■That's Right/George Benson■
●amazon.co.jpでショッピング情報を見る
George Benson
Ricky Peterson


1.That's Right
2.The Thinker
3.Marvin Said
4.True Blue
5.Holdin' On
6.Song for My Brother
7.Johnnie Lee
8.Summer Love
9.P Park
10.Footprints in the Sand
11.When Love Come Calling

12.Where Are You Now?

1996年作品


■GRP/GRP 9823
■Musicians■
G.Vo.George Benson

Key.Ds.Ricky Peterson
Key.Robbie Buchanan/Joe Mardin/Curtis "Fitz" Williams
Vo.Nicki Richards
B.G.Key.Paul Peterson
Ds.Michael Bland
Perc.Ralph MacDonald /Paulinho Da Costa
Sax.Eric Leeds
●コメント●
 Breezin'の大ヒットから約20年。ギタリストとしての名声にボーカリストとしての名声まで手に入れたかつてのJazzシーンのスーパー・ギタリストGeorge Benson。今やその評価もJazz/FusionシーンからR&Bやポップのフィールドにまで大きな知名度を持つギタリスト、シンガーといえるでしょう。70年代のBreezin〜In Flight〜Week End In L.A.といった作品で大ヒットを飛ばし、80年代にはWuincy Jonesのプロデュースの下、Give Me The Night等でディスコ/ダンス・チャートにまで進出した彼もシーンの変化に常に対応したポップな作品を常に発表師続けてきました。そしてギタリストとしての揺るぎない評価だけには飽き足らずスタンダード・ナンバーを歌ったアルバムTenderness等も話題を呼んだアルバムでした。そして、このThat's Rightは1996年に発表されたスムース・ジャズ仕立てのアルバムです。率直な所、Bensonのギター・ソロもソロとユニゾンで歌うスキャットもいささかマンネリ気味で、サウンドの変化なしでは一寸ばかり退屈な部分が目立ってきたBensonですが、このアルバムではDavid SanbornバンドでSanbornの片腕として大活躍中のキーボード・プレーヤー/プロデューサーのRicky Petersonを迎え、お馴染のTommy Lipumaと共同プロデュースや作編曲、キーボード奏者として十分な働きをしています。久しぶりにこのアルバムをCDトレイに載せ、音を聴いた瞬間にRickyの存在が判る位に彼のオルガンやエレピがたっぷりとギーチュアされているので、やや食傷気味のBensonサウンドを何とか最後まで聴き通すことができます。やはりRicky Petersonのオルガン・プレイは滅茶滅茶カッコいいです。そしてB&Gでは同様にSanbornグループへの参加でしられる兄弟のPaul Petersonも参加していて息の合ったところを見せています。主役のBensonは、やはり往年に比べると喉も衰えたなあ、という印象はありますが、ギターの方は、昔ながらに滑らかにフレーズを歌い上げています。先に書いたようにそのスタイルもフレーズの歌い上げ方も20年以上前からほとんど変化していないので、多少のマンネリ感はありますが、アレンジやKeyソロ等で変化をつけているので何とか聴き通せます(笑)何か創造的な物や刺激的な物をこの人に求める方もそうはいないでしょうから、気楽に楽しめれば、それはそれでいいんじゃないでしょうかね。

 Breezin'やTendernessといった作品をはじめ多くのBensonの作品をプロデューサー、Tommy LipumaがRicky Petersonと組んでこのアルバムの大多数の曲をプロデュースしているのはなかなか興味深いです。LipumaはRicky Petersonの1stソロ作「Night Watch」をプロデュースしているので、そのあたりからもこの組み合わせはうなずけるのですが、スムースJazz風のサウンドを作らせたら天下一品のRicky & Paul Petersonの腕が遺憾なく発揮されています。Rickyは多くの曲でハミンドB-3オルガンを操り、B-3の豪快なソロやエレピの存在感たっぷりのソロをはじめ、Vib音色のシンセ・ソロをはじめ、趣味の良いシンセやピアノ、オルガンでのバッキングやさりげなく、しかし実に効果的に使われているストリングスのアンサンブルも忘れてはいけませんね。そしてずっしりとした感触を持った粘っこいグルーブが身上のPaul Petersonのベースも、そして打ち込みと生のドラムで作り出される絶妙のグルーブ感がこのアルバムでも健在です。Michael Blindというドラマーもなかなかパワフルで好演しています。

 George Bensonという非常にアクの強いギタリストがこのスムース・ジャズ仕立ての状況下で一体どう替わるのかなんて愚問は全く意味を持ちません。リズムが状況がどう替わろうと、BensonはBensonなのです。CTIの頃もBreezin'の頃も、Quincy JonesとのGive Me The Nightの頃もBensonのスタイルやプレイはほとんど変化しているわけではありません。Breezin以降はギターの他に歌という強力な武器を最大限に活かし、アルバムに変化を与えることに成功してきたのです。そして、得意のソロとスキャットのユニゾン・プレイという武器の三つを駆使してのアルバム制作がその後のBensonサウンドを支え続けてきたのです。そしてこのアルバムでも至る所に、あれはBreezinの中の・・・・とかIn FlightやWeekend In L.A.の・・・なんていう錯覚にとらわれるような音を聴くことができます。そして、三つの武器を巧く配置しながら、ソロもシングルトーンとオクターブ奏法を見事に使い分け、キーボードのソロ等でサウンドに変化を与えながらも自分自身の歌い方は全く崩していないというあたりは、さすが大物Bensonならではです。従来のJazzのようなインタープレイ等は無論期待することはできませんが、ソロの構成力や説得力は、「ああ、いつものパターンね。」と重いながらもついつい乗せられてしまう程の強力さです。ギターも歌も、実に歌心満点で、彼の本領はあくまでもそこにあるのだということを思い知らされてしまいます。このアルバムの評価がどうであれ、この強力な個性とRicky Petersonという才能の出会いを楽しんでやろうという姿勢で聴けば、それなりに十分楽しめるアルバムではないかと思います。それがJazzであるとかJazzでないとかいう次元では、決して考えないで聴いていただきたいアルバムです。休日の午後にでもソファーに深く身を沈めてゆったりと寛いで楽しむのにはなかなか適したアルバムじゃないかと思います。


Back to Toppage■■From Session