◆Larry Carlton/S.T◆

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Larry Carlton
Jeff Porcaro
Abraham Laboriel
Greg Mathieson

1.Room 335
2.Where Did You Come From?
3.Nite Crowler
4.Point It Up
5.Rio Samba
6.I Apologize
7.Don't Give It Up
8.(It Was) Only Yesterday

1978年作品


ワーナー・ミュージック/Warner Bros./WPCR758
●Musicians
G.Vo.Larry Carlton
Key.Greg Mathieson
B.Abraham Laboriel
Ds.Jeff Porcaro
Perc.Paulinho da Costa
Vo.William Smith

●コメント●

 Crusadersのサポート・メンバー〜レギュラー・メンバーとしての活躍、Tom ScottのL.A.Express、そして実に多岐にわたるセッション・ワークを通じてL.A.のトップ・ギタリストとして活躍してきたLarry Carltonの代表作として知られるアルバムが本作「Larry Carlton/S.T.」だ。トレードマークともいえるGibsonのセミアコES335を駆使してのその伸びのあるよく歌うギター・プレイはよく「歌うギタリスト」と称され全三を浴びてきたが、本作におけるプレイはまさにその極地といった趣だ。そして何と言っても本作に収められている楽曲がまたいい。Crusadersでのプレイ、セッション・ワークのプレイには収まりきれないCarltonの瑞々しい完成が本作に凝縮されているといった印象だ。ドライヴ感のあるRock感覚を十分に発揮した本作でのプレイは、Jazz系のギタリストはもとより多くのRockギター・フリークをも虜にし、大きなヒットへと結びついた。そして「Mr.335」乃愛称で長い間多くの支持を集める存在として活躍を続ける事になるのだ。

 近年はFourplayの参加やソロ活動においてもスムース・ジャズ的な路線の作品の多いCarltonだが、やはり本作の勢いのある演奏に比べると少々物足りなさを感じてしまう。かえってStanley Clarke(B)やBilly Cobham(Ds)等との「Live At The Greek」や、TOTOのギタリストSteve Lukatherとの「No Substitutions」といったライヴ作品の方が自然体のプレイがダイレクトに伝わってきて個人的には好みだ。本作ではGreg Mathieson(Key)、Abraham Laboriel(B)、Jeff Porcaro(Ds)、Paulinho Da Costa(Perc)といった勢いのあるL.A.の精鋭達と見事な一体感を感じさせるサウンドを聴かせている。R&B/ソウル的な甘さを演出するためか加えられているストリングスが少々違和感もなくはないが、それもバンドの勢いのある演奏に引込まれていくうちにさほど気にならなくなってくる。またリリース当時は当時ヴォーカルをフィーチャーするのが流行となっていた当時だけに、少々邪魔な感じもしたものだが、今聴き返してみると案外そうでもなく、ヴォーカル物においても十分Carltonらしさを感じさせるギター・プレイが楽しめる。今日でもライヴの定番曲となっている「Room 335」や「Only Yesterday」、Crusadersの「Free As The Wind」にも収録されている「Nite Crawler」等といった名曲満載の大傑作アルバムだ。

1.今やCarltonの代名詞ともなっている名曲「Room 335」。個人的には要所要所でフィーチャーされてくるストリングスが少々耳障りに感じないでもないが、タイトかつドライヴ感十分のグルーヴとCarltonの伸びやかで非常に巧みな構成されたギター・ソロを堪能する事ができる。Carltonに続いてフィーチャーされるMathiesonのエレピ・ソロも多くの歌を務めるMathiesonならではのツボを心得た内容となっている。決して派手に叩きまくるプレイではないが、しっかりと全体の構成を把握し、グルーヴをコントロールするPoracaroのドラミングは見事!Laborielとの相性もピッタリだ。

2.何となくPaul Simonに似た雰囲気のヴォーカルをフィーチャーしたナンバーだが、なかなかポップな感覚を持ったヴォーカル・ナンバーに仕上げられている。何処か頼りなげなヴォーカルとは裏腹に、力強く歌い上げるギター・ソロがなかなか印象的だ。ギター・ソロの妬途中でフェード・アウトしているのが残念な程だ。さすがにL.A.シーンの売れっ子セッションマン揃いだけに実にソツのない安定感のあるサポートぶりを聴かせている。

