecker(Tp)をプロデューサーとして迎えているのだから、出てくる音にはかなりBrecker Bros的な雰囲気が漂っているのは当然の事。そして曲によってRandy、Michael、Sanbornのソロもフィーチャーしている訳だから初期のBrecker BrosやSanbornファンにとっても見逃す事の出来ないアルバムと言っていいだろう。特にSanbornについては1974〜5年にかけては非常に乗り2乗っていた時期でもあり、非常にインパクトのある素晴らしいソロを聴かせてくれる。そしてもう一人忘れてはならないのが日野 皓正だ。日本での人気/知名度の高さから思えば信じられない程わずかなソロ・スペースしか与えられてはいないものの、トランペット奏者としては、正直Randyを凌ぐ存在感を発揮していて、渡米に際しての壮行コンサートにまで出かけた一人としては嬉しく感じたものだ。また当時注目されていたリズム・セクションの一つだったJohn Lee(B)〜Gerry Brown(Ds)のコンビも、今となってみれば少々古臭くも聞こえるがなかなかいいリズムを提供している。

 主人公であるCoryellだが、正直言って「Spaces」の面影はアコースティック・ギターによるトラック以外は全くと言っていい程感じられない。しかしだからといって良くないという訳ではない。とにかくこの人、実に嬉々としてギターを弾いているのがよく伝わってくる。実に何の戸惑いもなく真正面からRockタッチのプレイに取り組んでいるのがかえって清々しく感じられる位だ。「Spaces」でのあのスリリングなインプロヴィゼーション/インタープレイ空間とはまた違った楽しみをここにも見出していたのかもしれない。後に続々と登場してくる所謂フュージョン・ギタリスト達とは違う次元で捉えた方がピッタリとハマる感じがする。やはり何をやらせてもMcLaughlinとCoryellの二人は別格、といった印象だ。

1.いきなりRockタッチの強いCoryellのギターが、そしてそこに如何にもBrecker Bros的な感覚のホーン・アンサンブルが加わって結構ど派手なサウンドとなっている。先発するCoryellは、もう入りからギンギンにRockしていて飛ばしまくり(笑)。御得意のペンタトニック・スケールを中心にした反復フレーズを使って盛り上がっていく。エフェクターを使ってのトリッキーなプレイも実に自然な感じだ。そして後は日野〜Mandel〜Coryellによる掛け合いソロがフィーチャーされているが、ここは正直ジックリ日野のプレイが聴きたかった。続くJohn Leeのベース・ソロもソロ事態がというよりもGerry Brownのドラムとの絡む感じがカッコ良い。

2.イントロのギターのカッティングから如何にもファンクらしいファンク・リズムに乗ってアタックの効いたホーンとギターの掛け合い風に曲が構成されていてなかなか面白い。ホーンの合間合間にフィーチャーされるCoryellのギター自体はファンクという感じはほとんどなく、ここでもかなり派手なRockギター・プレイを聴かせている。そしてこの曲ではDavid Sanbornの短いアルト・ソロがフィーチャーされている。短いスペースではあるが、入りの印象からいつもの「泣き節」での盛り上げ方、そして収まりの付け方と、もうSanbornのエッセンスがギュッと凝縮された様な見事なソロと言えるだろう。

3.これまたファンキーなリズムにBrecker Bros風のホーン・アンサンブルがいい感じで乗っかったなかなかカッコいいなんばーだ。ここでのCoryellはRockタッチというよりも、むしろブルース感覚が強く表れたギター・ソロを聴かせている。ファンク・リズムにラテン・パーカッションのリズムがうまく絡んで乗りのいい躍動感を加速しているのも見逃せない所だろう。それにしてもRandy&MichaelにSanbornが加わったホーン・セクションは一度聴いただけですぐにそれと判るほど協力で個性的だ。

4.CoryellとKhanの二人によるアコースティック・ギターのアンサンブルにパーカッションを加えた演奏だ。どことなく東洋的な雰囲気を漂わせる中でCoryellのアコースティック・ギター・プレイを堪能する事の出来るトラック。ストローク・プレイを巧く使ったCoryellのソロも、また呼吸の会ったアンサンブルもなかなか見事だ。

5.ややゆったり目の粘っこく跳ねるファンク・リズムに乗せてシンセとホーンによるアンサンブルにCoryellのギターが絡む形のテーマ〜サビの構成はこれまたBrecker Bros的な雰囲気に満ちている。ここではMichael Breckerの短いテナー・ソロがフィーチャーされているが、ファンク感覚を前面に押しだしたプレイで悪くはないが、決して面白いソロという訳ではない。Coryellのプレイはここでも全体的にブルージーな泣きのフレーズとRock的なアプローチを巧くブレンドした感じで押している。

6.ゆったりとしたリズムに乗せてやや怪しめの如何にもRandyっぽい雰囲気を持つナンバーだ。ここではミュートを使ったRandyと日野のソロ乃応酬が大きな聴き所となっている。これはもう圧倒的に日野が終始優勢である事は誰の耳にも明らかだろう。Mandelのシンセ・ソロはフレーズ云々以前に音色の趣味があまりにも悪過ぎ(笑)。終盤のフェード・アウトしていくCoryellのギター・ソロとそれに鋭く反応するBrownのドラムはかなりカッコいい!

7.ホーンとギターのユニゾンによるテーマから、これまたBrecker Brosっぽい感覚に溢れたナンバー。ここでのCoryellのソロはブルージーなフレーズを意識的に前面に押しだした様な感じだが、トーン的にはかなりRock色の濃な演奏となっている。ホーンのバック・リフを受けての2ndソロでは御得意の反復フレーズを織り交ぜながら十分に個性を発揮している。

8.ラストは純粋にThe 11th Houseだけによる演奏といった感じ。16ビートを強く意識させたスピード感ある展開、どことなくプログレ風の部分も感じられたりしてなかなかカッコ良いナンバーだ。ここではMandel〜日野〜Coryellとソロが受け渡されていくが、個々のソロ・スペースとしてはかなり短めなのが少々残念な所だ。Mandelのシンセはいかにも初期のムーグといった音色から抜け出せていない感じで、やはりこの当時としても少々時代遅れの印象は否めない。日野のソロはもう少しスペースがあれば・・・という感じが残る。Coryellのプレイは他のトラックとは少々違ったスピード感を意識したプレイで、これももう少したっぷりと聴きたかった。楽曲的には最もこのグループの個性がよく表れていてベスト・トラックと重う。

 本作はしばらくの間、廃盤状態だった様だが、近年になって国内盤は目出度く復刻されている。Coryellファンにとっても、またBrecker Bros.やSanbornファンにとっても実に嬉しい復刻と言えるだろう。特にSanbornファンにとっては必聴の一枚である事は間違いなしだ!またいつ廃盤になるやも知れないので、お持ちでない方は是非お早めに(笑)。


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