
| 1.Power of Soul |
| 2.Piece of Mind |
| 3.Saddest Thing |
| 4.Loran's Dance |
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●Sony/Columbia/Kudu/505171-2
●Musicians
Ts.Ss.Grover Washington
Jr.
Key.Bob James
G.Joe Beck
B.Gary King
Ds.Idris Muhammad
Perc.Ralph
McDonald
Tp.Flh.Randy Brecker
&
Horns & Strings
■コメント■
1970年代、CTI/Kuduの多くのアルバムに参加しているドラマーIdris
MuhammadのKuduレーベルからのリーダー・アルバムです。Hank Crawfordのアルバムなどでの唸り声をあげながらのグルーヴぃーなドラミングや80年代〜90年代のセッション・ワークなどから、「典型的グルーヴ・ドラマー」という固定観念が頭の中に出来上がっていた私ですが、正直この1974年に録音された本作では、単にその枠にとらわれないドラミングの幅の広さ、懐の深さを感じさせるプレイを聞かせています。シチュエーションとしてはお馴染みBob
Jamesのアレンジによる派手なオーケストレーション、Bob James(ep)Joe Beck(G)Grover Washington
Jr.(Ss.Ts.)Randy Brecker(Tp)Ralph MacDonald(Perc)Gary King(B)という布陣も新鮮なイメージですね。これでギタリストがEric
Galeだと「まるでGrover Washington Jr.のアルバムと一緒じゃん!」となってしまいますし、RandyのTpを大きくフィーチャーしているのも、なかなか珍しいところでしょう。
収録されている楽曲もJimi Hendrixの1、Bob Jamesの2、Joe Beckの3、Grover Washington Jr.の4とバラエティ豊かで、どちらかというとR&B/ソウル色の強いKuduレーベルにあっては異彩を放つRock寄り、Jazz寄りの演奏が展開されているのも意表をついていて面白く聴けます。
1.アルバム・タイトルにもなっている天才Jimi Hendrixのナンバー。Bob Jamesの特徴ともいえるブラスの効いたホーン・アンサンブルがパワフルさを加速する効果をあげています。先発ソロはGrover Washington Jr.のテナー。この人のトーンといい歌い回しといい、出てくるだけで瞬時に自分の世界に塗り替えてしまう個性は見事というべきでしょう。そしてここで特筆すべきはJoe Beckのギター・ソロでしょう。トーン、アプローチともにRockテイスト満載で、そこにJohn McLaughlinやLarry Coryell的な方法論をうまく取り込んで、これまたなかなかのギター・ソロを聴かせてくれています。そして見逃せないのがMuhammadとKingのシンプルなRockリズムが以外にもピッタリとハマっていて気持ちのいいこと!!そしてJamesがソロの背後でさりげなくテンション感を演出していたりと、さすがに芸の細かい所を聴かせてくれますね。この曲を1曲目に持ってきたのは正解でしょう。
2.Bob Jamesのミディアム・テンポのジャジーなナンバー。先発ソロはGroverのソプラノ。ゆったり気味のリズムに乗せて独特のサブトーンのきいたトーンで流麗に飛翔するようなイメージを感じさせてくれます。続いてRandyのトランペット・ソロが出てくると一段とジャジーな感覚が増してきます。1969年のデビュー作「Score」以来、基本的にはJazzの伝統を踏まえたソロ・プレイを常に聞かせてくれている彼だけに、この曲に大きな貢献を果たしています。Jamesのエレピ・ソロ、シンプルなシングル・ノートによるフレーズを中心に構成されていますが、さすがに自らの楽曲だけにツボを押さえてプレイはさすがですね。地味にシンプルなバッキングニ徹しながらも巧みにジャジーなグルーヴを自在にコントロールするMuhammad〜Kingのリズム・コンビは、まさに大人のリズム・セクションといった趣ですね。BeckのバッキングもJAZZセンスヲ十分に感じさせてくれます。
3.Joe Beckのオリジナル作品。この曲はBeckのアルバム「Beck」にも収録されていてDavid Sanborn(As)をフィーチャーしたそちらのイメージが強烈ですが、ここではさらりとボサノバ・タッチで軽やかにプレイされています。テーマがSanbornのアルトでなくGroverのまろやかなソプラノに変わるだけでイメージが一変してしまいますね(笑)。ここでもオリジナル・メロディを活かしたGroverのソプラノが先発しています。そして、ここではRandyがフリューゲル・ホーンに持ち替えて、ゆったりとしたイメージのソロを吹いているのが実にいい感じですね。Bob Jamesのエレピのソロは可もなく不可もなくといったところでしょうか?GroverもJamesもイマイチ曲に入り込み切れていない感じがしますね。ここでもMuhammad〜Kingの「大人リズム・セクション」はいぶし銀のプレイでジャジーなグルーヴを生み出すことに成功していますね。やはりMuhammadの本領は、このいぶし銀のジャジーなグルーヴにあるのは間違いのない所でしょう!!
4.Grover Washington Jr.のオリジナル・ナンバー。これもやや遅めのミディアム・テンポで演奏されています。Groverのオリジナルながら、なかなかどうして、かなりJazzっぽい感覚に満ちたナンバーになっています。ここではJpe Beckのややブルージーな感覚を出した短いソロが先発。そしてブリリアントなRandyのトランペットに受け渡しています。Randyは特にハイノート・ヒッターというわけでもありませんし、快速フレーズで圧倒するというタイプではないのですが、独特のテンション・ノートを駆使したフレーズと抑揚の聞かせ方で、しっかりと自分の型を持った希有なトランペッターといえるのではないでしょうか?そしていつになくゴリゴリとしたトーンでジャジーなフレーズを吹きまくるGroverのテナーは、なかなか豪快な味わいを感じさせてくれますね。CTI初期の作品では比較的そういったプレイも聞かれたGroverでしたが、次第にそういうプレイは影を潜めつつあっただけに、こういったプレイが聴けるのは嬉しい限りです。再度短いBeckのソロがフィーチャーされた後はホーンのバックリフを受けながらのJamesのストローク中心のソロでフェイド・アウトしていきます。Muhammadのジャジーなセンスはある程度頷ける部分もありましたが、重たいグルーヴが売りだとばかり思っていたGary Kingが意外にも柔軟でジャジーなプレイを展開しているのには驚きましたね。こんなに自由に動き回るKingのプレイはこのアルバム以外では聴いたことがありませんでした!
Jamesのアレンジも、1以外ではあまり派手派手しいホーンの印象もなく、さりげなく、しかし効果的なストリングスの使い方が冴えている感じですね。そして聞き込めば聞き込むほどにMuhammadのドラミングの印象が際立って聞こえてくるのが不思議です。特に目立ったフィルとかあざといプレイが聞けるわけではないのですが、シンバル、ハイ・ハット、リム・ショットなどを実に巧みに組み合わせてリズムに変化を持たせているあたりは「渋い」という形容がまさにピッタリ来る感じですね!このアルバムでもMuhammadのファンキーな唸り声はしっかりと聞き取ることができます(笑)。改めてHank CrawfordのアルバムでのプレイやHiram Bullockのアルバムでのプレイを聞き返してみようと思います。まさに「いぶし銀」そのものです!!