3.Crusadersのヒット・アルバム「Free As The Wind」に収録されていたナンバーだが、若干アレンジにも手を加えているせいもあるのだろうが、やはりStix Hooper(Ds)の独特のバタついた感じのドラムがPorcaroに変わっている分、すっきりと洗練されたグルーヴ感を体感する事ができる。黒々としたファンク・フィーリングが持ち味のCrusadersサウンドが、落ち着いた中にも鋭いRock感覚溢れるCarltonサウンドに見事変身を遂げているのがいい。ファンク感覚のテ=マからCarltonのギター・ソロに入るや、なかなかエッジの効いたドラマッチックなRockテイストの効いたソロの熱い感覚に包まれる。安定感あるLaborielの終始変わらぬファンク感覚に対し、局面に応じて柔軟に表情を変えながらグルーヴをコントロールしているPorcaroのクールなドラミングは実に見事!ハモンド・オルガンのサウンドを効果的に使ったアレンジも秀逸だ。

4.速いテンポのスリリングでドライヴ感のある演奏が印象的なナンバー。ダイナミクスを自在に活かしたバンドの一体感が実によく伝わってくる演奏だ。ダイナミクスをストンと嗚とした所から様々なCarlton御得意の双方を折り込みながらスリリングな展開へと盛り上げていく構成力の巧みさが実に素晴らしい。パワフルでスピード感、ドライヴ感も抜群のリズムにDa Costaのカラフルなラテン・パーカSッヨンも実に大きな効果をもたらしている。

5.16ビートにサンバのリズムを取り入れた軽快にドライヴするナンバー。躍動感溢れるラテン感覚のリズムに乗せてCarltonのギターはRock感覚のエッジの効いたプレイを聴かせている。エレピ、シンセ、そしてハモンドを実に効果的に駆使したMathiesonのキーボード・ワークは決して派手さはないものの実にしっかりとポイントを捉えたプレイだ。エモーショルでRockテイストの強いCarltonのギター・ソロに続いてフィーチャーされるエレピ・ソロはダイナミクスを実に匠に活かしたジャジーなソロ展開でとても見事だ。ここではLaborielのワイルドな感覚と見事なテクニシャンにろを発揮したベース・ソロ、Da Costaのパーカッション・ソロと各人の個人技もふんだんに収められていて聴き応え十分なトラックとなっている。

6.力強いファンク・グルーヴと、どこか頼りなげなCarltonのヴォーカルのコントラストが面白い効果を挙げているヴォーカル・ナンバーだ。それにしてもCarltonの歌はMichael FranksやPaul Simon、Ben Sidranあたりの雰囲気にかなり近い。比較的シンプルなファンク・リズムながら、実にパワフルでワイルドな雰囲気を醸し出すLaboriel〜Poacaroのリズム・コンビはまさに鉄壁のリズム・チームだ。

8.これも今日に至まで非常によくプレイされ続けている代表的なナンバーの一つ。ブルース進行をベースにしたテンポのいいシャッフル・ナンバーだが、バンド全体が非常に心地よいグルーヴを産みだしていて実にいい。それに乗せてのCarltonのソロはブルース感覚の強いフレーズを実にエッジの効いた存在感満点のトーンでしっかりと歌い上げている。それにしてもどんな楽曲においても決して勢いだけでなくしっかりとしたフレージングで誤魔化しの無い誠実なプレイを聴かせてくれるのは嬉しい限りだ。続くMathiesonのハモンド・ソロは如何にもハモンドらしいあざといフレーズを連発したブルージーなソロでこれまたかなりカッコいい!終盤2ndソロで盛り上がっていき、フェード・アウトしていく手前ではストレートなロックン・ロールっぽい演奏に発展していくあたりもなかなか面白い。この手のリズムはPorcaroにとってはまさにお手の物といった感じで抜群の冴えを見せるPoracaroのドラミングは要注目だ。

8.アルバムの最後の最後に珠玉の美しいバラード・ナンバーを持ってくるあたりのCarltonのミュージシャンとしての成熟度の高さを強く感じさせるトラック。Mathiesonの美しいエレピによるイントロの中から何気なく入ってくるギターが、もう何とも言えず美しい。飾り気のない出だしから腰のあるトーンでの思い入れたっぷりに歌い上げていくあたりの切り替えの巧さはさすがだ。短めではあるがタメの効いた実にドラマチックなソロ展開の巧さもまさに天下一品だ。当時はまだバラードの素晴らしさには今ひとつピンと来てはいなかったが、今さらながら実に素晴らしい名曲、そして名演だと思う。Jeff Beckの「哀しみの恋人達」や、Santanaの「哀愁のヨーロッパ」等と並ぶギターによるバラードの大傑作だと思う。

 本作の収録曲のライヴ演奏もまた素晴らしい。「Last Nite」収録の「Don't Give It Up」、Steve Lukatherとの「No Subsstitutions」での「Don't Give It Up」、「Only Yesterday」、「Room 335」等も見事だし、またライヴ映像にも数多く収録されているので、是非そちらも会わせて聴いてみて頂きたい。その収録時期によって微妙にそのアプローチの変化等も感じ取れて非常に興味深い。名手から匠へ、まさにそんな形容が実によく似合うギタリストだ。


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