◆Beck/Joe Beck◆
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Joe Beck
David Sanborn
Don Grolnick
Steve Khan
Will Lee
Chris Parker
Don Sebesky

1.Star Fire
2.Cactus
3.Texas Ann
4.Red Eye
5.Cafe Black Rose
6.Brothers and Others
7.Ain't It Good
8.Spoon's Theme

1975年作品


●CBS Associated/CTI/Kudu/ZK-10805
●Musicians●

G.Joe Beck/Steve Kahn
As.David Sanborn
Key.Don Grolnick
B.Will Lee
Ds.Chris Parker
Perc.Ray Mantilla
Violin.David Nadien/Frederick Buldrini /Harry Cykman/Peter Dimitriades/Max Ellen/Harry Lookofsky/Charles Libove/Joseph Malin/Harold Kahon
Cello.Jesse Levy /Charles McCracken/George Ricci
●コメント●

 John McLaughlin(G)以前にMiles Davisがセッションで共演していたギタリストが、このJoe Beck。強力な個性という点ではMcLaughlinやLarry Coryellといった当時たいとうしてきたギタリスト達には及ばないものの、その幅広い音楽性と豊かな歌心でスタジオ・セッション等に引っ張りだこだったギタリストです。実際CTI/KuduレーベルやA&M/Horizon等の人気作品の多くで彼のクレジットを見つけることは容易です。しかし、なかなかこれといったリーダー・アルバムの制作のチャンスには恵まれずにいた彼に注目していた男がいました。かつてWes MontgomeryやGeorge Bensonといったギタリストを大スターの座に押し上げた敏腕プロデューサー、Creed Taylorです。当時N.Y.のスタジオ・シーンで急速に頭角を現しつつあったBrecker Bros.のリズム・セクションを中心にGil EvansオーケストラやPaul Butterfield Blues Bamd、Paul SimonやStevie Wonder、Esther Philllips等のレコーディング・セッションで素晴らしい個性的なソロで評判を集めつつあったアルト奏者David Sanbornという活きのいいメンバーに、Don Sebeskyのアレンジによるストリング・セクションを配したこの上ないメンツを揃えてレコーディングが行われたのです。

 このアルバムのセールス自体は決して芳しいものではありませんでしたが、ギタリストを中心に非常に高い評価を受けていたアルバムです。かくいう私も学生時代に一緒にバンドを汲んでいたギタリストからこのアルバムの存在を教わったのですが、プロの若手ミュージシャンに師事していた彼は先生から進められたのだそうです。そしてSanborn命だった私にこのアルバムを紹介してくれたのでした。ほぼ全曲でフィーチュアされるSanbornはメロディーを吹いてもよし、サビの部分で滑り込んできてもよし、ソロはソロでもう圧倒的な艶やかさと歌心で渾身のプレイを聴かせてくれています。正直言って主役のJoe Beckを食ってしまうほど個性的な歌い回しのSanbornが光っていて、Beckのリーダー作という観点では失敗だったのかもしれませんが、誰がリーダーとかいう事でなくアルバムとしては大変出来のいいアルバムであり、その後立て続けにリリースされるSanbornのどのアルバムよりもよくプロデュースされたの素晴らしさは、もう絶妙としか形容しようがありません!事実私は隠れたSanbornのリーダー・アルバムの如くに聴きまくり、LPは2枚聴き潰し、後にCDショップで偶然見つけたジャケット違いの「Beck & Sanborn」というタイトルでこのCDを見つけた時にはもう小躍りして喜んだのは言うまでもありません。最近ADLIB誌リコメンドというシリーズで国内盤がオリジナル・ジャケットで再発になりましたが、この名盤を広く多くの人に知っていただければとても嬉しいことだと思っています。全体に非常にクールで知的なBeckと直上的なSanbornの対比が面白いバランスで聴けるアルバムですが、サポートのメンバーの好サポートも見逃せません。Don GrollnickのオリジナルでBrecker Bros.やHiram Bullockも好んで演奏する「Cactus」のめ渋いテイクが収められているのが何とも嬉しい限りです。

 1.しまったリズムに乗せて何処かドリーミーなメロディーが印象的なナンバー。アルバムのしょおぱなからメロにソロにSanbornが持ち味全開の大活躍です。情感タップリに謳い上げるメロディーは、まさにSanbornの為にあるかのような印象すら受けます。ソロは先発がSanbornです。滑り出しから締めくくりまで、まさにSanbornのエッセンス満載で、サイズも長すぎず短すぎず理想的です。続くBeckのソロも何度となく聴いたためかほとんど覚えてしまっている位です(笑)。Sanbornに負けじとブルージーに良く歌うソロは、決してパラパラ弾きまくることなく、いい感じです。

