
| 1.Common Road |
| 2.Teenage Immigrant |
| 3.Dr. Toulak |
| 4.Frankenstein |
| 5.Wildwood |
| 6.Vulgar Boatman |
| 7.Tribute to Tony |
| 8.You Kill Me |
| 9.Frybrain |
| 10.1920 Shady Dr. |
| 11.No Matter What |
| 1998年作品 |
●Shrapnel/11162●
●Musicians●
Ds.Perc.Vo.etc.Gregg Bissonette
B..Vo.etc.Matt Bissonette
G.Steve Lukather/Scott Henderson/Steve Vai/Mike Miller
Andy
Summers/Michael Thompson//Paul Gilbert/Ty Tabor
George
Bernhardt
G.Vo.Doug Bossi
●コメント●
Gregg Bissonetteというドラマーとの出会いはSteve Lukatherのセッション・ワークを色々効きあさっていた1998年の事でした。Steve
Lukatherを始め、Steve VaiやPaul GilbertといったHR/HMのスーパー・ギタリストから元PoliceのAndy
SummersやScott Henderson、Lukather同様セッションマンとして活躍するMichael Thompsonといった有名ギタリストを曲によって迎えた実にゴージャスな物でした。そして実にいいタイミングで11月のLarry
Carlton & Steve Lukatherのライブのドラマーとして来日することになったのです。実際この年、TOTOの「Tambu」欧州ツアー(1995〜1996)のいくつかのBootlegビデオで腰痛のSimonに可和ってドラムを叩く彼の姿を目にしていたので、ぐっと親近感は湧いていたものの、実際の彼の活動については当時の私はあまり多くを知らずにいたものでした。Larry
& Lukeの来日当日、Larry & Lukeのサインは貰えなかったものの、このGreggとは会話を交わし、彼の方からの申し出によってサインまでしてもらうというハプニングに遭遇することが出来たのです。そして彼がMaynard
FergusonのオーケストラやDavid Lee Rothのバンドで活躍していたドラマーである事を知ったのは来日時のインタビューが掲載された「Drumマガジン」の記事によってでした。DLRバンドのCDやテープは一応持っていたものの、あまりその参加メンバーにまで思いが及んでいなかった私がクレジットに目を凝らすとDLRの2nd〜5thアルバムで彼の名前がクレジットされているのを見つけましたし、またSteve
Lukatherの1997年の3rdアルバム「Luke」ではDLRバンドのFredd Tuggle(Key)等と共に参加、都合でいけなかった来日公演にも帯同していた事を知ったのでした。他にも桑田佳祐の作品集「Mid
Summer Blossom」というL.A.録音のアルバムにもMatt Bissonette(B)と共に参加していたり、その後もLukatherとの共演をしばしば見いだす事が多くなっていったものでした。
Bissonetteのドラマーの特徴は、どんな音楽をプレイしていても必ず音楽全体を意識して、その音楽に最適なグルーブやテイストをその音楽に吹き込むことのできる高い音楽性と技術を持っているという点でしょう。実にしなやかで、多様な音楽に対応できるドラマーであることはLarry & Lukeの来日時のギグでも実証済みです。ただ、彼がSimon PhillipsやVinnie Colaiuta、Dennis Chambersといった当代きってのテクニシャン達との違いは、うまく表現できないのですが、彼等に比べると「地味な」「華のない」ドラマーに感じられてしまう点なのでしょう。しかしそんな彼のDLRバンドやセッション・ワークから見て取れるのはとても音楽的でツボを心得た、ドライブ感もグルーブもしっかり感じさせてくれるプレイであり、このリーダー作でもMatt Bissonetteの協力を得て、十分に個性的なサウンドを効かせてくれているという点なのです。彼がLarry CarltonやSteve Lukather、Steve VaiやDavid Garfieldといった大物ミュージシャン達から全幅の信頼をもって迎えられるドラマーである事からもおわかりいただけるかと思います。いわゆる「華のある」ドラマー達のような強烈なアクやわかりやすい特徴といった物ではないにせよ、十分に高いレベルで彼の個性を発揮しているように感じられるドラマーなのです。そしてそれはジャンルを超えて様々な音楽に偏見なしに入り込んでいける柔軟性と一体になった彼特有の個性として次第にその輝きを増してきているようにも感じられてなりません。
