
| 1.Endless Love |
| 2.You Send Me |
| 3.Mr. Chips |
| 4.Stand by Me |
| 5.Let's Fall in Love (All over Again) |
| 6.Bedtime |
| 7.Robbins Nest [*] |
|
|
●Milestone/MCD-9149-2
●Musicians
.As.Hank Crawford
Key.Richard Tee
G.Cornell Dupree
B.Wilbur Bascomb
Ds.Bernard Purdie
Tp.Randy
Brecker/Allan Rubin
Bs.Howard Johnson
Ts.Fl.David
Newman
Vo.Leon Thomas(2)
■コメント■
1960年代はAtlanticで、1970年代はCTIでR&B/ソウル感覚を前面に押し出したアルト・サックス奏者として大活躍を見せたHank
Crawford。彼の強い影響下にあったGrover Washington Jr.やDavid Sanbornの台頭など何処吹く風、といった様子で80年代以降もマイ・ペースでMilestoneを根城に、そのR&B/ソウル・スピリットに磨きをかけ続けるその姿には胸を打たれるものさえあります。同様にR&B/ソウルを愛してやまない気心のしれた仲間達と、まさにR&B/ソウルの命ともいえる「歌心」と「グルーヴ」の追究に余念がない、といった風情は、職人芸、匠の技とも呼ぶべきものではないでしょうか?彼の下にはBernard
Purdie/Idris Muhammad(Ds)やWilbur Bascomb(B)といったグルーヴ・メーカー達、Cornell
Dupree/Jimmy Ponder/Melvin Sparks(G)やJimmy McGriff/Dr.John/Richard
Tee(Key)、David Newman(Ts)Howard Johnson(Bs)Allan Rubin/Randy Brecker/Lew
Soloff(Tp)等々豪華絢爛たるホーン・セクションと作り出すサウンドは、派手さはないものの、シンプルで丁寧に隅々まで配慮の行き届いた良質のアルバムばかりといっていいでしょう。1950年代から1960年代にかけて「ソウルの天才」Ray
Charlesのバンドの中心的存在として活躍したHank Crawfordの音楽は、まさにその手の音楽ファンのために作り上げられた大人のための音楽といえるのかもしれません。
本作は1986年11月にBernard Purdie(Ds)Wilbur Bascomb(B)Richard Tee(Key)Cornell Dupree(G)を従えたクインテット編成をベースに、曲によってはホーンやストリングスを加えるといった形で仕上げられています。ホーンやストリングスを加えるといってもBob JamesやDavid Matthews等のような「アレンジを聴かせるためのアレンジ」ではなく、あくまでもサウンドに+αを付加するための脇役として効果的に使われているといった程度の使い方です。「Endless Love」「Send Me」「Stand By Me」といった有名局を含む全7曲は、いずれもご機嫌なグルーヴと歌に溢れていて、往年の勢いは失われてはいるものの、円熟の境地に達したCrawfordとその仲間達の音楽魂を満喫することができる作品に仕上げられています。ただ出来ることならストリングスはチープなシンセ/キーボード・サウンドでなく本物を使って欲しかったところですね。
1.Lionnel Ritchie/Diana Rossのヒットで知られるこの有名曲を、意表をつく軽快なテンポで料理してみせています。Purdie〜Bascombの生み出す心地よいグルーヴに乗せて吹くCrawfordのアルトによるストレートなテーマから、その歌心が炸裂しています。そして続くソロでも決して吹きまくるというのでなく、間やリズムを活かしたブロウによるシンプルでストレートな語り口が冴えています。そしてそれに続くのはアコースティック・ピアノのストローク・プレイを中心にしたRichard Teeのダイナミックなソロ。リーダー作やセッションで聞かれるほどにはさほど個性的には感じないものの彼のワン&オンリーの魅力は十分に発揮されているといえます。おそらく録音のバランスやエフェクト処理の問題もあるのでしょうが、自らグルーヴを引っ張るというタイプの演奏でなく、Purdie〜Bascombのグルーヴに溶け込もうとする配慮、主役を引き立てるための配慮のなせる技ではないでしょうか?