 2.キーボードのDon Grolnick作の大好きなナンバーです。Hiram Bullock(G)がアルバム「From All Sides」で演奏、その後もライブでよく演奏している曲でもあります。lplpではGrolnickのエレピのノーンが非常に印象的かつ効果的なプレイで光っています。BeckのソロはRockテイストを前面に出しているものの、非常によく構成されたソロで大いにアピールしています。最初と最後のテーマの後のサビだけでSanbornが登場しますが、ソロを取っていないのにもかかわらず、聞き終わった後にソロを聴いたかのような余韻を持たせる程の素晴らしい演奏で、これぞSanbornといった感を強くする名演の一つと癒えるでしょう。

 3.幻想的なエレピにSanbornが絡む形で立ち上がりからゾクゾクきちゃいます。ここでも1stソロはSanborn。本当にいい按配にBeckにソロを引き継いでいます。Beckのプレイは本当にブルージーなフィーリングに溢れていて、その歌心と行ったらSanbornに勝るとも劣らない見事なプレイです。ここではBeckの長いソロとGrolnickのエレピ・ソロがフィーチュアされていますが、Grolnickのソロもこの当時の物はあまりないと思うので結構基調かも知れません。Grolnickのソロも非常に起承転結のしっかりした素晴らしいソロです。最後に再びSanbornのソロで締めくくりといったお腹いっぱいのナンバーになっています。やはりCreed Taylorのプロデューサーとしての力量の素晴らしさを感じてしまいました。

 4.ゆったりとしたリズムに乗ってギターのリフに続いてサビはSanbornが盛り上げていきます。ここでもSanbornが先発して、いきなりファンキーに、でも寄付気に富んだ素晴らしいソロを聴かせてくれます。ここでのSanbornのソロはかなり長いですが曲の構成に助けられて実に伸び伸びと彼らしい歌い方を展開しています。Beckのソロも非常にシンプルなフレーズと間を活かした語り口が素晴らしいです。他の曲でもそうですが決してストリングスが前に出すぎず、非常に適切なバランスで高かを挙げているのも見逃せません。

 5.エッジのきいたアッタクをきかせたSanbornの吹くメロディーが面白いナンバー。ここではBeckが泣きのギターをたっぷり聴かせてくれるソロが先発です。ソロに入るやSanbornは押さえ目に発進、あまりメリハリのきいたソロとはいえませんが、不思議な曲の印象そのまま、一風変わったソロ展開となっています。

 6.訥々とした味わいのアコピのストロークにBeckが絡むいい感じの泣きのフレーズで絡むイントロからスローなテーマをSanbornが朗々と謳い上げるというSanbornにとっては理想的なパターンの曲。ここでもBeckが先発ソロでいい感じの泣きフレーズとリズミカルなフレーズを巧みに織り交ぜながらのドラマチックに聴かせてくれます。続くSanbornもクールに滑り出し、次第にボルテージを挙げていくなかなか見事なソロ構成でたっぷり聴かせてくれています。とにかくこれも曲調がSanbornにジャスト・フィットしていて、最高のおぜん立ての上で最高の演奏を聴かせてくれています。オリジナルの LPではこの曲でおしまいだったと思います。

 7.ボーナス・トラック1はファンキーなフィーリングのゆったりしたナンバー。サビでBeckとSanbornのユニゾンが聴けますが、曲的にはイマイチ魅力に欠けるかな?ワウを使ったBeckの長いソロとSanbornのワンコードでのソロがたっぷり聴けますが、これは決してSanborn得意のシチュエーションではないので、お蔵入りしていた訳がなんとなくわかる曲ですね。

 8.軽快なビートに乗ってBeck & Sanbornのハモリによるジャジーなテイストのテーマが演奏されます。先発のBeckのソロはスピード感を出したジャズ的なアプローチのソロでなかなか聞き応え十分です。ソロの途中のスケールアウトしていくあたりはゾクゾクっとするスリルが味わえます。続くGrolnickのソロもスケールを多用したソロで熱演なのですがこちらはWill LeeやChris Parkerのプッシュがなかなかスリリングです。どうもこのトラックは一発録りらしく全員がなかなか熱いインタープレイを聴くことが出来ます。スタジオ録音でこれだけ熱いWill LeeやChris Parkerのプレイが聴けるのは滅多に内ですね。こういうボーナス・トラックは大歓迎です!!

 とにかくDavid Sanbornのファンを辞任される方なら、是非とも持っていて頂きたい必須アイテムだと思います。現在の国内盤が廃盤になったら次はいつ復刻されるか難しいと思われますので、まだお持ちでない方は是非是非この機会に入手されることをお薦めします。絶対に損はしません!!本当に素晴らしい出来のSanbornが堪能できますよ!!


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