1.<Steve Vai>Zappaファミリーの一員からDLRのバンドで80年代後半以降のギター・ヒーローの代表格の一人Steve Vai。その幅の広い音楽性としっかりした音楽理論・経験に基づいたプレイは従来のロック・ギタリストの概念を大きく打ち破る存在として今もなお高い人気を維持していますが、ここではかつての同僚Greggのために実に素晴らしいプレイを披露しています。Vaiのソロと対比するかのようなよく歌うフレーズのソロを聴かせてくれるGreggのしなやかなドラミングがオープニングからかなり強力なインパクトを与えてくれています。
2.<Scott Henderson>Matt Bissonetteのベースによるドラマチックなメロディーが印象的なナンバー、アップテンポの部分はZeppelinの「Imigrant Song」を尾もさせるナンバーですね。ZappaやChick Coreaの周辺での活動で名を挙げたHenderson、粘っこくて独特の存在感を感じさせるそのフレーズの構成力には流石とうならせるものがあります。そしてここでも曲想に実によくマッチしたスケールの大きいドラミングを聴かせてくれるGreggのドラミングの切れと独特の粘っこいグルーブは彼独特のものが十分に感じられますね。
3.<Ty Tabor>不勉強でこのギタリストはまったく知りませんでしたが、ちょっと古くさい雰囲気のリズム、ベース・ラインに乗せて、他のギタリストとは一味違ったくすんだ音色がなかなか印象的なギタリストですね。Grerggのパーカッション&ドラムも決して奇をてらわずにオーソドックスなグルーブをストレートに表現していますし、Taborのソロも独特の雰囲気を漂わせた個性的なサウンドを響かせています。それにしてもこんな多種多様なサウンドにいかようにでも対処できるGregg & Mattの兄弟リズム・セクションの呼吸のあったプレイはさすがです。ここでのホーンもGreggが演奏してるらしいです。
4.<George Bernhardt/Doug Bossi>この二人のギタリストも不勉強なことによく知らないギタリストです。しかしここで演奏されているのはあのEdgar Winterのオリジナルで有名なナンバーです。Steve Lukather & Edgarの来日ステージでこの曲を生で聴いたときもなかなか感激しましたが、ここでは二人のギタリスト以上にシンプルに、ストレートなビートを繰り出すGreggのドラム・ソロが印象的です。途中でTOTOの「Rosanna」を思わせるハーフタイム・シャッフルの部分が妙に面白かったりします。残念なことに二人のギタリストについては余り印象的といった印象ではありませんでした。やはり有名曲だけに曲をじっくり聴いちゃいますよね(笑)
5.<Andy Summers>元PoliceのAndy Summersをフィーチュアした軽快なテンポのレゲエ・フィールを感じさせる何処かエスニックなメロディーを持ったナンバーです。Police以降のSummersのプレイに触れる機械がなかったので妙に懐かしさを感じてしまいますが、アコースティックにエレクトリックにユニークな広がり感を与えてくれるソロは健在です。Greggのドラミングはスネア&タムをメインにした軽快なフレーズを聴かせていますがバッキングでの綺麗に鳴るシンバルでのデリケートなプレイが印象的です。レゲエ/スパニッシュ系のリズムでもその切れのいいドラミングはとてもよく活きていますね。
6.<Paul Gilbert>Beatlesの「Come Together」を思わせるリズムに乗せてHR/HMギターの人気者、元MR.BIGのPaul Gilbertがメタリックでドスのきいたソロを聴かせてくれます。ここでのGilbertは華麗な早弾きというよりも間やピッキング・ハーモニクスを駆使したタメのきいたオーソドックスなプレイを聴かせてなかなかの存在感を聴かせています。Greggのドラム・ソロもハッタリはないですが、正統派のどっしりとしたソロをきかせてくれています。