2.ここではLeon Thomasのボーカルをフィーチャーした演奏が収められています。ここでのThomasは巧いというよりは非常に味のあるボーカルを聞かせています。ゆったりとした落ち着いたリズムの中にも独特のグルーヴを感じさせるPurdie〜Bascombのコンビの生み出すリズムは、もうメチャメチャ凄いです!途中挟み込まれるCrawfordのフェイク・ソロ、多くを語らずメロディに魂をこめるそのSaxスタイルは音楽の基本を再確認させてくれます。Dupree & Teeの渋いフィルはさすが歌伴名人達といったところでしょう。
3.ミディアム・テンポのストレートなブルース・ナンバー。ご機嫌なシャッフル・リズムに乗せてDupreeの実に渋くカッコいいギターからさりげなく始まるあたりも心憎いですねえ。溜めの利いたDupreeの味のあるプレイに続きCrawfordのシンプルなテーマ&ソロがくるのですが、ストレートな典型的なブルース・サックスの王道ともいえるスタイルでのプレイは決して派手なブロウをしている訳でもないのですが、まるでブルース・シンガーが歌っているかのような味わいがしっかり出ているあたりは流石といえますね。
4.Ben E Kingの大ヒットやJohn Lennonのカバーなどで知られる名曲。しかしこれもまた意表をつくユニークなアレンジで聞かせてくれています。どこかカリプソっぽい雰囲気を取り入れたような面白いアレンジを施したリズムをバックに朗々とテーマを吹くCrawfordはまさにシンガー同様の「歌」を感じさせてくれます。そしてここでもストローク・プレイをメインにしたTeeのアコースティック・ピアノのソロ、そしてDupreeの涙モノのギター・ソロと、いずれ劣らぬ名人芸が続きます。それにしてもDupreeのギターはとても個性的であるばかりでなく、これまた抜群の歌心を感じさせてくれますね。そして終わってみるとCrawfordはテーマを吹いただけ、まさにシンガー的なポジションであることがうかがえますね。
5.スロー・テンポのムード満点のバラード・ナンバーです。以前よりそのバラード・プレイには定評のあるCrawfordだけにここでも半端じゃない語り口の妙を聴かせてくれます。間の活かし方といい溜めといい、メロディ・フェイクの味といい、これはもう紛れもなく「歌」そのものがここにあります!いわゆる通常のソロの概念とは全く別の次元/位相で考えないと、とても大切な、Crawfordが最も表現したいR&B/ソウルのスピリッツを聞き逃してしまうことになってしまいますよ。
6.もう最高にご機嫌なスロー・テンポのブルース・ナンバーです。ここでのPurdie〜Bascombのグルーヴはもう神業級といっていいのではないでしょうか?Dupreeのこれぞブルージーといったギターの語りかけるようなソロにたっぷり痺れたところで御大Crawfordのアルト・ソロが登場してきます。Dupreeのソロに応えるように訥々語り始め、そしてシンプルに歌い上げるCrawfordのプレイはまさに60年代「Mr.Blues」の呼ばれたCrawfordならではのプレイの神髄を感じさせてくれるプレイです。控えめながらTeeのエレピでのバッキングも見逃せませんね。しかし再びCrawfordのプレイに応えるDupreeのギター・ソロには完全に参りました。背後でじわじわと来るリズムも最高ならCrawford/Dupreeの対話も最高!これぞブルースの醍醐味といった趣のトラックです!!
7.華やかなホーンのアンサンブルによるイントロに導かれスウィンギーなSaxのソリ、そしてCrawfordのあると・ソロが実にジャジーな感覚にあふれています。オーソドックスな手法でのDupree&Teeのバッキングもなかなかどうして堂に入っていますね。Crawfordのアルともそうなのですが続くDavid Newmanのテナーも決して言葉数は多くないのですが、オーソドックスなアプローチながらしっかり語るべき言葉は語り尽くしたといった感じの含蓄のあるプレイは流石です。名主達による豪華で寛いだジャズ・ワールド藻悪くないですね。
CrawfordをアイドルとするDavid Sanbornが私のアイドルなだけに、この音楽には素通りできない物が色々と詰まっているような気がしてなりません。80年代以降のCrawfordも60年代のCrawfordも片っ端から聴いてみたい衝動に駆られている今日この頃なのです(笑)。今日のスムース・ジャズに血道をあげているミュージシャン達が目指している音楽って、ひょっとしてこういう音楽なんじゃないかなあ、なんて考えも頭をよぎります。「For
Adult Only !」小難しいことなんて考えずに寛いで楽しめる音楽って、やっぱり必要ですよね!!
■Back To
Toppage■From Session■