◆Song Of The Sun/Jim Beard◆

| 1.Camieff |
| 2.Parsley Trees |
| 3.Song of the Sun |
| 4.Holodeck Waltz |
| 5.Diana |
| 6.Baker's Annex |
| 7.Haydel Bay |
| 8.Lucky Charms |
| 9.Long Bashels |
| 10.Sweet Bumps |
| 11.Crossing Troll Bridge |
| 1990年作品 |
●ポリドール/CTI/POCJ-1049
●Musicians
Key.Jim Beard
G.Jon Herington
B.Victor
Bailey/Anthony Jackson/Batundi Pano
Ds.Dennis Chambers/Kenny
Aronoff/Dan Tanar/Ben Perowsky
Ts.Michael Brecker
Bcl.Fl.Ss.Bob Mintzer
Ss.Ts.Wayne Shorter
Fl.Cl.Sax.Lenny Pickett
Perc.Don Alias /Mino Cinelu
Harm.Toots Thielemans
Frh.Bob Carlisle/Fred Griffen/Jerry Peel
●コメント●
1980年代後半〜1990年代のN.Y.ジャズ・シーンで最も注目すべきキーボード奏者の一人がこのJim
Beardではないでしょうか。復活CTIの第一段となった「Guse One」も彼を中心としたプロジェクトでしたが、それだけにとどまらず、Michel
BreckerやBill EvansといったSaxプレーヤーのアルバムには必ずと言っていいほど、彼の名前がクレジットされていたものです。その作編曲の才能とJazzにルーツを置いたモーダルなキーボード・プレイ、プログラミングまで幅広くこなす、モダン・キーボード奏者達の中でも一際目立った存在だったように思います。特に80年代後半から90年代前半にかけては打ち込みが流行したのもあり、引っ張りだこの様相を呈していたようですね。私は90年頃にBNでBill
Evans/Victor Bailey/Dennis Chambersと共演したステージを見ましたが、確かにガツンとくるようなJazzピアノのダイナミズムにはかけるものの、多彩なキーボード・サウンドを操る確かな腕前には感心させられたものでした。その彼の個人名義としては初のリーダー・アルバムがこのアルバムです。打ち込みも使いながら、アコースティックでヒューマンな味わいを出すのが得意な彼らしく、個性的なソロプレーヤーを適所に配置して独特な音世界を構築しています。どことなくWeather
ReportやSteos Aheadのサウンドを思い起こさせるようなサウンドが随所に聴くことができます。
1.どことなくSteos Aheadを彷彿させるようなサウンド、メロディーですね。Michael Breckerのテナーがフィーチュアされているのもそんな空気を助長しているのかもしれません。アコースティック・ピアノのソロにも彼のJazzのルーツが鮮明ですね。Michael Breckerのテナーも音色が一段と逞しくなり、現在に至るアプローチの片鱗が伺えます。まだやや吹き過ぎの感はありますが、間を活かしたフレージング等に変化の兆しが見えますね。ここでのベースはVictor Baileyです。
2.これもイントロからSteps Ahead/Weather Reportの影響が顔を除かせていますね。ここでフィーチュアされるソプラノ・サックスはWayne Shorterですね。流石といった風情のある貫録十分のソロです。Beardの多彩なシンセ・プレイもヒューマンな味わいでなかなかいいです。
3.美しく荘重なピアノに導かれ奥行き感、広がり感のあるサウンドが展開されます。ここで大きくフィーチュアされるJohn Helingtonのギターもなかなかよく歌っていて味があります。Dean Brownと並んでN.Y.のギター・シーンの注目株として注目しています。
4.ゆったりとしたリズムに乗せてWayne Shorterのソプラノが泳ぎ回る感じが実に蜉蝣感があっていいですね。後ろのBob Mintzerのバスクラリネットが聴いていますね。ここでのドラムは紛れもないパワー・ドラム、Dennis Chambers、ベースはAnthony Jacksonです。
5.これまたゆったりしたテンポに乗せてハーモニカの名手Toots Thielmansがフィーチュアされています。もう何の説明も要らないくらい有名なJazzハーモニカの第一人者ですね。古くは映画音楽やBill Evans(P)との共演や、80年代以降もQuincy Jonesのバンドなどでも大きくフィーチュアされていますね。何とも美しく、優しく、切ない響きがたまりませんね。そして、ここではVictor Bailey(B)、Dennis Chambers(Ds)、John Helington(G)が控えめながら繊細で素晴らしいサポートをしています。
6.面白いリズムに乗せてどこかのどかな雰囲気のするテーマをシンセとMichael Brecjerのテナーが奏で、Beardのアコースティック・ピアノ、Michaelのテナー・ソロと続きますが、決して弾きすぎず、響きと間を活かしたBeardのソロはなかなか見事です。Michael喪静かにクールに昇りつめていくような、それでいてよく歌うソロを聴かせてくれます。ここではAnthonyのベースが独特のグルーブを生み出していて非常に効果的です。
7.まるでWeather ReportのBlack Marcketを思い起こさせるサウンンドで思わず頬が緩んでしまいます(笑)。とても短い小品です。
8.コミカルで不思議な曲調のナンバー。Dennis Chambersのドラムがすぐそれとわかるのが微笑ましいですね(笑)。ここでもAnthonyがベースですが面白い味をだしていますが、彼の個性は今一つ際立っていません。Jim Beardのシンセ・ソロはやはりJoe Zawinulっぽい味わいですね。Michaelの曲の面白さを活かした短いソロとシンセの絡みがなかなか面白いナンバーです。
9.再びゆったりとした牧歌的なナンバーです。Anthonyのベースが、いかにも彼らしい、それでいてとても繊細なプレイで見事です。一転パワフルなリズムに替わりその上で飛び回るようなWayne Shorterのソプラノ・サックスのソロが彼の持ち味たっぷりでとても気に入っています。やはりこうなるとWeather Reportを思い出しちゃいますね。Beardの音楽に深い影響を及ぼしている凄いバンドだったんですね。
10.陽気で軽快なリズムのナンバー。Toots Thielemansのハーモニカが、ただの浮かれた曲にしないところが凄いです。Beardの古臭いサウンドを意識したようなラグタイム調のアコピのソロもなかなか雰囲気があっていいです。Chambers/Jacksonのリズム・コンビもここではとてもいいグルーブを発揮しています。Thielemansのハーモニカの隙間に入るHelingtonのギターのフレーズに非常にセンスの良さを感じてしまいます。
11.ラストはアルバムをしめくくるような印象のゆったりしたリズムに乗せてBeardのアコピが哀愁漂うメロディー&ソロを奏でます。そしてToots Thielmansのハーモニカが夕日の沈んでいくような光景を演出する中、Beardがピアノの腕を十分に披露してくれています。ここでのベースはVictor Baileyです。
最後に是非付け加えておきたいのが、Don AliasとMino Chineruの二人のパーカッション奏者の役割の大きさです。二人とも単なる効果音的なレベルではなく、空間に広がりと奥行きを十分に与えるだけでなく、曲によってはグルーブにまで大きく拘っていて、この二人の実力の素晴らしさ、凄さを実感させてくれています。そして、こういう不思議な音空間を生み出すJim
Beardというミュージシャンの感性、才能に改めて感心させられます。ただ全編、決して乗りのいい御機嫌なアルバムというわけではないので、派手な音楽を期待する向きにはちょっと不向きなアルバムかもしれません。とにかくこのJim
Beardという人、もっともっと評価されて然る可き人だと思います。
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