7.<Mike Miller>Karizma等L.A.のスタジオ・シーン等で活躍するMike Millerをフィーチュアした軽やかな4ビート・ナンバー。HR/HM系からこういったJazz系の軽快なプレイまで実に幅広いGreggの側面を見て取れる演奏になっています。MillerのソロもありきたりのJazzギターとは異なる音色アプローチでユニークな雰囲気を出しています。それにしてもJazzのビッグバンドでのキャリアも持つGreggだけにしなやかな4ビートはさすがにお手の物といったところですね。ここでMattはアコースティック・ベースでオーソドックスなウォーキング・ベースを聴かせてくれていて兄弟共々懐の深さ、広さを見せつけています。
8.<Scott Henderson>再びZappaやChick Coreaの周辺での活躍が印象的だったScott Hendersonの登場。随所に聴かれるMattのハーモニクスビシバシのフレットレス・ベースが実にカッコいいですね。独特の音遣いと華麗でねばっこいフレーズのHendersonのプレイも独特なら、Greggの心地よいグルーブを感じさせるシャッフル系のドラミングもなかなか見事です。
9.<Steve Lukather>ミュージックマンのLuke2モデルを使っているせいか以前よりブライトな感じが強くなったSteve Lukatherのギターが全編に大活躍です。Lukatherがここに参加していなかったら私はこのアルバムをきっと持っていなかったと思います(笑)。そしてここでの演奏が十分インパクトのあるものだった事もこのアルバムにGreggのサインが貰えた要因だったように思います。ここでのLukatherのプレイはやはりややザラついた感触と粘っこいフレーズでの歌心あふれるフレーズが絶妙の構成力でフィーチュアされている素晴らしいプレイです。ツインペダルを使ってのものと思われますがGreggの疾走感というのはSimon Phillipasとはまた一味違った個性的な感じがありますね。そしてそれの軽快なビートに乗ってLukatherのギターが気持ち良さそうによく歌っていること!Mattのベース・プレイもGreggと息もピッタリでなかなかのカッコ良いプレイを聴かせてくれています。
10.<Michael Thompson>Steve Lukatherのフォロワーとしてのイメージの強いMichael Thompsonですが、ここでもちょっと軽めのテイストのLukather的なフィーリングを聴かせてくれています。音色的には違うんでしょうけど、フレーズの歌わせ方がよく似ているような気がしちゃいますね。ここでのGreggは抜けのよい音色でのスネア&バスソラムを中心にしたフレーズでサウンドの広がり感を大事にしたドラム・ソロを聴かせてくれています。Mattのよく練られたベースもそんな雰囲気を損なわずにしっかりとサポートしています。
11.<Doug Bossi/George Bernhardt>Beatles大好きのGreggですが何故かBadfingerの70年代のヒット曲No Matter Whatでした(笑)。でもBad Fingerのこの曲ってポップでちょっとBeatlesっぽい雰囲気もありますよね。ここでGreggはボーカルも取っていますが、お世辞にも上手とは言い難いですよね(笑)。でも彼がこういうポップなロックが好きだという雰囲気はとてもよく伝わってきて、ほのぼのとした雰囲気でアルバムをしめくくるいい結果となって現れています。ここでも二人のギタリストについては特に湖面とするようなプレイはありませんでした(笑)。
このアルバムをリリースして後、2000年にはSteve Vaiのレーベルか2ndリーダー作「Submarine」をリリース、この作品でも本作同様に様々なギタリストをゲストに迎えての意欲的な作品となっています。いわゆるHR/HMのドラマーとは異なる柔軟性を持ったGreggのドラミングだけに派手さはありませんが、彼のポップなセンスやアイディアを十分に感じることの出来るアルバムに仕上がっています。たまにはこんなタイプのドラマーをじっくりと聴いてみるのも面白いんじゃないでしょうか?上質の音楽がギッシリ詰まったアルバムです。
Greggといえば1998年11月のLarry & LukeのBlue Note 東京でのライブの開園前も休憩時間も終演後もペダルの調整のためかほとんどドラム・セットから離れなかった姿が忘れられません。終演後にこのCDをかざして見せたらすぐに気づいてすっとんできてくれて色々話した揚げ句「是非ともサインさせてくれないか?」と彼の方から頼まれたのにはビックリでした。奇策で誠実なとてもフレンドリーな人柄が伝わってくるミュージシャンだったのを忘れることができません。Larry & Lukeの替わりにファn・サービスに務めていたGreggの優しい笑顔がとても印象的でした。